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のろい

 猫になってしまったルビー嬢を連れて王妃の部屋にこもる。

 ルビー嬢はというと。


「小さくなったおかげでこのモフモフがッ……! 気持ちいい……」

「随分と呑気だなオイ」


 私の毛を堪能していた。


「悲観的になってしまってもしょうがないですし、鈍いというのなら解除する方法があるはずですし、この状況を楽しまなければ損ですから」

「強い……」


 猫になったルビー嬢は強く、とりあえずこの状況を楽しむことに決めたようだ。私がこんな姿になったときはちょっとわけわからなくてめちゃくちゃ混乱してたのに。対応力つえー。

 私はルビーさんと会話しながら周囲のにおいを警戒している。が、数時間たってもなにも変化は起きず、王妃がやってきた。


「んああ~~~~! 疲れたわ~~~~!」

「おっふ! ちょ、急に突撃はやめてちょ……」

「このモフモフ堪能しないと疲れとれないのよ!」


 と、撫でられた。手櫛で毛を梳かれる。


「で、顛末はどうなったんですか?」

「ああ、そう。ほかに動物化の呪いをまぎれこませた料理が見つかったわ。バリーの皿にも盛られていたのよ。私の皿と王の皿にもね。で、自白剤を打たれた中庭で見つかった男には改革派のストーン公爵家に指示されたということで、ストーン家当主を拘束し聞き出すことになったわ。あと、その呪いについても聞いたわ」

「解呪する方法は?」

「それがねぇ……。あくまで知ってるのは呪いをかける方法であり、解呪する予定はないから解呪の方法は知らないらしいの。だから東方から呪いについて知っている研究科を呼んで解呪する方法を聞くからちょっと時間かかるわ」

「まぁ、そうでしょうね。解呪する予定はないなら知る必要がありませんもの」


 しばらくは猫のままでいるらしい。

 さすがにルビーさんはため息をついていた。


「父上と母上にこのことを説明いたしませんと……。でも父上と母上は私以上に猫に触れるとくしゃみとかでますし……」

「猫アレルギーは一子相伝かよ」


 両親ともに猫アレルギーらしい。


「とりあえず私から説明して、しばらくは安全のためにも王城で匿うわ」

「王城も安全ですかね? 前に毒を盛った暗殺者来てますけど」

「あー……」


 王妃様が少し渋い顔をしていた。


「なら、キースの家はどうでしょう? エレキも普段はそこにいるのよね?」

「いますけどキースさんって厄介ごと持ち込まれる確率高くないですか?」

「無駄に便利屋ですものあのキース」

「キースさん気苦労絶えねぇー」


 器用というか、いろいろ不運が募ってるせいで厄介ごと持ち込まれやすいなオイ。いや、大体私がいるからっていう理由があるんですけどね。


「ならキースさんのところに面倒を見てもらいましょう。エレキがいれば安心です」

「ですね。このモフモフさは信頼しかありません」

「モフモフに悪い子はいませんものね」

「なにそのモフモフに対する信仰心……」


 私がいるからとりあえずキースさんのところに預けられるようだ。

 キースさんの困惑する顔が目に浮かぶ。猫に変えられた王子の婚約者を預けられるというプレッシャーよ。王妃の前とかでは何も言わないんだろうけど、家に帰って一人とか私だけになったらめっちゃ愚痴を言うんだろうな……。


「じゃ、決まりね。明日、あの人には話しておくから……。もう寝ましょう」

「そうですね。おやすみなさいませ」

「ほら、二人もベッドに乗るのよ。そこで寝るのは寂しいでしょう?」

「いいんですか?」

「いいの。ほら、来なさい」


 そういって手招いてくるので、私たちは王妃様に寄り添い眠ったのだった。ナチュラルにお泊りしたな。










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