精霊王様の助言
国王はずっこける際、腰を強く打ってしまったようでいたた……と腰を抑えて立ち上がる。
「精霊王様……失礼な対応を申し訳ありませんでした」
「いいのよ~。私は今気分がいいから何でも許しちゃう!」
「ありがとうございます……!」
王様と精霊王様が話していると、魔法の効力が切れたのか、私の体が人間から狼に戻ってしまったのだった。
まぁ、神様でもドラゴンの心臓がなければ永久に人間のまま固定することはできないとか言ってたし、人間に戻れるのもせいぜい1日か。
魔法で1日、前世の泉で3日、呪いで一週間とかそこら。呪いが強すぎる。
「精霊王様……。なぜこの国へ?」
「エレキちゃんと付き合ってるからよ! エレキちゃんが住む国を見てみたいじゃない?」
「エレキと……?」
「でもいいわね。自然も豊かで。さすがに人間が住むためのことはされてるけど……。エレキちゃんが愛してる国だとみれば愛着がわいてくるわ!」
「あ、ありがとうございます……」
「いい感じね。もっとよくするのよ。私からはそれだけ……。あとそうね。良くするためのヒントをあげるとするならば……。ディアモンド公爵家を調べなさい。今あなたたちを困らせているすべての元凶はそのディアモンド公爵家よ」
「……えっ!?」
思わぬ方向からの助言。
精霊王様は今この王国に起きてることなんて知りもしないだろうが……。すべてを見通す力でも持ってるんだろうか?
精霊王様は私のほうを見る。かっこいいでしょ? 優しいでしょ?といわんばかりの顔をしていた。
「私は同じことを二度も言わないから、やるなら迅速にしたほうがいいわよ。そのディアモンド公爵家っての、結構曲者ね。今すぐしないと証拠がどんどん消えていくわ」
「ただちに捜索いたします。助言、感謝いたします」
「ふふん。いいのよ。エレキちゃんが住む国をよくするためなら手伝ってあげるわ!」
「かっこいー」
「そうでしょー!? またまた惚れ直させちゃったわね!」」
まぁ、魂胆は見え見えとはいえど、やってることはマジでかっこいいんだよな……。
この精霊王……。本気で惚れたら本当にやることなすことかっこよく見える。案外女性同士の恋愛も悪くないのかもしれない。
同性婚ってこの国でできますか。いや、相手は精霊王だし婚約の概念はないだろうけど。
「じゃ、もう私行くわ! あまり世界樹から離れられないの。そろそろ世界樹のほうに引き戻されるはずよ。またくるわ!」
そういって、しゅんっと姿が消えてしまった。
「はふぅ……」
「お疲れ様です、国王様」
「ああ……」
「えーと、その騎士団長様も精霊王様が治してしまったんですし、私どうしたら?」
「キースの家においてもらうとよろしい。キースは面倒見がよいからな」
「こればかりはもう……。精霊王様に直してもらったとはいえお願いは聞いてもらったからな……。歓迎しよう。エルフのアンズ殿」
「よろしくおなしゃーーーーーーーす! 手伝えることがあったら手伝うから!」
アンズはぴょんぴょん飛び跳ね、置いてもらえることを喜んでいた。




