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闇討ち

 「あいつ素直なやつだな……男らしい?」

 決闘の10分前には、風子は戦場を一望できるかつての高層の建物に上って上空からMAPを見渡していた。

 戦力の劣る一輪バイクで、多脚戦車に勝つためには、多少卑怯なこともしないと行けなかった。

 風子は負けるのが嫌いだった。

 すでに、雷蔵が通るであろうルートには、鋼鉄のワイヤーによる罠などを仕掛けておいた。

 ちなみにこの罠は、バイク同士だと命に係わるので後で絶対解除を忘れないようにしなくてはいけないので、設置場所のメモは残してある。

 「急がないと……」

 風子は、全身黒ずくめのツナギと、各部位にはプロテクターを装着していた。

 このプロテクターは必要に応じて、高圧ガスを噴出して装着者を守るエアバックの機能を持っていた。

 ヘルメットには各種センサーと、バイザー内には見えない状況でもCGによる視覚補正を行ってくれる機能が備わっていた。

 かつての高層マンションの非常階段を、一輪バイクで軽やかに登って行く。

 立乗りでバランスを取っているが、ほとんどはオートバランサーでまかなっており、ライダーに不安感を与えなかった。

 高層階に、タイマー式で発射する仕組みの固定砲台を設置する。

 弾はもちろんペイント弾。フルオートでその場で仕留めるのも考えたが、それではいまいち勝った実感に乏しかったので、この一撃を囮として、広場で仕留めることにする。

 瓦礫を華麗なバイクテクニックで乗り越えて、比較的きれいな舗装路を使って爆走する。

 オーロバランサーが優秀でも、こう荒れていると危ないので、なるべく最短距離を通って、広場に向かう。

 ちょうど、広場に抜けると、多脚戦車が転げるように入ってきた。

 仕留めるっ!

 バイクに設置されたミニガンの姿勢制御を、多脚戦車にロックオンさせていたので、車体の向きにかかわらず可能な限り、多脚戦車にペイント弾を打ち込んだ。



「RGX750。多脚戦車が……あぁ」


 不意打ちどころではない。これはほぼ闇討ちである。

 一方的な戦況を見て、ドローンからの情報から把握した智子は、気の毒そうに多脚戦車を見た。

 せめて、多脚戦車同士の戦いが見たかったと智子は思った。

 これでは、多脚戦車の男らしい戦闘が見れないではないか……

 地の利は、一輪バイクの側にあり、このままでは勝敗は明らかである。

 「ほら、雷蔵くんもう自暴自棄な感じの動きで、多脚戦車の足を止めて、上半身クルクル回して打ち始めたよ……」

 やけくそと言った風の動きで打ちまくる多脚戦車だったが、無情にもついにペイント弾が尽きた。

 今度は上部のハッチが開くと、雷蔵が頭を出した。手には銃剣のモデルガンを携えて、頭には鉢巻を巻き、目を血走らせ、降りてきた。

 ちなみにこれは智子のイメージだ。

 実際には、きちんとサバイバルゲーム用のゴーグルと、マスクとヘルメットをかぶっていた。

 少し離れた位置で、風子もバイクを停めたが、単発のライフルをガチャンガチャンと打つ雷蔵を、あざ笑うかのようにアサルトライフルタイプのモデルガンを、フルオートで斉射した。これはBB弾だ。


 「あいたたた……」


 智子は一人痛そうに顔をしかめて見ていた。

 そこそこ近い距離のフルオート……これは痛い。

 痛そうに雷蔵が飛び跳ねるが、風子は打つのを止めなかった。

 聞こえない高笑いが聞こえる……そう智子は思った。


 モニターを眺めていると、その後雷蔵が何やらわめいていた様子だったが、今度は風子が走り出したと思うや否や、ドロップキックをかまして、雷蔵が吹き飛んだところで試合は終了した。

 智子は、冷蔵庫の飲み物と、救急箱を乗り物に詰め、試合の労いをすべく、監視ルームから出て、ゆっくりとした動作で、小型電気自動車に乗り込むと現地へと向かった。


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