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連れてこられた二人

 キースさんたちと冒険に向かい、敵を討伐して報酬をもらう。

 家に帰ると、前に来たジュエルさんの馬車が止まっていた。この世界の貴族は家紋というものを持っているようで、ジュエルさんはその名の通りダイヤモンドのような紋章だった。


「また何もなしに……」


 キースさんは愚痴を吐いていたが、王子の姿を見て只事ではないと悟ったようだ。

 

「どうかしたのか?」

「キース、大変だ。改革派の野郎がとんでもないことしやがった」

「……そこまで緊急を要することが起きたのか?」

「ああ……。キース、まず最初に……異世界って、信じるか?」

「異世界? あぁ、なんか古い文献にそんな記述あったな。はるか昔、異世界から勇者を呼び出し魔王を討ち取ったって話……。嘘か本当かわからない話にあったな。異世界がどうかしたか?」

「異世界は……端的に言うと存在する。存在して、その異世界から連れて来たんだよ、その改革派が!」

「……意味がわからんが」


 キースさんは意味がわかってないと言うように首を傾げた。

 異世界から来た? 私だけじゃなくてか?

 いや……異世界から来たと明言しているということは私のように転生したというわけではなく、転移?


「異世界が存在する? そんなわけないだろう。大体、異世界が存在するとしても俺らは認識できないはずだ。関わることのない世界線だろ」

「あぁ、こいつめんどくせぇ! 会ったら俺らと違うのがわかる! 来い!」


 そう言って馬車に乗せられていた。

 私も少し気になるのでついていくことにした。異世界ってことはもしかして私の世界から来た人なのかもしれない。

 王城につくと、縄で捕縛されている人と、そして。


「……委員長と大地さん?」


 誰にも聞こえない声でそう呟いた。

 知った顔だった。私のクラスの委員長の毛利(もうり) 風太(ふうた)と、クラスで大人しめの女の子の大地(だいち) 奈央(なお)さんの二人。

 なぜこの二人がここに? 呼び出された?


「この者たちが異世界から来たのだ。だが……」

「ここはどこですか? あなたたちは一体……」

「こ、ここどこぉ?」

「言葉がわからんのだ」


 言葉?

 日本語、話してるだろ。……いや、もしかして私は一応この世界に生まれたからこちらの言葉を理解しているだけなのか? あちらの世界の記憶もあるから日本語ってわかるだけで。

 本来、この国の言語って日本語でも英語でもなんでもないものなんじゃ? わからん。話し言葉は聞いたことあるけど文字とかは見たことないからな。どんな言語使ってるのかわからん。


「この世界のどこでも話されてない言語だ……」

「だろう? こんな言語見たことがない。人間に擬態する魔物かと疑ってノスタルを呼んだが、純度100%の人間だった」

「なんで言っているんだ? 言葉がわからない以上、何をすべきかわからんな……」

「……ここはどこだと言ってるみたい」


 私がそう言うと、会場の全員がギョッと私を見る。


「わかるのか!?」

「なぜわかる!?」

「え、ええ!? 狼が喋ったぁ!?」

「狼が……話した?」


 日本人の彼らはまず私が喋ったことに驚いているようだ。そりゃ無理もない。


「エレキ、なぜわかる!」

「…………」

「いや、まさか……な。いや、うん?」

「とりあえずなぜわかるかなんてこの際どうでもいい。通訳できるか?」

「うん」

「よし。じゃ、会話を試みよう。まずはここはシャンヴァーラ王国だと言うことを伝えてくれ」


 私は王子が言う言葉をそのまま口に出すとあっちも日本語で理解したようだ。

 ここはどこなのかは直ぐには理解できていないようだったが、すぐに理解したようだ。なぜこの世界に呼び出したのか、元の世界に帰れるのかとかそういう質問を投げかけている。


「そんな……戻る方法がわからないなんて」

「幸先不安ですぅ……」

「……彼らは突然知らない場所に連れてこられてパニックになってます。今日は休ませた方がいいですね。キース、悪いが君の家で保護してくれないか?」

「……かしこまりました。エレキ、二人を連れて来てくれ」

「うん。行くよー」


 私は二人を先導し、馬車に乗り込ませた。

 異世界に突如として連れてこられた二人。どうやって連れて来たんだろうか?

 とりあえず二人にはあとでこっそり聞いてみよう。












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