5話
そして、さらに2年後の現在。俺はその教室のドアを開けた。
俺が務めていた女子校の教室とは打って変わって狭く、人数も少なく、そして静かな教室だ。
俺はゆっくりとした足取りで、教室のドアから教壇の方へ歩いていく。
生徒の顔を見ることができない。緊張しているのだろう。でもまあ、教壇に立ってしまえば、嫌でも見ることになる。
やがて教壇に着いた。俺は一人ずつ生徒を眺める。生徒は三人。聞いていた通り、全員女性だ。俺が選ばれた理由の一つである。俺は女子校の教師であったから、ある程度慣れているのだ。
まず一人目は、短髪で、目つきが鋭い。明らかに攻撃的な、いかにも大量に人を殺していそうな、尋常じゃない雰囲気がある。
続いて二人目は、幼げで可愛らしい女の子であった。ツインテールの髪型で、顔は童顔である。しかしどこか、人を見下しているかのような、どんな意地悪をしてやろうかと考えていそうな、不気味な笑みを浮かべている。
そして、最後の三人目だ。
「おやおや。これはまた、懐かしい顔が現れたものだな」
三人目を見る前に、先に声が耳に入ってきた。その美しくも不気味で、冷酷な言葉使いの声に、俺は鳥肌が立った。
忘れるはずがない声。俺はその声のした先を見る。
「……っ!?」
その時の俺は、きっとこの世の終わりのような顔をしていただろう。
「いやあ、君に再会できて嬉しいよ。相変わらず、素敵な顔をしているね」
俺はただ、呆然と三人目の女性を見つめる。
「ああ、そうだ。君のご家族の死は、きっと有効活用されたと思う。私としてもホッとしたよ。無駄死にさせてしまっては、申し訳なかったからね」
のうのうと語る彼女の名は、黒ノ彩。
俺の家族を皆殺しにし、すでに死刑執行されているはずの黒ノ彩であった。




