バカが忍者でやってくる
「これまでの対戦相手ってかなりテンプレ的なやつ多かったよね。」
ふと風子は思って、部屋を見渡す。
「まぁ、ロールプレイは基本だからな。どうしたついに世紀末ヤンキー的な格好を使用と言う相談か?トゲトゲアーマーか、変な鉄仮面用意しようか?今更だけど……もしくはヨーヨーか?」
「ヨーヨーって某デカか?」
風子はそれらしいものを探したが、とりあえず先のとがった傘を手にもつと、雷蔵達にシーっと合図をしながら、天井に傘を突き立てた。
「クセモノ!」
ズドン!
そう言って、天井を貫いた傘の先には赤い液体が付いていた。
「え、風子ちゃんまさか……」
「いや、血の臭いではないけど……」
クンクンと雷蔵は傘の先に鼻を近づけた。
「たぶんケチャップだな……トマトっぽいと言うか、ケチャップ臭い。」
天井に何者かがスパイをしていた。
それは紛れもない事実だが、任務に失敗した場合を想定して、ケチャップを仕込んでいたという事だ。
本当に傘を刺したあたりにスパイがいたとはわからないが、ご丁寧に刺された傘の先に塗ってくれたと考えられた。
「スパイを送り込んでくるとはさすが忍者軍団!恐ろしい奴らだぜ!」
「そうね……恐ろしいお約束集団だわ……」
多少雷蔵と風子のニュアンスが違うが、驚異と言うことは認識できた。
「忍者の弱点ってなんだろう?」
「弱点ってないのではないか?」
「そうね、そうすると弱点を突くのは難しいかな?」
「ちょっと待ってください。電子戦を仕掛けてきた相手ですから……ここかな?」
聡次郎はカバンから何やら装置を出して部屋を歩き始めた。天井に向けたり床に向けたりしていると、何やら反応があったようだ。
コンセントにはたこ足のアダプタが付いていた。
それを抜くと分解を始める。
「あ」
智子はそれを肩越しに見て声を上げた。盗聴器だ。
「お約束の忍者スタイルはダミーですね。こちらが本命でしょうか?」
「おぉ、ハイテク忍者アイテムだな。」
風子が窓の外を眺めると、窓枠に風車が刺さっているのが見えた。気付かれるように良い感じの角度で刺さっていた。もしかしたら、投げたのではなく、突刺して行ったのではないかと思うほど見つけやすい場所に刺さっていた。
風車には手紙が巻きつけてありメッセージが書いてあった。
「嘘でしょ……」
風子は手紙を読んだ。
手紙には次のように書いてあった。
『よくぞ我らの事に気が付いたとまず誉めてやろう。次の対戦楽しみにしているぞ!』
なんと面白くもなんともない文章だ……。
確かに時代劇で、矢文が届いても、大体主人公たちが「な、なに!」とかリアクションするだけだから定型が少ないのだろうが、少し手抜きではないだろうか?
「ふん、さすが忍者だ……きっとこれはあぶり出しに違いない……」
そう言って、部屋に備えられたコンロの所に行きあぶりだした雷蔵は、浮かない顔で戻ってきた。
無言で差し出したその紙には、あぶり出しで『コンプライアンスを遵守しプライバシーの保護は徹底しております。』と書いてあった。
うん、微妙……
「そんなに頭はよさそうじゃない……かな?」
「そうみたいだな……案外これで油断させようとしているのでは?」
四人は頭を抱えたが、シード校と、去年のムカデロボの出来を考えると強豪には違いないだろうと、結論付けた。




