表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
欲望のままに  作者: 潜
1/1

拾得物

とてもとてもファンタジーな話です。書いてみたかった。


 何となく時間が過ぎていく大学の講義中、後ろの席で先生の喋る声を聞き流しながらぼーっと窓の外を見つめる。


「…では今日はここまでにしたいと思います。来週この時間の最初にレポートを提出して下さい、授業終わりには受けつけませんので」


 講義が終わった、みんなぞろぞろ学生証を通して退出していく。その流れに身を任せながら講義室を出た。

 私はフード付きの深緑色のパーカーを着て黒スキニーをはいている。量産型女子大学生にはなれなかった女子大学生だ。実家暮らしで自転車で大学へ通っている。

 今日もいつもと同じ帰り道、同じ下り坂、のはずだったのだが、、、


シャーっとブレーキに手をかけずに下り坂を降りて行く。

風が気持ちいい。なんとはなしに通っている大学の講義終わりには清々しく感じる。

(ん?) 一瞬何かが視界に入った。慌てる必要もなかったのに、慌ててブレーキをかけ止まった。振り返ってみると、ノートが落ちている。気になってしまい、ノートを手にして表紙を見た。


『願いが叶うノート』


あまりに胡散臭すぎる。まるでなろう小説だ。

だけど内容が内容なだけに気になってしまい、結局カゴにぶち込み帰宅した。


家には誰もいない。まだ家族は帰ってはいない。

荷物を適当に置き、自分の机にさっき拾ったノートを広げてみた。何でも叶うんかな。


最初のページに使い方のようなものが書いてあった。


「【願いが叶うノート】 これは書いたことが何でも叶うノートです。◯◯が欲しいや、◯◯になりたい、等自由に書きましょう。日付や時間設定もでき、あなたの思うままです。願いを取り消すには書いたページを破れば元通り。素敵な人生になること間違いありません!」


はあ。青いたぬきが出しそうな道具だ…。試しに書きたくはなる。そうだな、、コンビニのチキンが食べたいな。

私はノートに「◯◯チキが食べたい」と書いた。書いた直後、いい匂いがした。顔を上げると、さっきまで何も無かった机の上に、それが出現していた。うおぉ…



これはかなり危険な代物だ。私が本気を出せばこの世界はどうとでもなってしまう。

まぁ、私にそんな大それた事は起こせないし起こしたくもない。SNSに依存してる私にとって、好きな漫画のアップや、好きな動画、好きな音楽の新作を観られる今がとても幸せだから。悪用したら、とんでもない事になることは言うまでもない。


ただ、私は少し欲が強い。いや私に限った話ではないと思う。お金が欲しい、可愛くなりたい、推しに貢ぎたい、旅行や遊びに行きたい。そんな欲が止まらない。使いたい。これを使ってやりたい。



…破れば全て元通りなんだもんね…。

私は1度、欲望に忠実になることにした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ