大会は進んで行く。敵情視察に余念はない。
「おお、なるほど、戦いの観戦はこんな感じなんだ。」
会場には、大きなモニターと、その前には立体映像でミニチュアが実際のロボと同じように再現していた。
風子達は、戦いが終わると、他のチームの戦いの観戦をしていた。
試合の観戦が出来るように、各バトルは時間差で開始されていた。
戦いのフィールドは、かつての市街地だったり、空港の様な場所だったり、していたが、観戦席など設けるにはいちいち手間がかかるので、中継はすべて空中を飛ぶドローンのカメラによるライブ中継だった。
観戦席は開会式が開かれたメイン会場にあり、和気あいあいと各チームを皆応援していた。
「あれ……?」
風子は観客席を眺めていて、気になるところを発見した。
「あぁ、さっきの米国チームのやつらだな……」
そこには、先ほどまでインディアンメイクをしていた大男が、すっぴんのままいた。巨漢はいいのだが、学校指定のジャージを身に纏い、黒縁のメガネをして、スナック菓子を食べながら、会場のメインモニターを眺めていた。
となりには、カウガールだった女の子がいた。こちらも荒野が似合うような恰好ではなく、学校の制服に身を包んでいた。こちらは、セーラー服で三つ編みと、やはり黒縁の分厚いメガネをかけていた。ノートパソコンの様なデバイスで、しきりに何かを打ち込んでいた。先ほどまでとは違い、黙々と無表情だった。
「先ほどまではパイロットとして、ロールプレイに走っていましたが、本来ロボコンをやるような人種はこのように真面目な人が多いのですよ。」
そう聡次郎が言ったが、あまりに変わり過ぎだろう…そう風子は思った。
「ロールプレイによる雰囲気作りって重要なの?」
なんでも、基本的にスポーツや格闘技などとは違い、あくまで技術的な攻防をするため、対抗意識はあってもそれが目に見えて分かりにくいのが、この種目の難点らしい……
ガリガリ細身の黒縁メガネ(偏見)が、雄たけびをあげてガッツポーズを取っても、絵にならないとかそういう事らしく、各学校必死で工夫をしているという事だった。
「うへぇ……」
表現の自由と言うか、表現の過剰演出と言う面が重要で、判定勝負になったとき、ロールプレイによる加点も重要だった。
いつの時代も、やる気を相手に伝えるのは難しいなと風子は思った。
大会は30チームで一回戦を行うので、全15試合行われた。
案の状風子たちの次の対戦相手は、例の中国風のチームに決定したようだ。
この試合も恐ろしく早く決着が付いたようで、風子達が撤収作業を終えて、会場に着いた時には、次の試合が始まっていた。
後で、録画の確認はしないといけないが、ひとまずどういったチームが出ているのか?
それぞれの戦略と、機体の特性だけでも、各チーム研究すると言う風で、データの打ち込みなど黙々と行っていた。
智子と聡次郎も、黙々と機体のデータをノートパソコンに入力していた。
また、各フィールドの地形データの記録も行っている様だった。
すさまじい速さで、要点をまとめている様で、彼らの指先の動きは神速だった。
話しかけるのは止そう……そう風子は思い、ふと雷蔵の方を向くと、彼もまた熱心にタブレット端末に入力していた。
彼は、各チームのパイロットの衣装や、どういったタイプのロールプレイをしているのかを綿密にスケッチしていた。
ところどころ、「○○の件で絡む※事前に△の件は調べておく。」と言うようなメモを書きこんでいた。
「真面目だな……」
風子は雷蔵のロールプレイに対する真剣さに感心した。




