エルフたち
いくら時間が経過しただろうか。
暗い口の中でじっとしていると、突然外の光が漏れだしてくる。口が開いたようで、私は外に出てみると、そこには。
見上げても見上げても一向に上が見えない、デカい木があった。
「でっか……」
「でかいでしょ?」
こんな大木見たことない。
これが世界樹。世界の中心にドンと立っているように、本当にすごい……。
「ここでは僕信仰の対象になってるっぽいから自由に来れるんだよねぇ」
「信仰?」
「あ、水神様がいらっしゃった!」
「水神様!」
そういって集まってきているのは耳がとんがっている男女。
これがもしかしなくてもエルフだろうか。すっげぇ……。可愛い。エルフたちはフルクに傅いていた。
フルクもちょっと嬉しそうにしている。
「僕の友達連れてきたんだぁ。紹介するよ。エレキっていうの」
「エレキです……。どうも……」
と、私が自己紹介すると、エルフの中でも高身長な男の人が私の前に立つ。私をじろじろと見て、なにか考え事をしている。
「ふむ、貴殿は人間か……? 呪いのようなものを感じるぞ」
「解いて差し上げろ。人間でないのなら人間の姿でいるのはあまり好ましくない」
「了解しました、長」
そういってその男性は私に手をかざすと。
私の体がどんどん狼の体になっていく。おお、懐かしいこの感覚。一週間ぐらい経過してやっと戻れたというか、エルフってこうやって強引に解呪できるんだ……。
私は驚きはしたが、ちょっと気になる言葉があった。人間の姿でいるのは好ましくないっていう言葉。もしかしてエルフは人間が嫌いなのだろうか?
「まぁ、ワーナガルム!」
「魔物だ」
「水神様、なぜ魔物を……」
「僕の友達だよぅ。人とかエルフに危害は加えないから安心して」
「水神様が言うのならば……」
フルクはとても信頼されているようで、フルクが言うならば私を信じるというような感じ。エルフってこんな性格なのか。
もっと慈悲深くて優しい種族だと思ってた。理想は理想だったな……。現実はあまり見るべきじゃないな。
「……お手」
「なに、これお手したほうがいいの?」
「……喋ってる?」
「喋れるよ。意思疎通可能」
「長! この魔物ペットにしたいわ!」
「おいおい……」
エルフの一人が目を輝かせて私をペットにしたいと言い出した。
「残念ながら私はもう人間のペットなんだなこれが」
「そうなの!? えー、ほかに所有者いるなんて……」
「所有者ってな……」
わたしゃ物か。
いや、まぁ、異世界では割と物扱いのことが多いけどペット。法律とか……。
「狼はとてもかっこいい……。この毛並みぃ……。ってぎゃあ! びりっとしたぁ!」
「攻撃したのか!?」
「いや、私の毛静電気起きやすいんだからそりゃ静電気出るでしょ……」
「せい、でんき?」
「電気がたまりやすいんだよ私の毛。雷を扱うしね。だからあまり素手で触れないほうが……」
「なにこのびりっとする感覚……。新感覚ぅ……」
と、そのおっぱいがでかいエルフは私をなで繰り回していた。
そのたびにビリビリしているが、その感覚がたまらないようだ。静電気が好きな奴初めて見た。いきなりびりっとか来るし普通に嫌じゃない?
「水神様。我らの村に寄ってまいりますか?」
「いいの? じゃあ、人化の術かけてよ」
「かしこまりました」
そういって、エルフは何か呪文のようなものを唱え始めた。
フルクの体が縮んで、人のような大きさになる。フルクが人間の姿になったようで、少し鱗は残っているものの、ものすごく美人さんになった。
なんだろう、ボーイッシュガールだ。色白でキレイ……。
「ふふん。この姿になるのは久しぶりだね」
「お前人間になれるのかよ……」
「エルフに魔法をかけてもらわないと無理だけどね~。どう? 奇麗でしょ。僕の人間姿」
「うん」
見とれてしまいますわ。これ追っかけたくなるような美貌だ……。負けた……。




