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涙が止まらない

 地下通路を発見したが、私は行くことができない。

 体がデカいから入れないんだよね。私の今の大きさは自動車と同じくらい、もしくはそれ以上ある。身長171cmの委員長を見下ろすとなると、もう2mは越えてるのではないだろうか。


「私はこっちで待機してるからなんかやばかったら逃げ出してきてね」

「わかっている。では、参る」


 私もこういう時に人間に戻れたらなぁとは思う。

 前世の姿に戻っても鼻の良さは変わんなかったのは確認済みだし、なんなら電気を扱う力もあったっぽい。そこまで試してないからまだわかんないけどなんかできるという謎の自信があのときあった。


 私は欠伸をしながら騎士団長の帰りを待っていると。騎士団長はようやく戻ってきた。時間にして1時間程度かかっただろうか。


「長かったね」

「ああ……。通じていた先はミリオストロー子爵の屋敷だったからな。結構長かった。よくぞここまで掘り進めたというか……。何年かかったんだこのトンネルは」

「こっから貴族街まで結構距離あるぞ……」


 長年、ミリオストロー子爵がこのトンネルを掘り進めていたかと思うと涙が止まらない。ミリオストロー子爵はきっと入念に準備をして実行したのだ。私のせいでその長年の努力が水の泡になったと思うと悲しくなってくる。ごめんね。


「とりあえずこの地下通路はふさいでおく。平民の家の下も通ってるみたいだからな……。結構地下深く作られているが、このままにしておくのは危険だろう」

「ですね……」

「地下通路も発見できた。だが、あの君が言っていた薬品に関するものは見つからなかったことを考えるに、ここではない別の場所があるのだろう。この王都で作られたものならばともかく、ほかの貴族の領地で作られたものを君はさすがに追えまい。協力感謝する」

「いいっすよ。また必要な時に呼んでくださいな」


 騎士団長をとりあえず背に乗せて詰め所まで送ろうとした時だった。

 砂のような匂いがする。私はその匂いのほうをふと見た瞬間、私は大きく飛び上がった。そして、私の立っていた地面からなにかが飛び出して、噛みつこうとしてきたのだった。


「っと、なんだこいつは」

「ホル、ホル!」

「こいつはストーンズモグラだ……。本来この地域には生息していない魔物だ」

「なんでそんなのがここに!?」

「わからん。そして、妙なことに本来は人間と共存するくらいには優しい気性をしている魔物だ。こうも襲い掛かってくるのはあの薬品の影響か!?」

「かもしれないですね! とりあえずしょうがないのでやっちゃいましょう」


 私は騎士団長を降ろし、雷を纏う。

 モグラは再び地面に潜った。私はその地面の穴の中に体を突っ込む。モグラは熱心に土を掘り進めているようだ。

 私は雷を飛ばすと、モグラはそのまま感電し、痺れて動けなくなる。

 モグラに近づき、爪をぶっ刺して直接電気をたらふく流し込むとモグラは動かなくなり、死んだ。


 モグラの死体を引っ張って地上まで持っていく。

 丸焦げ状態のモグラを見て騎士団長はうわぁという声を出す。


「お前……」

「殺しちゃいけなかったですか?」

「いや、悪くはないが……。見るも無残だな。これ丸焦げだから、魔物研究棟に出してもその薬品が検出されるだろうか」

「あ」

「焦げて体がボロボロだ」


 電気のせいで体がボロボロ。中身もこんがり雷を流して破壊してしまったので検出されない可能性がある。


「だが……襲い掛かってきたのは事実……。なんか音が聞こえないか?」

「あっちから何か大群が」

「……嘘だろう」


 私たちがそちらに目を向けると、そこには魔物の大群が一気に押し寄せてきていたのだった。


「どうやらやるしかないようですな」

「応援はいるか?」

「一応。取りこぼしあるかもしれないし……」

「ならば今呼び寄せる」


 また大群と戦うよ私は。












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