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進化するラッパー

「わしらの一回戦だれじゃったかのう?」


「あれじゃ……ラッパーじゃ」


「ラッパー……?」


「なかなか強敵じゃったぞ」


「敵ロボのタイプも気になりますね……あ、智子さんこのチームですね」


相手のロボのデザインは、一機目は頭に赤い野球帽の様なシルエットの装甲。全体的に黒寄りのブラウンで塗装され、肩には古のラジカセのシルエットの、おそらくキャノンが設置されていた。腰回りのパーツが変形して、ターンテーブル型にフレームが展開するようだった。

「一機目はおそらく遠距離か中距離…もしくは後方支援機だよね。」


二機目のデザインは、割と軽量化に特化し、頭がコマの様に先端がとがっていた。おそらくブレイクダンスを踊りつつ、カポエラノ様に足で攻撃するタイプに見えた。

足には鋭利な刃物のようなブレードが追加されていて、代わりに腕が短かった。

若干異形タイプのロボだった。

比較的機能重視よりかは、テーマ重視の大会なので、珍しいタイプと言えた。


「おお、そうじゃ!なかなかの蹴りの達人じゃったぞ……」


「じゃが、やつらの強さはそこではなかったのじゃ……」


「うむ、あの楽器使いと組み合わせることであそこまでの強敵になるとは……」


「人間の耳には平衡感覚を司る器官がついているのは分かっていると思うが、そこを狂わされるのじゃよ。」


「大鬼よ……あのリズム……いやビートを再現するぞ」


「yoyo……チェケチェケ……貴様の生き様、さまざまに無様、何様俺様旦那様」


「流動、街道、デッカイどう、北海道、水海道、どうどうめぐりの俺たちどう?」


「……」

風子は若干呆れていた。

「なんだろう……1990年代初頭のラップというか……こうダサい感じの……。」


「いえ、これはこれでその後の文化には貢献したのではないかと私は思うのですよ……」


「そうじゃ、やつらのラップの恐ろしさはそこにもあったのじゃ……」


「それにしても、ロボは本家っぽい感じのエミネム感すら多少あると言うのに……」


「我々もさすがにあっけにとられてのう……その隙をついて、砲撃の雨あられじゃ。」


「きゃつら、ふざけているのかと思ったら攻撃がガチじゃった。」


「混乱に乗じてのカポエラ攻撃じゃ!強敵じゃった」


「その後のラップ攻撃もそうじゃが、後ろのDJのスクラッチさばきと言ったら……そのリズムに乗せて、カポエラ攻撃がリズミカルに我々を襲ったのじゃ……」


「やつらのラップもどんどん洗練されていったのじゃ……2000年代風にじゃ……」


「あぁ、ずいぶん恰好よくなってしまってのう……再現は難しいが、やってみるかの龍二よ」


「俺たちの妨害、するやつ老害、戦えば惨敗、勝てば参拝、あいつら産廃!」


「索敵ちゅうのの無敵の俺たち、難敵倒して、不敵な笑みで汽笛をならすならずもの」


「なんだか、最初の頃より素敵な老害な無害なんじゃない?」


「そうじゃ……どんどん世代が進んでどんどん恰好よくなっていくラップを聞いて行くやつらを見ていて、我々も世代交代かと覚悟を決めたその時じゃった……」


「表現はしにくいが、DJの技もどんどんハイレベルになって行き、スクラッチをするたびに我々の機体にも衝撃が伝わるほどじゃった。」


「ところがじゃ……奴らのラップはネタにはしったのじゃ……」


「そうあれでは音楽性も、人間性もすべて台無しじゃよ」


残念そうに二人はラップを続けた。


「まずは俺から始めよう。じじぃの冷や水、温泉行けよ静岡伊豆、困っているひと見ず知らず、踏みつけることむこうみず---」


「その瞬間、音楽に酔いしていた我々は我に返ったのじゃ……こんなものは音楽ではない!ディスって喜ぶやつなどはいないじゃ!」


「鬼神を全速力で稼働させて、まずはラッパーをつぶしたのじゃ。一撃じゃった。」


「続いて竜神でDJのターンテーブルを破壊して、ラジカセキャノンも無効化したところで、やつら白旗を上げおった……」


「うむ、目上の人をディスるなど言語道断じゃ……」


文字通り!そう風子は思った。


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