ふざけた目論見
私、大神 雷葉! 17歳の元女子高生!
ひょんなことから死んじゃって異世界でワーナガルムという魔物に転生しちゃった☆
キースさんという優しい優しい貴族の男性に拾われて、ペット生活満喫中!
だったのに。
「いやぁ、まさか男になるなんてな……」
私は自分の顔を鏡でまじまじと見てみる。
元の顔を少し男っぽくしたらこうなるのかなーというような顔。
身長は本当に高く、180cm以上はあるんじゃないだろうか。高身長でイケメン。さすが私。
ただ、ずっと女の子で過ごしてきたし、男の体はあまり好きじゃないので呪いを早く解きたい。
「不思議なこともあるんだねぇ! あの狼がかっこいい男の子に!」
目の前で狼が人に変わる姿を見たモルドルさんは少し興奮しているようだ。
「これも呪いか?」
「そうだ。早く解かなくてはな……。誰がこんなことをしたんだ。俺に嗅がせて性転換させるつもりだったのか?」
「うーん、それなんだがね。その手紙……外装はよくあるものだったが中の便箋を見て気づいたよ。それ、お前の婚約者のアンリさんの家のものだ」
「……は? なぜ、あいつが? ……まぁ、問い詰めてやるしかないな」
そう言った矢先、使用人の一人が、ラドクス伯爵家のご令嬢がやってきたと告げる。
そして、その令嬢が中に入ってきた。
「キース様、おか……え?」
「おい、アンリ」
「え、いや、あ、開けてませんの……?」
「アンリ」
「はひっ!」
キースさんはアンリと呼ばれる令嬢の頭を鷲掴みにする。
「お前……なんてもんを……」
「す……すいませんでしたぁあああああ!」
と、アンリさんは華麗に土下座。
ふーむ、この人、別にキースさんに恨みを抱いてるわけじゃなさそうだけど……。
アンリさんは頭を地べたに擦り付ける。キースさんは頭を抱えていた。
「お前なぜこんなものを……」
「き、キース様を女の子にしたかったから……」
「女の子にしたかった理由は?」
「……たから」
「なんだ?」
「キース様を女の子にして、色々と介抱してもっと好感度を上げたかったからですぅ〜!」
わぉ。思った以上にバカバカしい理由。キースさんもその理由を聞いて頭を抑えていた。
「そんな理由でこんなもんを……」
「女の子になったら右も左もわからない! 同性になってしまったキース様を介抱し、いろいろ教えたところで戻ってお互い気まずくなりながらも仲を深め合う! これが私の目論見です! なんか文句ありますか!」
「開き直んな! ったく……。ん? 戻る? 戻れるのか?」
「はい。呪いの効果は遅くて1ヶ月後、早くて1週間で切れます!」
元には戻れるらしい。
「そうか。ならよかった」
「では、私はこれで……」
「待て。まだ説教が残ってる」
「ひえっ……」
と、キースさんはまだ怒ってる。
助けてやろう。私はキースを制止し、アンリさんの顎をクイっと。
「悪かったね。呪いがかかったのは俺なんだ……。怒ってないから、ごめんなさいだけでいいよ……」
「ご、ごめんなさぁい……」
「うむ、それでいい」
「人の婚約者に何してんだ」
と、キースさんに頭をチョップされた。
「お前、男になったらこんな人たらしになんのかよ。とんなよ俺のを」
「き、キース様……! 今俺のと……!」
「ったく……。今のお前は油断ならねえな」
「ごめんごめん。ふざけただけだからさ。ごめんなさいって言葉聞けたしいいよ。許してあげる」
「大神さんってダウナー系のイケメンなのに結構グイグイいきますね」
「そう? まぁ、イケメンになったんだしこういうことしてきたくない? 女堕としたくなるでしょ」
「魔性の男がすぎる……」
「顔がいいから尚更ですね」
雷葉ちゃん、やっぱ顔がいいからなー。
女の子のときは可愛かったし、男の子のときはイケメン。うーん、恵まれすぎてて辛いぜ……。
「Chu! イケメンすぎててごめん」
「否定できないのが少しムカつく」
「あの……申し訳ないですが顔の形変わるまで殴っていいですか?」
「すいませんでした」
おふざけは程々にします。




