heyhey!あなたたちの攻撃はそんなものなの?
フィールドは荒野だった。廃ビルなどの人工物は、かなり風化が進み。その上から砂がたまり、あたりは荒れ地と化していた。
見通しの良い、広大な空間だった。
相手の守護するオブジェクトは、風化されほぼ形をとどめていないかつては何かの像だったのだろう。
自軍の守護するオブジェクトも同様に限定をとどめない何かの像だった。
フィールドの見晴らしが良いので、お互いに視認することが出来た。
一回戦開始と共に、両陣営は動き出す。
狙撃用の武器があれば狙える状態だったため、風子は風神さまをオブジェクトの前に陣取らせて守りに入った。風神さまの背面にある布のような部品から、力場が形成された。
バリアだ。高出力では時間的に制限があったが、この勝負は2on2だ。
「うおぉ!」
雷蔵が、砂地の地面に雷神さまの武器を振り下ろすと、砂塵が舞った。
一時鎬の煙幕を張る。
あてずっぽうに狙撃されては困るので、次の瞬間には次の動きに入った。
雷神さまは、近くの廃ビルに移動すると、横なぎにビルを叩き割り、オブジェクトの前に障害物を配置した。
ズゴゴとビルが傾く様は、ダイナマイトによるビルの解体の様だった。
風神様はその障害物に身を隠しつつ、障害物をさらに丁寧に砕くと、オブジェクトを守る様に配置し直した。
その様子を確認すると、雷神さまを敵陣地に向けて、全開でスロットルを開けた。
愚直の様だが、一直線に向かった雷蔵は、やはり直線的に向かってきた米国のロボ2体と遭遇した。
恐らく、あのカウガールの様な出で立ちをしていた女性が乗っているであろう機体が攻撃を仕掛けてきた。
二本の角を生やし、二足でまっすぐ走ってくる姿は、猛牛の突進の様だったが、二足歩行のシルエットは、カウ……牛と言うよりはミノタウロスの様な機体だった。
俊足だ。斧をふりかぶり雷神さまに向かい振り回す。
雷蔵はその一撃を二刀の剣をクロスして受け止めた。強襲型の雷神さまは、ミノタウロスの攻撃に当たり負けすることなく、ミノタウロスは後方にはじけ飛んだ。
空中で、くるりと体制を整えて着地すると、今度は中距離用のハンドガンを二丁拳銃として構えて、雷神さまに打ち込んできた。
当たり負けしなくても、速度を大分そがれた雷神さまにヒットする。火花を散らして装甲がそれらを弾いた。
そこに斧を持った別の機体が、雷神を襲ってきた。
インディアンの彼が操っていると思われるその機体は、やはりインディアンの様なデザインの機体だった。
背中に弓矢の様なものを背負っていたので、中・遠距離系の攻撃も出来そうだった。
「2対1?」
雷蔵は少し疑問に思った。
斧の攻撃をいなすと、完全に雷神さまは足を止めた。
インディアンの攻撃の次には、サイドからミノタウロスの斧による攻撃があった。
受け止め、いなすと少し距離を取った。
「heyhey!あなたたちの攻撃はそんなものなの?」
通信?いや外部スピーカーによる挑発だった。
スピーカーによる挑発は、ロボットコンテストないでの、自己PRにもなり、加点対象となる。時間切れによる判定になった場合、有利に働く。
「せこいまねを!」
迫りくるインディアンロボに雷神さまは華麗に回し蹴りで吹き飛ばした。
「NONO!判定なんて考えは、初めからナッシングよ!」
雷蔵は、ミノタウロスに突進した。けん制で拳銃を乱射するが、実の所拳銃が当たる確率はそれほど高くないのだ。
「単純にあなたたちの戦い方に残念に思っていただけよっ!」
バックステップで後方にミノタウロスは飛びつつ、また武器を斧へと持ち換える。
「2on2なのに、もう一人はどうしているの!?」
「は?そんなの自軍のオブジェクトを守っているに……」
そこで雷蔵は気が付いた。こいつら自軍のオブジェクトの守りはどうした?
ふと、目を相手のオブジェクトに向けると、そこには丸裸のオブジェクトがあった。
「守りなぞ必要ない!」
急に、インディアンの男が言葉を発した。
「oh!あなたしゃべられたのデスか?」
カウガールも驚いているが、それを気にせずに、インディアンは続けた。
「いくら守りを固めようとも、先に壊してしまえば我々の勝ちだ!」
インディアンロボは背中の弓矢を斜め上目がけて打ち出した。
確かに、全面の防御の対策はしたが、上空からの防御は手薄と言えた。
「oh!攻撃は最大の防御という訳ね!」
確かに…!雷蔵は少しナルホドと思った。
インディアンロボの弓矢は、大きな弧を描いて雷蔵たちのオブジェクトを目指して飛んで行った。
高い……飛行能力がないユニットではもう届かない高さに飛んだ。
肉眼の視認では難しいが、相方なら狙撃可能なのではないか?
「風子!悪いここからオブジェクトの狙撃された!大きな弧を描いて飛んでいくから、障害物を越える可能性がある。」
風子に手短に状況を連絡する。こちらは、外部スピーカーではなく、通信回線だ。
通信の返信は風子からなかった。
ズキャン!!
代わりに、高出力のビームが走った。
次の瞬間、米国のオブジェクトは粉々に砕け散った。
自軍のオブジェクト前から風子は狙撃したのだ。
「何が、ナルホドなんだか……。」
声を出していることに気が付いていない雷蔵からの通信を受けて風子は独り言を言った。




