ステゴロ!ゴリ戦車
「よりにもよってゴリ戦車とは……」
「そうだよねぇ。ハードモードすぎるよね。」
グラウンドの離れたところから、智子と聡次郎は眺めている。
300mほど離れた中央では、風子と雷蔵がそれぞれ乗ったゴリ戦車が対峙していた。
「智子―試合開始の合図―オーバー」
無線で聞こえてくる風子の声には十分に気合が感じられた。
やれやれと言った感じで、智子はスターターピストルを上空に向けた。
パーーンッ
グラウンド中に響き渡ったピストルの音を合図に、二体のゴリ戦車は動き出す。
正々堂々とゆっくりとゆっくりと2体は近づくと、互いのこぶしが届く範囲まで近づいた。同時にこぶしを振りかぶり、殴り始める2体……
がいーーーん
金属音が響く。3回ほど打ち合うと、だんだん2体の動きがおかしくなってくる。
フラフラと後ろに後ずさるが、どうにか相手に向かい進んでいくが、だんだんと見当違いの方向に歩いては、何もない空間を殴り始める。
お互いのメインモニターが壊れたらしく、相手の位置が分からないと言った風だった。
徐々に他のセンサを活用して相手の位置を見つけられる頃になると、今度は運転方法にミスが目立った来た。
「これは雷蔵も風子さんも相当キテマスネ……」
「そうだね……聡次郎ちゃんのゴリ戦車は対ショックのレベルどんな感じにしているの?」
「実は殴り合う事はもう想定していなかったので、低めです。」
「あー。たぶん私と一緒かな?」
「二発も殴ればもう相当な衝撃でしょうに……よくやりますね。」
「うん……あれはもうセンサ類も滅茶苦茶だから……そろそろ……あ」
二体のゴリ戦車の正面ハッチが開いて、風子と雷蔵の姿が丸見えになった。
二人とも、土気色の顔でお互いを睨む。顔は強がって笑顔を浮かべていた。
「あ……」
「これは行けませんね。」
「そうだね、笑ったまま気絶しているね……」
気が付くと、風子は保健室だった。
カーテンの向こうのベットにも人の気配がする。きっと雷蔵だろう……
「おう、気が付いたか?」
その雷蔵から話しかけられた。
「……気分最悪なんだけど……多脚戦車って乗り心地最悪ね……」
「ゴリ戦車の大会が一回だけだったのはうなずけるな。」
「ええ……ここまで厳しいとは……」
「あんた……風子はただの癇癪もちかと思ったが、根性あるな……」
「あんたもね……その根性はある……」
なんだろう?この喧嘩したあと河原で寝転がり和解するヤンキー同士見たいな展開は……
風子も雷蔵もそう思った。
保健室のドアが開いて、智子と聡次郎が入ってきた。
「二人とも起きた?タフだねぇ」
「えぇ、ゴリ戦車は、機械部はともかく、センサ類はかなりやられてしまいました。」
「とりあえずお互い分かりあえたところで、今日は親睦を深めるという事で、これからロボ物のアニメを見ましょう。」
「お、良いですね智子さん。ひさびさにマラソン(24時間耐久アニメ視聴)しますか?」
その後、往年のロボットアニメを延々と見させられた風子だった。
智子はともかく、雷蔵が少し鬱陶しい……聡次郎の勧めるアニメがことごとく暗くて、少し人格を疑う風子だった。女の子の生体ユニットとか、設定エグイだろう……




