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傍観者でいるしかない

 フルクのところに遊びに向かう。

 フルクは姿かたちが変わった私を見ても、少し驚きはしていたがエレキちゃんだぁとのんきに呟いていた。


「最近、お疲れだねぇ。王都が騒がしいから?」

「そう。異世界に行く方法も判明しちゃってさ……。その犠牲となった死体をうちの仲間が見たって……」

「それはきついねぇ」

「フルクは変わったことない?」

「変わったこと……。うーん、なんかものすごい人間たちが襲ってくることぐらいかなぁ。100人ぐらい殺しちゃったけど」

「……それって怒らせようとしてるんじゃないの? フルクを」

「かもねぇ。彼らはこの王都を……この国を滅ぼしたいという強い意志を感じたよ」


 王国を滅ぼす……か。

 何のために? わからん。王国を滅ぼすために、わざと反感を買うような真似をしているということなのだろうか。

 フルクは怒ってないようだが……。


「僕の怒りを買えば王国が滅びると思ってるんだろうねぇ。僕はそんなことで怒るつもりはないけど……必要ならば改革派って呼ばれる貴族だけ殺そうか?」

「それは最終手段……」

「そっかぁ」

「もとより私たちはあまり関係ないし……。キースさんたちがどうにかしてくれるのを待つしかないよ。私も前は人間だったけど今は魔物だしねぇ」

「人間の姿じゃん今は」

「あと数週間後に解けるよ」


 知識も何もない私はできることがない。

 この出来事を傍観する理由はそれもある。貴族にかかわっても、私ができることなんて限られてるんだよな。

 戦うことしかできない。日本でゆったり暮らしていた女子高生の私にはなんもできない。

 それに関しては委員長たちも同じだろうな……。貴族同士の謀略とかわかるわけがない。


「じゃあ落ち着くまで暇になる?」

「まぁ、なるかもね」

「ならさ、世界樹を見に行かない?」

「世界樹?」

「そう! この世界の中心部にはさ、デカい木があって、それが世界樹なんだ。僕よりもでかくて、その木にはエルフとか生活してるんだよ。精霊とかもいるんだ」

「へぇ。異世界っぽい」


 異世界といえばエルフだよなぁ~。耳がとんがってて……寿命が200とかを超える種族。魔法が得意なイメージがあるな。

 そして精霊。もうここまで聞くとだいぶ異世界だ。私って本当に異世界に来たんだ……。中世の時代にタイムスリップとかしたわけじゃ……。

 いや、この目の前のドラゴンも立派なファンタジーだわ。


「行く! 行きたい!」

「おっけー! じゃ、全速力で飛ばしていくから……。落ちないように僕の口の中に入ってて。飲み込んでも多分大丈夫だから」

「……消化するなよ私を」

「しないよ~。僕の体の中のほうが安全だし、戦うときはブレス封印するから」


 そういってフルクは口をあんぐり開ける。


「その牙で私を嚙み千切るなよ」

「しないってぇ。信用ないなぁ」

「信用ないってか怖いんだよ……」


 私はフルクの口の中に入っていく。

 ちょっと湿ってる。口の中だからな。口が閉じられ、暗闇となる。ちょっと浮遊感が私を襲う。空を飛んでるっぽい。

 暗くてまじでなにしてるかわかんないけど、なんかこの閉鎖的空間落ち着く……。肩壊してから割と引きこもり気味だったから引きこもりの血が騒いでるんだろうか……。


 というか、私ひとりで行くのちょっと不安だな……。












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