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変異種

 ここはどこだろう?

 風の音が聞こえる。もしかしてあの世? もしかしてあの世なのだろうか。

 私はゆっくりと目を覚ます。


 ここは、どこだ。森の中……?

 私は見知らぬ森の中にいた。生きてたとして運ばれるのは病院じゃないの? 葬儀中に息を吹き返して式場だとかじゃないの? え、森に放置?


 ひど……。と思いながらふと下を見ると、モフモフとした手があった。人間の手じゃない。


「……?」


 ふと手を挙げてみるとそのモフモフの手が同じような動きをする。

 これ、犬、だよな。猫の手じゃあない。犬……にしてはデカイ気がするが。とりあえず姿を確認したい!

 私は急いで水たまりを探してみると、すぐ側に泉があった。泉に自分の姿を映してみると。


「わふーーーん!?」


 なんと、狼のような姿が映っていた。

 これが、私? 嘘、死んで犬に転生した……いや、犬にしてはデカイ気がする。もしかして狼か?

 死んで狼に転生した……ってコト!?


「ワフ……」


 言葉も話せないし!

 転生なんてあるの? いや、輪廻転生とかそういう言葉は知ってる。知ってるんだけども……。まじにある、の?

 ってことはここは日本じゃない別の国? 狼がいるとしたらノルウェーとか?


 と、とりあえず歩いてみよう。何かヒントがあるはず。ここは一体どこなのか。

 私は歩いていると馬の鳴き声が聞こえた。それに、少し肉が焼けている匂いがする。こっちだ。


 私はその肉の匂いを辿っていくと。


「ワフっ!?」


 なんか鎧を着た人が肉を焼いていた。

 よ、鎧? 着る人いるの? てか剣、杖? え、なにこれ。もしかして、ここって異世界とかそういうの?

 

「おい、魔物が来たぞ」

「こいつは……! Sランクのワーナガルムの子どもだ……。ワーナガルムは本来、警戒心が強く人前に滅多に姿を現さないはず……」

「チャンスだ。素材を剥ぎ取って売ろうぜ!」

「そうだな」


 会話が聞こえてしまった。

 その鎧の人たち四人は剣を構えたりしている。


 に、逃げなくては! また死ぬことになる!

 私はとりあえず全力で逃げようとした瞬間、バチっとした感覚が起こる。


 なんか変な感じ。とりあえず大声を出してみた。その瞬間、私に雷が落ちてきたのだった。


「わふっ!?」

「うおっ、すげえ雷……! こんな晴れてんのに……いや、曇ってきたぞ!?」

「まるで雷雲を呼び寄せたかのような……。まさかこいつ!」


 私は雷に撃たれても死ななかった。むしろ、毛が逆立ち、バチバチと電気を放っている。

 す、すげえ! 雷に撃たれても平気なんだ!

 でも状況は変わらない。とりあえずなんとかしなきゃ。殺すのはアレだからスタンガンの要領で電撃を流せないだろうか。


 やってみるしかない。

 逃げ切れるとはわからないし、またあんなふうに殺されたくもない。だから戦う。戦わなくてはならない!

 私は地面を握りしめる。


 私はとりあえず全力で距離を詰めて引っ掻いてみる。すると、雷のような電撃が一直線に女の人の方に向かった。ギリギリで避けてはいたが、彼女の背後の木に当たり、木は雷が落ちたかのように燃え始めた。


 凄い威力だ……。これ、スタンガンのような威力ってもしかしてないのだろうか。雷のような感じなんだろうか。


「なんつー雷……。アレに当たったりしたらひとたまりもねぇ……」

「変異種、だな。ワーナガルムはあんな属性はもたない。むしろ雷に弱い種族のはずだ……」

「わふ?」

「今戦うべきじゃないなこれは。報告して討伐隊を……」


 と、討伐隊という言葉が聞こえた。

 討伐隊。それはもしかしなくてもダメな系。逃したら報告されて私を殺すためにそれが組まれるってこと、だよね?

 それ嫌なんですけど。転生したばっかでまた死ぬのは嫌だ!


 ……よし、とりあえず降伏しよう。


「わふ」

「あれ、なんか急に大人しくなったわ……?」

「腹見せてる。懐いたのか?」

「いや……ワーナガルムは人間に懐かない……。もしかしてワーナガルムではないのか?」

「かもしれねえぜ。こんな犬みてえな狼みたことねえよ。よくみたら可愛いじゃん。俺らのペットにしようぜ」

「……まぁいいが魔物だろう。魔物は人に懐くのか?」

「さぁ? 殺そうとしてきたら殺せばいいじゃねえか。こんな電撃を放つ狼なんて殺すのもったいねえ」


 お、従順な態度が功を奏したようだ。素直に従うやつは殺されない。可愛げを見せればいいのだ。

 私はとりあえず男の人の言うことを聞いて、なにかまずかったら逃げようと決意した。














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