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またキースさんの元に厄介が!

 キースさんが言うには、元凶である公爵を捕縛したことで改革派の動きも少し収まる予測らしい。

 突然、捜索に来たものだから証拠を隠滅することが出来ず、魔物の動きを活発にする薬などの証拠品が出てきたようだ。


「また、しばらくは安心して暮らせるねぇ」

「だといいんだが……。罪を認めた公爵が気になることを言っていた」

「気になること?」

「私を捕まえるのが遅かったね。もうすぐこの国は終わると」

「???」


 元凶を捕まえてなお、この国の崩壊があるというのか?

 わからん。


「国王様もこの言葉が気掛かりでな……。公爵はそれ以上何も言わなかった」

「ふぅん……。なんかまだ起きようと……」


 その時、何かが誕生したような強いオーラを感じた。

 結構遠い。まるでそれは魔物の王みたいな……。なんだろう、臭いとかそんなんじゃなく、直感。

 私の魔物としての本能が何かこの世界にヤバいものが誕生したと悟った。


「どうした?」

「なんか……変な感じのもんがこの世界のどこかにできた気がする」

「変な感じの……?」

「ちょっとフルクのとこに行ってくる」


 フルクなら何か知ってるだろうか。

 私はフルクのところに急いで向かうと、フルクは少し嫌そうな顔を浮かべていた。


「フルク!」

「やぁ、来たんだね。やっぱ今は魔物である君もわかったかぁ〜。この気配」

「なんなのこれ」

「魔王だね。この世界のどこかに魔王が爆誕、もしくは復活したのさ」


 ま、魔王?

 世界の半分をくれてくれるひと?


「魔王が誕生したから僕たち魔物は本能で察知してるんだね。魔王は魔物の王で魔王だから……魔物を支配できる力を持つ。ただ……僕やワーナガルム、人間がSランクに分類する魔物は支配できないみたいだけどね」


 魔王が復活した……。

 だからこんなおぞましい気配を感じたのか。


「なぜ今更魔王が復活したのか……。魔王は遥か昔人間によって討ち取られたはずなのにねぇ」

「誰かが故意的に復活させたとか」

「それだね。この世界を終わらせようとしてる奴が魔王を復活させたに違いない。そいつ殺してやろうかな。こんなおぞましいオーラ感じ続けるの嫌なんだけど」

「近くに魔王がいたりするからオーラを感じてたりして」

「ははは、まっさかぁ」


 とフルクが笑い飛ばした時、何か匂いを感じた。

 本当に嫌なオーラが近づいてくる。茂みをかき分けて、私が目にしたのは頭にツノを生やした女の子。

 なんだろう。本能でこいつが魔王だと理解できた。私は戦闘態勢をとる。フルクも攻撃に移れる構えをとっていた。


「ワーナガルムに……フルクトゥスドラゴン……。我の力で支配できぬ魔物……。み、水……」


 と、魔王は倒れた。


「何もしなくても倒れたんだけど」

「……水ね。与えてあげよっか」


 私は魔王を咥えて水場に寄せる。魔王は水を視認すると、一目散に顔を突っ込んで飲み始めた。

 ガブガブと飲み、そして顔を上げる。


「ぷはぁ! 生き返った! 我を復活させたやつ、復活させてそれっきりとかふざけとるよなぁ! そう思わんか?」

「…………」

「あれ、警戒されとる!?」

「そりゃね。やるならやるよ」

「待て待て! 我も復活したばかりでお主らと戦うと死ぬわ! 話ができるのなら話し合おうぞ!」


 停戦。

 私は腰を下ろして魔王の話を聞く。この魔王は遥か昔、異世界からやってきた勇者に討ち取られた魔王のようだ。

 

「お主ら人間の味方か! 変な魔物もおるもんよのぉ!」

「悪い?」

「悪くはないわ。ただ魔物としては珍しい。シャンヴァーラ王国では特にな?」

「そう。で、君は? シャンヴァーラ王国に攻め入るつもりなら、僕もエレキちゃんがこの国にいるよしみもあるし、全力で叩き潰すけど」

「やらんわい。もう懲り懲り。もう死にたくないからの。悪いことしたら巡り巡って罰が来る。そう理解した。だから……今度は人間に寄り添ってみるつもりである」

「そう」

「お主ら、人間に知り合いはおらんか!? 人間の仕事をしてみたいのだ!」

「いるけど……」

「また、可哀想だねあの貴族の男も……」


 私が紹介できるのは一人しかおらんて。

 ごめんねキースさん。












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― 新着の感想 ―
[一言] その内心労で倒れるんじゃねえかな...
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