表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/91

ドキドキワクワク

 そのお伽話はマジだったらすごい。

 私は早速王城に向かおうと提案したが。


「あの……戻るのはもう少し先でもいいでしょうか……?」

「はい?」

「その……まだ猫になって数日しか経過しておりませんし……。普段はその、病気のせいで触れない猫ちゃんを堪能できるまたとない機会ですので……」

「呑気な令嬢様だこと!」


 まだ猫の姿でいたいらしい。

 まぁ、王子様とのキスで戻るかはまだハッキリとしてないしな。試してみなければならないが……。

 まぁ、個人の自由を尊重するか……。


「エレキさん、ここを抜け出しませんか?」

「ここを? キースさんが心配すると思うけど……」

「大丈夫です。エレキさんがついていれば安心なので。私、王都を歩いたことがないんです。平民街に降りてみませんか?」

「攫われてもしらないよ」

「その時は助けてください」


 人任せかよ。

 まぁ……別にいいか……。ルビーさんの匂いは記憶してるし、探せばすぐに見つかるだろう。馬車とか使われなかったら。

 私は窓から飛び出し、走って平民街へと駆け出して行ったのだった。


 だが、平民街に出た途端、なんだか異様な光景が。


 鎧を着た騎士の人が聞き込みをしていた。


「あれはノートル様ですね。今の騎士団長様です」

「騎士団長がなぜ平民街に……」

「わかりませんが……こんなとこにいるのを見つかったらダメな気がします。迂回しましょう」

「いや、時すでに遅しだね」


 騎士団長は聞き込みが終わったのかこちらにやってくる。

 ルビーさんは私の体毛の中に身を隠した。


「おや、初めてお会いいたしますなエレキ殿! こんなところでなにを?」

「いや、散歩」

「そうですか。ルビー様はお元気で? 警備はしてないのですか?」

「ルビー様は今キースさんが見てます。騎士団長様こそここでなにを?」

「実はルビー様が獣に変えられた薬を売っていた売人がここら辺にいるそうなのだ。王から勅命を受け、極秘裏に捜査をしているのだが……目撃情報がないのだ」

「そうですか……。その売人の匂いがわかれば私も探せるんですけど」

「むぅ……。ないですな……」


 だろうよ。


「ま、気をつけてください! 私はまた散歩してます!」

「ああ! なるべく早く帰るのだぞ! キース様が心配なさるからなー!」


 声が大きい。

 私は少し心臓をバクバクさせながら少し早足で歩く。


「ふぅ、バレずに済みましたね」

「まぁ、バレるのは時間の問題です。帰ったら私はこっぴどく叱られそうなんで早めに帰りますよ」

「はい。こんな危険な冒険、少しワクワクいたしますね」


 楽しんでる場合か。

 ルビーさんは身を乗り出し街を眺めていた。私も警戒しつつ、少し観光。

 周りの目は少し気になるが……。


 と、なにやら嗅いだことのない匂いを感じる。

 その瞬間、男たちがバッと飛び出して来た。袋を持っている。


「ルビーさん、捕まってて!」

「ふぇ? ひゃああああ……!」


 ルビーさんを攫おうとしてる人だな。

 もしかして監視されてたのか? 私と二人きりで油断している時を狙って来たのだろうか。

 監視されてることに気づかなかったのは何故だ。匂いで分かりそうなのに……。


「な、なんですか!?」

「攫おうとしてるやつがいる。騎士団長にバレるのはしょうがない。騎士団長のとこに向かおう」


 私は騎士団長の前につき、ルビーさんを振り落とす。


「なっ……! ルビー様!?」

「えへへ……見つかりました」

「そうじゃなくて、攫おうとして来た奴がいる!」

「なんですと!? 現場まで向かいましょう!」

「いや、匂いは覚えた! 気絶させて連れてくる」


 私は急いで戻り、その男たちの背後に立つ。男たちは失敗したと告げて帰ろうとしていた。

 私はまず、微弱な電気を男の首元に当てた。


「ぎゃああああああ!」

「なんだ!?」

「さっきの……!」

「ガルルル……!」


 許しておくものか! 殺してもいいんだぞっ!

 私は雷を落とす。男たちの足元ギリギリに落ちて、男たちは腰を抜かしていた。


「わ、わわ、悪かった! 頼まれたんだよ!」

「誰に?」

「マリオンさんにだよ! 話した! だから許して……」

「その話を騎士団長にもしたら許してあげる」

「わかりましたぁ!」


 といって、駆け出していった。私は後をついていく。もちろん後をついていくことがバレてる前提で。

 男たちは気絶した男を引きずり、騎士団長の前に行き、私たちがやりましたと泣きながら許しを乞うていた。


「よし」

「よしではない」


 と、背後にキースさんが立っていた。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ