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製造工程に入る

 「あちゃー。やっぱりエロいやつじゃない……。」


 「エロいとは失礼ですよ智子さん。ああいったものを、パイロットスーツと言い張るのを、男のロマン……いえ、様式美と言うものですよ。」


 「うーーん。風子ちゃんには聞かせられないなぁ」


 この時代の部品加工とはどのようなものなのか?

 西暦の頃のものづくりと言えば、マシンングセンターや、複合旋盤、ワイヤー放電加工といったようなNC制御による工作機械を使い、CADCAMにより作成されたNCデータで加工されることが一般的であった。


 この霊子の時代に置いても、図面を入れたらポイと言うほど簡単には未だになっていなかった。

 データの形状認識に加え、AIの技術。霊子による先人の技術により、ある程度の自動化は行われたが、当然材料の分野は分野で進歩が進むので、思う様には無人化が進んでいなかった。

 2人は、加工の塩梅を2人はモニタリングし、完成した部品を測定していた。


 「思ったより順調だね聡次郎ちゃん」


 電子部品の開発と、要所要所の回路のプログラミングを行う作業は手分けをして行っている。


 「これだけの作業量を少人数で出来るだけでも技術の進化は目覚ましいものですが、もう少し『思ったら出来る』くらいにならないものですかねぇ?私考えるのは得意なのですが、どうにも加工とか組み立てとか苦手でして……」


 「臭い、汚い、きついってやつかな?」


 「そうです。何でしたっけ?3d……いや3Kですね。」


 「だれもやりたくないから給料も良かったみたいだけど、いつの日にかお金ももらえなくなってきたらしいしね。」


 「結構大変なんですけどね。きつい挙句に頭も使いますし、技術力も必要なのですが……」


 「技術力って数値化も出来ないし、お金が稼げない=価値がないと言うことなんだろうね。方程式的には……」


 「それこそ、戦争でも起きたりしない限りは、その重要性を省みようとはしないと……」


 「今は、ロボコンが大規模だからね。」


 「何てったって今回のロボコンはほぼ軍事兵器。」


 「とは言え、どういうものが出来て、どういう大会になるのかはすごい楽しみだよね。」


 「本当ですね。」


 「もう後は組み立てかな?」


 「これだけの仕事をほんの3か月でやってしまうとは、我々相当優秀ですよ。」


 加工組み立てが終わる頃には、季節は秋になっていた。

 大会は冬前の時期に行われるため、機体のテストなどを考えるとかなりタイトなスケジュールと言えた。

 ただ、霊子コンピュータ内のシミュレーション上でのスケジューリング的には、予定通りだった。


 「それにしても疲れた……」


 2人の目の下には、設計の頃よりもさらに濃いクマが深く、深く刻まれていた。


 「えぇ、後の組み立ては自動的に出来るから、私たちはもう帰って……休もう……」


 「ダメですよ智子さん……せめて保健室のベッドで寝てください……」


 二人は工場の片隅の休憩所で力尽きた。


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