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精霊王様は恋がしたい

 本当の世界樹のふもと。

 世界樹に触れられる距離まで近づいた。エルフの里からはちょっと離れていた。遠いと思ったのはデカすぎて距離感バグったなってこと。

 そして、世界樹のやばいエピソードとしては、エルフの里は太陽が当たる方向に位置しているから昼夜があるが、反対方向は世界樹で隠れているので一生夜のままということだ。。

 世界樹やばすぎるだろ。いや、まぁこんな大木で太陽を隠さないなんてことがおかしいが……。


「世界樹はね、この世界が生まれた時からあるって言われてるの。おじいちゃんが生まれた時もこの木があったんだって。すごいよね!」

「そうなると樹齢がえげつないな」


 はるか昔からどっしりと構えて、この世界の行く末を見守っているんだな。


「世界樹にはね、精霊王様がいらっしゃるの。未来を見通す力を持ってるんだ」

「へぇ。精霊王ね……。普通の精霊すら見たことないんだケド」

「あ、そうだよね。人間の里には精霊は住んでないもんね。ただ、精霊っていろんな形をしてるんだ。小人だったり、動物の姿になってたりね。精霊王様は美しい女の人なんだよ!」

「へぇ。会ってみたいな」

「ここにいますとも」


 と、地面からにょきっと女の人が生えてきた。

 なぜか私の股下から。


「おわぁ!?」


 私は思わずびっくりして飛びのいた。


「ちっ……。そのままちびって私にぶっかけてほしかったのに……」

「精霊王様! いらっしゃっていたのですね!」

「ええ。最初からいたのよ。フルクはともかく、元人間のワーナガルムなんて珍しいじゃない?」

「元、人間?」

「精霊王様、わかるんですか?」

「ふっふっふ。私をなめないでください。精霊王ですよ? それくらいのことはわかりますとも。一度異世界で死んでから、この世界で魔物として転生したんですよね。前世の記憶を持ちながら……」

「正解です」


 この精霊王、侮れない……って待ってくれ。

 さっき舌打ちしてなんつった? ちびって私にぶっかけてほしかった? 聞き間違いだろうか。こんな美人さんがそんなこと思うはずがない、よな。


「へぇ。前世の記憶あるんだぁ! そういう人は少ないけどいるというのは聞いたことあったけど……へぇ~。すごいね」

「この顔……マジのドタイプ……。うふふ、あなたのお名前は? 元の世界でのお名前はなんていうのかしらぁ?」

「お、大神 雷葉……」

「そう。いい名前ねぇ。食べちゃいたい」


 と、私の体に触れてくる。

 手つきがいやらしい。お前マジで精霊王?


「うふふ。あなたが死んだらこちらで回収して、私が直接精霊にしてあげるからね……。いつでもいらっしゃい……」

「フルク、この精霊王どうなってんの?」

「さぁ……。僕も精霊王様と会うのは初めてだし……」

「会ったことないの!?」

「私はシャイな性格なのよぉ……。今日出てきたのはあなたが、タ・イ・プ! だったから」

「ひっ……」


 この人マジ怖い! 精霊王ってことは本当にそういう力があるから屈服させられそうでめちゃくちゃ怖いんだけど!

 いや、でもまぁ、顔は割と美人だし付き合うのもそこまでやぶさかではないけど……。でも、精霊王様に恋をしたらあれだ。キースさんたちとはいられないよなぁ。


「私と付き合ってみない? 永く生きていて、ここまで胸がどきどきしたのは初めてだわ。人間に来いなんてしたことなかったけど、あなたみたいなやる気なさげに見えて実は結構やる気あるギャップが好きなのよねぇ……。性格もよさそうだし、いいじゃない」

「わ、私はキースさんにペットとして飼われてるのでそれは……」

「あら、ペットとして?」


 精霊王様は頭に青筋を浮かべていた。


「ペットとして扱うなんて……許せない……」

「最初はまじで誤解されてたんです! 元の世界の記憶があるって知れ渡られたのはつい最近ですし、隠してた私も悪いんで!」

「そう。なら仕方ないわね」


 この人きれやすいのか?


「あ、改めて……。私の彼女になってください」

「え、えと……」

「もちろん、私と一緒にいることはないの。私がたまに通うから……。ね?」

「そ、それなら?」

「やったぁ!」


 精霊王様は手を上げて喜ぶと。

 周りの木々から感性がわいた。


「うわ、ほかの精霊たちが祝福してる」

「これ全部精霊の声!?」

「精霊王だから精霊を従えてるし、トップが幸せでうれしいんだろうね……」


 だとしてもめちゃくちゃ数多くね?! うるっせぇ!










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