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特訓スタート。開発チームは設計を

 パイロットチームは操縦訓練、開発チームは設計に入った。

 パイロットチームは戦闘機のパイロットがやるような耐G訓練を手始めに行っていた。

 何Gもかかる訓練だが、風子や雷蔵は先天的に従来の人類に無い様な強靭な肉体を与えられていた。運動性能、反射神経は通常の人類の比ではない。

 それでも耐G訓練はきついものがある。まして風子は女性である。体力的にはかなりきつい……横目に、自分より少し余裕のある雷蔵を見て疎ましく思っていた。


 「耐Gスーツ絶対作ってもらおう。スペシャルなやつ」


 と言いながら雷蔵の横腹に軽くパンチを入れた。


 「うぉ」


 不意を突かれて雷蔵は悲鳴を上げる。

 雷蔵は心配そうに風子に言った。


 「乗り物酔いには梅干しが効くらしいぞ。」


 乗り物酔いなのか?そう風子は思った。




 開発チームは設計を始めていた。

 パイロットチームは先天的に肉体的素養を持ち合わせているので、そこまで訓練するべきこともない。耐G訓練と、あとはシミュレータを作ってしまえば、ものになるはずだ。問題はそのシミュレータも開発チームが作る事にあった。

 ある程度機体の設計が進まないと、それも難しいので、まずは設計だ。

 智子と聡次郎は、工程表を作成してスケジュールを書きこんでいく。


 「まぁ、結構厳しいスケジュールですね。


 「アウトソーシング(外注)は考えないとだね。シミュレータはうちの学校ゲーム研究会とかに頼むとして、耐Gスーツとかも外注先考えないと……」


 「耐Gスーツ。パイロットスーツ。いわゆるパイスーですね。うちの学校に旧世代SF好きの奴がいますので、それは本校に任せてください。」


 「聡次郎ちゃんの学校はほぼ男子校だからな……風子ちゃんのパイロットスーツ変態的なデザインやめてね。殺されるよ?」


 「はは、大丈夫だと……うん……思いますよ。」


 「怪しいなぁ……」


 二人はまずヘッドセットを装着した。

 設計をする為に2人の脳の領域を共有化する。細かい物理演算は学校にある霊子演算装置。霊子コンピュータに振り分けて設計を行う。

 お互いの想像したロボットの形状のデザインから、物理的に無理のないものを選定して行く。

 二人の目の前にはホログラムで形状デザインが作成されていく。クレイモデルの作成だ。

 脳で考えつつ、口頭で意見を交換、お互いにプレゼンをしながら進めていく。

 脳で考えるだけでなく、そのホログラムを触るようにして形状を変形させることも出来た。

 デザイン性を優先しすぎて機構部品が入らない恐れがありそうなところは付箋を貼っておく、霊子データ的な注記だ。

 

 関節などの用途がはっきりしているものは、そのスペースに収まるサイズで、既製品を検索して候補をコンピュータ示してくれた。それを選択して行く。

 ちなみにこのあたりの部品は仮だ。全体的な重量や出力関係で変わってくる。


 「雷蔵君のは強襲タイプだから、一点突破で後方にスラスター的なものを集中的に配置する感じかな?耐えられそうな限界ギリギリの出力を考えておくとして、あと武器かなあ?」


 「風子さんのは盾を持たせるのはかっこいいとは思うのですが、女性にあまり無骨なものは……でもすでに機体が無骨ですかね?」


 「そうだね……風神様と雷神様にあやかったデザインにしているから、ちょっとお相撲さん的な?」


 「ここは力士と言っておきましょう。ブレスト時に金剛力士なんてのも出たので影響が少しありますよね。」


 コツコツと設計を進めていく。霊子コンピュータが、中空化による形状の軽量化。肉盛り、ハニカム構造やリブ形状の付加など、運用を定義することで、自動的に動的応力の解析を行い、設計上の対策を行ってくれる。

 

 雷神さまと名付けられた霊子装甲には、二本の片手剣と、背面には円周上にブースターが追加されていた。まさに「すっとんで行って切り伏せる」と言ったような雷蔵のコンセプトにフィットした設計になっていた。

 対して風神さまと名付けられた霊子装甲には、狙撃用のライフルと、防御用の力場を発生させる装置、いわゆるバリアと機体を浮遊させる為のユニットが組み込まれた機体になっていた。


 「設計的にはこんな感じだね。あとは作ってみてテストしてと言う感じかな?」


 「そうですね。データも出来ましたし、想定されるパイロットへの負荷を計算させて、こちらでパイロットスーツを作成します。」


 「機体データと想定出力のデータはもうあるから、ゲーム研究会に渡して作ってもらう様に頼んでみるね。」


 僅かひと月と言う短い時間で、設計が終了した。とは言え、連続の作業はかなり体に堪えたと見え、二人の頬はコケ、目の下には深いクマが刻まれていた。


 「とりあえず帰って寝ましょう。」


 「そうだね。さすがに疲れたよ。」


 そう言った2人の顔は満足そうだった。


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