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死刑囚ハーレム  作者: violet
プロローグ
5/25

4話

「飯塚さん。お久しぶりです」


 俺は彼の名を呼んだ。彼の名は飯塚(いいづか) 良樹(よしき)。黒ノを逮捕した時の担当刑事である。


 俺と飯塚はテーブル越しに向かい合う形で椅子に腰掛けた。


「城島さん。その後、どうですか」

「いえ、まあ。やっぱり辛いですよ。あれから4年ですか。それだけ経っても、傷が癒えることなんてないです」


 俺は飯塚の問いに対して素直に答えた。飯塚は被害者遺族である俺のケアを良くしてくれた。だから俺は彼に対して全幅の信頼を置いている。


 それから俺は、飯塚さんに弱音を沢山吐いた。飯塚さんはやはり変わらずお優しい方で、とても親身になって俺の言うことを聞いてくれる。


「それでね城島さん。今回はあなたに頼みたいことがあって来たんです」

「頼み、ですか」


 俺は聞き返したものの、しかし飯塚さんの頼みだったら、何だって聞くつもりであった。


「城島さん。実は2年後に、死刑制度が廃止となります」

「死刑制度が、廃止……?」


 俺は思わず聞き返した。


「なぜです? どうして死刑制度が、廃止に……?」

「理由はまあ、いくらでもあります。国が合理的に考えて、死刑を廃止するんでしょう」

「そんな。でも彼らに、生きる権利なんて、ないでしょう!」


 俺は興奮するあまり、テーブルを強く叩いてしまう。


「お気持ちは分かります。しかし彼らにも人権がある。死刑は、その人権を踏みにじる行為です」

「因果応報じゃないですか。最初に人権を踏みにじったのは、当の本人でしょう」


 俺は少し冷静になって。いや、なっていないかも知れないけれど。ともかく落ち着いた口調で言った。


「仰る通りです。しかし国が国なりの理由で人を死刑にするように、死刑囚は彼らなりの理由で人を殺している」

「彼らなりの、理由……」


 俺は飯塚さんの言葉を繰り返した。


――君の家族は、実験によって尊い犠牲となった。だが誇って良い。この実験によって国は、世界はさらなる進歩を遂げる。必要な犠牲だったんだ。


 そして、黒ノの言葉を思い出す。実験。国が、世界が進歩を遂げるための実験。そのために家族を殺したという。


 なんてふざけた理由だ。


「私たちは常に理知的であるべきだ。だからこそ、殺人鬼たちと同じことをしてはならない」


 飯塚さんの言葉に、納得できる訳がなかった。


「じゃあ飯塚さん。遺族の気持ちはどうなるんですか」


 俺は、悲しげに言った。


「だからこそだよ城島さん。あなたに頼みたいことがあるんだ」


 飯塚さんは熱意を込めた眼差しを向ける。


「城島さん。あなたに死刑囚のための学校の教師になってもらいたい」


 

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