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アホですか!

 星が今日もきれいだな……。

 私は庭先の部屋(犬小屋みたいな)で星空を眺める。異世界でも星が奇麗なのは変わりない……。ただ知っている星座なんてこの世界じゃ見たことないけど。

 北斗七星だとかカシオペア座とかオリオン座とかわからない。


「寝るかぁ……」


 私は目をつむり、ウトウトとしていると、なにか匂いを感じた。

 家の裏口のほうからだ。また泥棒か?と思い、眠たい目をこじ開けてその匂いのもとに向かう。裏口の高い塀を乗り越えてきていたのは若い女の子だった。シスターのような恰好をしている。


「んっしょ……。ふいー、侵入成功! ノエルびっくりするだろうなぁ~」

「わふ」

「わぁああああ!?」


 と、大きな声で叫び声をあげた侵入者。

 その声で家に仕えているメイドさんたちや執事の人たちがなんだなんだと集まってくる音が聞こえる。


「なんで魔物がいるのぉ!? 殺されるぅうううううう!」

「また泥棒ですか! お縄につけっ!」

「なんですかこの騒ぎ……。ふああ……。人が気持ちよく寝てますのに……」

「執事さんッ! ノエル! 助けて! 魔物がッ! 今すぐ冒険者ギルドに手配して避難を……!」

「って、なんでここにいるんですか聖女様。魔物? どこですか?」

「あそこだよ! あのワーナガルム! Sランクの魔物! 冒険者もやってるのにわからないの!?」

「あれはリーダーのペットさんですよ」

「……ふぇ? ペット? いやいや、魔物がペット扱いされて怒らないわけないってぇ!」


 ノエルさんと親しげに話してるってことは泥棒ではなさそうだけど……。


「聖女様……。なぜこの屋敷にいらっしゃっているのですか?」

「脱走してノエルを驚かせようとしただけなの! 朝起きたら隣に聖女が寝てるってドッキリ! でも失敗ぃ! 魔物がぁ!」

「はぁ……。あなたは昔からいたずら好きですね……。落ち着いてください。あの魔物は私たちに害をなす存在ではありません。結構お茶目ですよ?」

「そ、そうなのぉ?」

「たしかにSランクの魔物であるワーナガルムが人に懐くのは珍しいとは思いますが、もし殺す気ならばすぐに殺そうとされてます。あそこで呑気に欠伸をしてる魔物がそう見えますか?」

「みえ、ない」


 この女の子は聖女といわれたな。

 で、ノエルを驚かせようと侵入して朝目が覚めたら聖女様が横にいるドッキリを仕掛けようとして私に見つかったみたいだ。

 なんていうアホ……。


「うるっせぇなぁ……。泥棒かぁ?」

「ふあーあ……。魔物が出たって聞こえたから来たけどどこにいるのよ……。眠いから早く討伐してしまいましょ……」

「いえ、この子がエレキを見て叫んだだけです」

「そう? まぁ、エレキは魔物だものね……。解決したんならいいけど……あまり夜に騒がないで頂戴」

「ってか、俺らよりリーダーのほうがいち早く駆けつけてると思ったのに来ねぇな」

「リーダーはここ最近激務でしたから死ぬように爆睡してますよ」

「なんつー警戒心の薄さ……」


 深い眠りにつきすぎて気づいてないようだ。


「それより……聖女様! なぜそんないたずらのためだけに教会を抜け出すんです! 閉塞感がーとか、居場所がなく辛いとか、いじめられてるとかならまだ理解できますし、私だってその時はいいんです! なのにいたずらのためだけに抜け出さないでください! 一応あなたは国にとって大事な人なのですよ!」

「で、でも神父様も誰もいたずらしても寛大な心で許しちゃうしつまらないんだもん……」

「私はそういう反応をもらえるから抜け出してやりたかったと!? 聖女様に言うのもあれですが、アホですか!?」

「な、なにをう!」

「いたずらするために抜け出し侵入してエレキを見て騒いで結局やる前にばれて……。やってることがアホですよアホ!」


 その通り。

 ノエルはきつく聖女様を叱っていた。やっぱり聖女って国にとって大事なんだなと思っているが、国にとって大事名人がこうも簡単に抜け出せる警備ってザラすぎるにもほどが……。


「まて、どうやって抜け出したの?」

「普通に裏口から教会を出て……」

「裏口にも普段は警備が……。もしかして神父様も私にいたずらするのを見越して裏口の警備を……? あんの馬鹿神父! 国にとって大事なやつをいたずらさせるために抜け出させたな! あれは面白がってそういうことしますねぇ! 今すぐ来なさい、神父ともども説教してやります!」

「説教!? やだぁ!?」

「馬鹿なことしてるのはあなたたち二人ですから! あなたの身に何かが起きたら国にとって損失がデカいのですよ! その辺少しは理解しなさい! まだうちのエレキだからよかったものの、本当の魔物なら殺されてますからね!」


 そういって、私に聖女様を乗せるノエルさん。

 どうやら私に運んで行けということだ。道中襲われでもしたらという懸念もあって私と一緒らしい。

 この世界は日本と比べて少し治安が悪いから警護が必要か……。めんどくさいけどそんなこと今行ったらノエルさんがにらんできそうで怖い。










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