勝ち方にいちゃもんをつけるのはよくない
「ジェロニモ――――!」
インディアンは、自分の放った矢の行く末を見ていた。
もう少しで目標物に届くかと思った時、その矢は直前で何かに弾かれ、オブジェクトに届くことはなかった。
インディアンの絶叫をかき消すように、背後で自軍のオブジェクトが破壊される音が響いた。
狙撃された周囲がはじけると同時に爆発が起きた。
老朽化したオブジェクト内部に設置された爆薬に引火して、バラバラと砕けていた。
「じぇ、じぇろに……も」
インディアンはボソボソと、古より伝わる勇気の出るおまじないを唱えた。
風子と雷蔵は、こうして一回戦を見事突破することが出来た。
試合後、試合の片づけを行っていると、カウガールと、インディアンが、二人のところにやってきた。
「oh!卑怯です。日本。侍の国と聞きました。侍なら正々堂々戦うべきです。それを種子島とは何ごとですか?」
「いや、お前絶対日本人じゃん?髪も目も黒いし、歯並びも縄文系というか?てか、種子島って、お前の設定いつの時代のアメリカだよ!信長は西暦1500年代だし、西部劇は1800年代だし、設定ガバガバなんだよ!」
「oh!これだから、日本人はエコノミックアニマルとか言われるんですよ。細かいことは気にしないでくださーーい。」
カウガールは、顔を赤らめて反論していた。口げんかをしていても、この二人のなりでは、コントの様だった。
「身体的な特徴を言ったらよくないよ……」
インディアンが何故かフォローに回っていた。ロールプレイは貫かないようだった。
いちゃもんをつけに来た二人を、雷蔵はいなした。
「俺らの勝ちになにか、いちゃもんでもつけにきたのか?」
「勝った負けたは関係ないよ!戦い方の問題よ!」
少し納得いかないと言う様子のカウガールと、まぁまぁ負けたししょうがないよねと言う感じの雰囲気でインディアンが、うんうんと言った感じの相槌を打っていた。
「2on2のステゴロの戦いがしたかったよ……狙撃だなんてずるい……」
「見晴らしがいいし、ゴールキーパーも居ないのだから、ゴールを狙って当然……だと思うけど……」
風子は正論を自信なくつぶやいた。
「うっ……そうなんだけどね……」
ロールプレイに素の突っ込みをすることで、なんだか恥ずかしそうな様子のカウガールだった。
「あの、距離をまっすぐ狙撃出来るって、ロボの武器の精度もさることながら、狙撃の腕前もいいよね?」
ロールプレイをいち早く止めたインディアンが、風子の方を見て言った。
「ありがとう……」
「あの距離を狙える可能性は低いと思って、二人で速攻をかけたのだけど、裏目に出てしまったなぁ。」
意外とロールプレイをしていないインディアンは話しやすい人だなと風子は思った。
「私たちに勝ったんだから。絶対優勝するのよ!」
びしっと、指をこちらにたたきつけるようにして、カウガールはズカズカと自軍の片付けに戻って行った。
悪い奴ではないな。と風子は思った。
「なかなか、ロールプレイに徹した良い奴だったな。」
雷蔵も同じ感想を持ったようだが、同じ感想の字面でも、内容には少し温度差があるなと思った。




