雷蔵、風子の窮地を救う
上空を見上げながら雷蔵は何もしていない訳ではなかった。
風神さまは、オブジェクトの上空にいたが、浮遊しつつフィールドのマップと、敵の位置をスキャンしてデータを作成していたが、そのデータは当然雷神さまに共有されていた。
上空の風神さま目がけて移動していく敵と、こちらにジグザクと迫ってくる敵の存在を雷神さまはとらえていた。
「それにしもて変わった動きをしているな……」
敵の動きは、曲がりくねった道をジグザグと移動しているが、ジャンプでもしているのか、上下にも動いていた。
「oh!ストレンジフル!?とかいうのかね?カウガールさんだったら」
オブジェクトを守る様に言われたのが気がかりで、雷蔵は突撃をすることは控えていたが、相手の動きが正確に把握できるからこそ、こうして落ち着いていられると感じた。
おかげで、上空の風子の危機に一早く気が付くことが出来た。
「あれ!?まさか風子。ピンチなんじゃないの?」
上空では、チャイナドレスロボに吹き飛ばされている風子を感知した。
雷蔵は雷神さまの二刀の剣の柄を合わせてドッキングさせた。
チャイナドレスロボの位置情報、移動のパターンを推測して、若干の自動追尾機能を持たせたその武器を、雷神さまは上空に向けて投げ放った。
一筋の光の様に飛んで行った剣は、如意棒を振り始めたチャイナドレスロボを貫いた。
上空では、風子が如意棒を避けるのをあきらめて、腰の飾り布を動かして防御の体制を取っていた。
「ちょっと困ったな」
と思った瞬間、一筋の光がチャイナドレスロボを貫いた。
狙いはかなり正確で、如意棒を持った腕を吹き飛ばした。
一回戦を勝ち抜いただけあり、判断も早く、腕が吹き飛ぶと、一瞬で後方に大きく下がり、ビルの隙間に隠れた。
さすが……風子もチャンス到来と、自軍のオブジェクトの方に下がって行った。
風神さまのコンピュータも演算を終了していた。
「射撃できる方が風神さまタイプかと思ったけど、近接向きに見えた雷神さまタイプも遠距離射撃できるの……できるアルか?」
ビルの陰に隠れて、中国娘は独り言を言った。きちんとロールプレイを続けているあたりは役者である。
腕がなくなったが、黄色い煙を蹴りあがる「筋斗雲」と呼ばれる飛行機能と、チャイナドレスロボにはまだ攻撃方法が用意されていた。
キョンシータイプが、どこまで敵陣営に近づいたかは不明だが、ここは追いかけて、2対2で真っ向勝負が、次の展開だと中国娘は踏んだ。
風神さまに対して、十分な牽制が出来た。二本の腕と引き換えには少し分が悪かったが、過ぎたことを気にしても仕方がないので、中国娘は前向きにキョンシータイプを追いかけた。
ふわっと風神さまが、雷神さまの所に降りてきた。
「雷蔵ありがとう助かったわ。」
「お、おう……あ、でもそもそも風神さまが共有してくれたデータのおかげで狙撃出来たわけだから。風子の作戦通りなのか?」
「さ、作戦……そ、そうね。な、ないす作戦!さすが私!あははは……」
乾いた笑いが、風神さま雷神さま陣営に響き渡った。




