異世界のこともっと教えてくれ!
その大群の理由は分かった。
が、それでもまだ謎は残るばかり。なぜ各地でSランク級の魔物が現れて襲わせているのか。
クソ、あのモンキーたちに聞いておけば良かったな。
「なんだそれは……。魔力のようなものを感じない。黒い板だ」
「これですか? スマートフォンっていうやつです」
「すまーとふぉん?」
二人について分かったこと。
まず、なぜかスマホが使える。科学が発達してないこの世界では電波なんてもんはない。
二人曰く、充電も減らずに使えるんだとか。ただ、ソーシャルゲームやSNSは無理で、検索エンジンから検索はできるとのこと。調べられるだけでもチートじゃね?
で、キースさんが驚いているのはわかる。この世界にとって初めてひと目でわかる科学技術の結晶だから。
「すまーとふぉんとやらが魔力もなしに動いてる……? あり得るのか?」
「この世界と別世界じゃ発達した技術が違うんですよ」
「え……?」
「最初に言っておくと、異世界に魔法なんて存在しません」
私がそう言うとキースさんは驚き固まっている。
ガントルさんたちも言ってたな。異世界には魔法がないわけがないと。魔法は人類が発達させて来た技術であり、叡智。生活に必要不可欠であるからない世界は考えられない。
科学なんてのはどこの世界でも少しは発達する。料理なんかはその科学とやらだからな……。火をつけるだけでも大雑把に分類されるなら科学。
「その代わり、この世界よりものすごい科学を発達させたんですよ。例えば……馬を使わずに走らせる車とか」
「……は?」
「他にも階段が動いたり、小さい部屋が上下して階層の行き来を楽にしてくれたり」
「今じゃ全自動のお掃除ロボットとかありますよね!」
「あとは自動で開閉するドアとか?」
そういうのが元の世界にはあると告げると。
「面白そうな世界だな……! 是非とも行ってみたいものだ……! 我々とは違う文化、違う技術! 凄まじいだろうなぁ……」
「やっぱ興味持った」
「なぁ、二人。良ければなんだが、毎日異世界の話を聞かせてくれないか? もっと聞きたい。今度は技術ではなく、文化とかだ! どういった生活をして、どういって生きてるのか! もっと教えてくれ!」
「いいですよ!」
「でも……僕たちもそこまで知ってるわけはないんですけどね」
「スマホあるじゃん」
「調べれば一発ですね!」
キースさんのことはだんだん理解出来た。
キースさんは冒険者。根っからの冒険者気質で、冒険が好き。目新しいものも好きだということ、自分の見聞きしたことは信じず、この目で見ないといけないこと、そして、違う文化に触れるのが好き。
「私としては魔物とかのこと知りたいんだけど……。ワーナガルムって今更聞くけど何?」
「Sランクの魔物だ」
「それ以外の情報は?」
「目撃例がほとんどないしな。俺たちも何度か戦ったことがある程度だ」
「私のことは何もわからないのモヤモヤするぅ」
「ノスタルに聞けばわかるとは思うが……。あれは面倒なんだよなぁ」
「うるさいし……」
興奮したら襲いかかってくるようなやつだし。




