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空の旅を満喫し、その余韻に浸ったまま屋敷に帰るとキースさんに執事の人が話しかけていた。
その手にはなにやらサバイバルナイフが。この世界にそんな形状のナイフあったか?
「なんだこのナイフ。珍しい形だな?」
「そうでしょう。これをあの異界の男性が出したのです」
「異界の? たしか……モーリ・フータとか言ったか。無からこれを? どんな魔法だそれは」
「わかりません。旦那様から確認していただければ……」
「わかった。確認しよう。エレキも来てくれるか?」
「うん」
そういって私たちは委員長の部屋に訪れた。
委員長の部屋には段ボールがものすごく積んであった。
「なにこの山」
「あ、ああ。エレキに……き、キース様」
「なんだこの箱は? 木ではないようだが」
「これアマ○ンの箱じゃん」
「ア○ゾン?」
「えっと、ダンボールという箱です。邪魔でしたね」
「これどっから調達したの?」
「スマホ、です。これ」
と、委員長のスマホにはア○ゾンのサイトが映し出されている。
ネット通販できるんだこれ。だからこんな箱届いてんの? 結構買ってんなぁ委員長。
キースさんは委員長にナイフを見せる。
「このナイフも君が出したのか?」
「そうです。僕たちも少し役に立ちたいと思って魔物とか狩る練習してたらスマホのレベルが上がって、あっちの世界の物を買うことができるようになったんです」
「なにそのチート」
あっちの世界から物を持って来れるのずるくないか。そのスマホ私にもよこせ。
「異界のものが、手に入る……?」
「金とかはどうすんの?」
「こっちの世界のお金で買えるみたいで買ったらその分のお金が自分が持ってるお金から減って来ます。そろそろ金がなくなりそうで通販で買ったいらないものを周りに売ってるんですよ」
「転売……」
「いや、きちんと正規の値段で! なんなら少し安くしてる!」
ならよし。
委員長はスマホをいじって商品を見せていた。流石に刀のような持つことに免許がいるのはネットでも販売されてなく、刃物は包丁とかこのサバイバルナイフくらいしか見当たらない。
「使えるサイトって限りあるの?」
「ア○ゾン、楽○、ヤ○オクは使えるっぽいよ」
「へぇ……」
「ほら、肉とかも買えるし、カセットコンロとかあるよ」
そりゃすごい。
私は委員長と話していると、話についていけてないキースさんはポカンとしていた。
「な、なんだその魔法の板は!? なんだその調理器具! これはなんなのだ!?」
「カセットコンロっていって、このガスボンベをセットしてこのつまみを回すと」
「火が起きた!? どういう仕組みだ!? こんなに簡単に火を起こせるのか!?」
「あ、やっぱ驚くよねそれ」
キースさんたちは火をつける時は火の魔法をわざわざミリアさんに使ってもらわなくてはならなくて、激しい戦いで消耗したときはミリアさんは魔法が使えなくて、その時は自力で起こすしかないらしい。
火というのは旅においては必要だからな。
「これってガスがなくなったらゴミどうすんの? 回収されないじゃん」
「それについてはなんか都合良くしてくれてるのか、使い終わったものは1日経過するとなくなってるんだ。なんでかはわかんない」
「あぁ……」
あのシャンバラ様がわざわざそういう仕組みにしたんだろうか。都合が良すぎるのは気になるが。
「……金をやるから、そのカセットコンロとやらを売ってくれないか?」
「え? あ、はい。いいですけど……」
「フライパンも必須だろ。その分の金ももらったら?」
「そうだね」
「あとは……ヤフ○クが使えんならさ」
「うん?」
「車なんて買えるんじゃない?」
「あっ」
Amazonには売ってないが、ヤ○オクにならあるんだなこれが。
「ただ、こっちは道なんて馬車のためだけにしか整備されてないし、荒れ道多いからそういうのに強いのがいいかもね」
「でもそうなると高いよ」
「大丈夫。キースさんは王族と仲良いし、この前のルビーさん保護した時とか、君たちを預かった際に報奨金みたいなのもらってるから」
「車……? なんだそれは」
「買ってからのお楽しみ、です」
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