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犬堕ちしちゃう〜!

 転生して数日が経った。

 なんとなくこの国のこととか私をペットにした男のこととか理解できた。

 まずこの国はシャンヴァーラ王国という国。もちろん地球にはない。なのでおおよそ異世界。

 この国……いや、この世界には魔法が存在し、人間や一部の魔物は魔法を駆使して戦う。


 で、私をペットにした男はキース・モルガドというモルガド伯爵家の伯爵様でS級冒険者らしい。貴族様だったようだ。

 で、仲間には戦士のガントル、魔法使いのミリアと回復術師で敬虔なるシャンバラ教徒のノエルらしい。

 シャンバラ教というのはこの国で信仰されている宗教の名前。


「エレキ! 逃げるぞ! 退路を塞げ!」

「わふっ」


 私の方はというと、正式的にワーナガルムの変異種で新規の魔物として認定された。

 魔物名はワーナガルム雷鋒種。雷を操る狼でまだ私しか確認されてない。


 で、一応特訓もしてて、電気を自在に操ることができるようにはなった。

 私には電気を溜めておく器官があるみたい。まぁ、1週間に一度は放電して無くさないといけないっぽいけど。


「わふ」

「偉いぞ〜。ナイスだナイス。ほれ、褒美だ」


 といって生肉を地面に置くキースさん。

 人間の尊厳がもうほとんど見る影もなくなったが、今は狼だから地べたで這いつくばって食べるしかないのだ……。生肉うまっ……。


「動物は基本的に雷を嫌う。エレキがいるから追い込みやすくて助かるな」

「わふ」

「ま、討伐したってことで戻ろうぜ」

「そうだな」


 私たちは王都の中に入っていく。

 ギルドに報告して、屋敷に戻ると屋敷の前には何やら馬車が止まっていた。

 

「なんだ?」

「あれはジュエル公爵家……? 来訪する予定あったか?」

「は、早く行かないとまずいのでは?」

「そうだな。エレキ」

「わふ」


 私はキースさんを背に乗せ全力で走る。

 電気は溜まっていくが、静電気も操れるようになったので放電することは無くなった。

 私は大きくジャンプし塀を飛び越え、玄関前に行くと玄関前に女の人と執事の人が立っていた。


「あら」

「ジュエル様。遅くなり申し訳ありません」

「いえ。何も予定も聞かず急に訪れたものですから仕方がありません」


 と、女の人が話すが、なんかちらちらと私を見ているような気がする。少しそわそわしてるような。

 なに、犬嫌い? いや、私は狼だけど。私はなんとなく近寄り、鼻をすりすりさせてみた。あ、香水のいい匂い。薔薇の匂いかな。


「ひゃあっ……!」

「申し訳ありません! エレキ、やめなさい」

「わふ」


 ごめんなさい。

 私はとりあえず座って話を聞くことにした。


「え、エレキという名前ですのね」

「はい。この狼は電気を操るのでそう名付けました」

「由来もきちんとしてるわ……。ほんっと……カッコいい……」


 うっとりとコチラをみてくる。

 ああ、私のこと好きなんだ。


「魔物を飼っているのはいいけれど大丈夫かしら」

「周りには一応魔物だということは説明してありますし、王都の人もエレキはすでに受け入れられてますゆえ大丈夫です」

「そ、そう。魔物を飼うだなんて前代未聞だけど……こうしてみるといいわね。用心棒としても心強そうですわね」

「そうですね。ワーナガルムの変異種ですし、魔物としての強さも併せ持っておりますから」


 私も家を守ります。

 食わせてもらってるだけじゃただの穀潰しですから。


「……あの、エレキくん」

「あ、一応女の子みたいです」

「エレキちゃんを撫でさせてもらってもいいかしら? その、お恥ずかしい話……私犬が大好きなの。狼もい、犬でしょう? だからこの犬を見たくて来ましたの……」

「そうだったのですか。是非撫でてあげてください。ですが静電気にはお気をつけて。濡れた手で触ると感電いたします」

「わかりましたわ」


 そう言って顎の下を撫でてくる。

 あ、この人わかってる手つきだ。マジの犬好きなのか、犬を撫で慣れているッ!

 これはやばいッ! 凄い快感! 撫でられるの気持ちいい〜! メス堕ちしちゃう〜!


「この毛……ふかふか……。この毛で電気を作るのね……。実にエレガント……」

「わふぅ……」

「お嬢様、そろそろ……」

「あ、そうね。まだ撫でたいけど……。急に押しかけてしまい申し訳ありませんでした。また、再び撫でに来ても宜しくて……?」

「ぜひ。今度は一通、手紙を寄越していただけると都合もつけられます」

「今度からそうするわ……。では」

「わふ」


 まだ撫でられたいので私はジュエル公爵家について行こうとすると。


「私から離れたくないと!? どうしましょうキース様!」

「コラコラ! エレキ!」

「わふっ、わふっ、わふーん!」

「どうやらお嬢様の撫でる手つきが病みつきになったようで。昔から犬の扱いは得意ですから」

「だからと言って主人を簡単に変えるのではない、エレキ!」

「わふ……」


 あの撫でソムリエが帰ってしまう。くっ、気持ちよかったのに。また撫でてもらいたいぜ……。

 ああ、本当に私は犬堕ちしてしまったみたいだ。もう人間の尊厳はないな……。









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