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風神さま雷神さま出庫する

 「これが俺たちのロボットか!」


 おおっ!と言った感じで雷蔵は感想を述べた。風子も同じことを思ったが声にはしなかった。雷蔵なんかとかぶると恥ずかしいと思っていたからだ。


 学校の地下工場にて建設された風神さまと雷神さまが、工場のライトに照らされて、立っていた。四人はそれを見上げていた。

 ついに形になったとしみじみと見上げ続けていた。

 

 「これもう運転できるのか?」

 雷蔵はワクワクとして言った。

 そこで風子はあることに気が付いた。


 「ところでこれってどうやって会場に持っていくの?そもそも地上に持ち出せるの?リフト見たいなものが見当たらないのだけども」


 「……」

 智子がなぜかうつむいて黙った。


 「え、ま、まさか……え、まさか」


 「いえ、そんなわけはありませんよ。地下で建造して、そとに持ち出せないだなんてバカなこと起きる訳ないじゃないですか!?」


 いつもの笑い顔で聡次郎が応えた。なんだかひきつっている様に見えた。


 「うん、そうよ風子ちゃん……建造してて、気が付いた時には大分組みあがってて、取り返しがつかないなぁと思った時に、生徒会長に相談したら、何とかしてくれるって……」


 聡次郎が言うバカなことが、まさに起きようとしていたのを、他人に丸投げしたということか……

 雷蔵と同じ感想を言いそうになって恥ずかしいと思った自分の小ささを感じながら、風子は話を続けた。


 「で、どうやって出すの?テレポート的な?」


 「技術的にはテレポートも出来なくはないのですが、一度物質を原子レベルに分解して、こうふわっと地上に……でも膨大な電力やら色々と……簡単に言うと予算が足りませんで……今回は物理的になんとかしてもらいました。」


 「うん、ちょっと今回のは、生徒かいに大分仮が出来てしまったなと……来年部費どうなるのか?今は考えられないなと……最低限今回の大会は優勝しないと、廃部は間違いないかなと……」


 「連帯責任で、こちらの部も廃部ですね……きっと」


 暗い顔の2人は、工場の机の上のボタンを押した。

 警報が鳴りだした。

 「うわ、うるさい……」

 思わず耳を抑える風子は、次に地響きとともに、激しい揺れを味わった。


 「な、何だ?地震?」


 何も聞かされていない雷蔵も慌てて、近くの手すりにしがみ付いた。


 「あ、風子に雷蔵くん。大変だと思うけどコクピットに搭乗してもらっていい?地上に出すから」


 ゴゴゴゴゴゴッ!


 その頃、学校の地上では、校内放送が鳴り響いていた。


 「かねてより通達した通り、生徒会権限により、全校生徒ならびに、教職員は、速やかに学校敷地外への退避。または所定の場所へ退避して、安全ベルトを装着してください。ただいまより、校舎の変形を開始します。」

 生徒会長の声が響き渡った。

 

 学校全体が動き始めた。風神さまと雷神さまを収めた地下工場は、実習棟の下にあった。実習棟が、隣のグラウンド側にずれて行き、地下に這わされている配管、配線を一度切断する。その時開いた隙間に、レールが現れて、風神さまと雷神さまを乗せたリフトは左右に分かれて、それぞれ移動を開始した。


 「校舎変形率30%!今の所順調です。」


 同時に、プールが割れて、大量の水を排出しだした。


 ズゴゴーー

 大量の水が流れ出て行った。

 

 風神さまはプールの地下に移動されると、割れたプールからリフトがあがり地上に姿を現した。


 「校舎変形率70%!!もう一息です!頑張れ!がんばれ!」


 体育館の床と天井が割れると、下から雷神さまがせりあがってきた。


 「校舎変形率100%お疲れ様でした!我々はまた一つ夢を叶えたぞ――」


 だんだんとテンションが上がってきた生徒会長の声が校内に響きわたった。

 

 「おぉおおおーーー」

 所定の退避場所のグラウンドの一角に移動した生徒、土手に避難した生徒から歓声が上がった。


 風神さまのコクピットからそれらを見下ろしながら、

 「アホなんじゃないのみんな……」

 風子は雷蔵が言うより早く感想を漏らした。


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