雷蔵と聡次郎
きーんこーんかーんこーん
授業就業のチャイムがなり、雷蔵の元にひとりの同級生が近づいてきた。
「カチコミとやらはどうだった?」
雷蔵は、教科書ノートの類を几帳面に整えると、カバンに入れた。
「聡次郎か……カチコミ失敗でした。」
雷蔵がすまなそうに答えた。
聡次郎と言われた男は、メガネをかけ、細い目で楽しそうに笑顔を浮かべた。
「そうですか……世紀末ヤンキースタイル受けると思ったのですが……残念ですね。」
その笑顔は謀略を巡らせているように見えた。
「なんで聡次郎はそんな大物的なラスボス臭がする話し方をするんだ?まるですごいたくらみがありそうだけど……」
「生まれつきこういう話し方なんですよ。今日は正攻法で行きましょうか。私も同行いたします。」
「そうだな。それが良い。」
「あ、でもキャラ作りは重要ですから、雷蔵くんは今日もこれを……」
聡次郎が差し出したのは、毛染とヘアワックスだった。
あからさまにガッカリした雷蔵を見て聡次郎はまた嬉しそうに微笑んだ。雷蔵をイジルと言う意味では謀略を巡らせている聡次郎だった。
「今日はどの多脚戦車で向かいますか?」
そう言う聡次郎に、雷蔵は指を指す。
「あぁ、ゴリ戦車ですか?目的地まで少し時間かかりますよ?機動力と言う意味では昨日のRGX750の方が早いと思いますが……」
「うーん、むこうのグラウンドの整備しないと行けないからなぁ」
「……まじめですか?その形で……」
「うっせ、この恰好だって別に俺の趣味じゃない……」
「恰好いいですよ!?世紀末ヤンキースタイル。」
ゴリ戦車に雷蔵は乗り込み起動シークエンスに入る。手早く起動する。
聡次郎も後部座席に乗り込む。
ガインッ、ガインッと音を立てて進む。タイヤに比べると歩くスピードはゆっくりだったが、それでも走るよりはずいぶんと早かった。
「うん、軽快です。操縦スキルは相変わらず大したものです。」
聡次郎はそう雷蔵をほめた。
実際、雷蔵の操縦スキルは大したもので、多脚戦車のシリーズは大概乗りこなすことが出来た。
なめらかな操縦もさることながら、銃撃のセンスもあり、止まっているマトも、動体視力がすぐれているのか、動いているマトへの射撃の得点も並はずれていた。
そんな、雷蔵を奇策とも言えないような策で勝った、風子と言う女子に聡次郎は高い関心を持った。
「さて、どんな女性でしょうかね?」
そして、聡次郎は隣の学校のロボコン部には知り合いがいた。かつて共同で研究したこともあり、幼馴染で子どもの頃は近くに住んでいた彼女の名前は智子と言った。
「智子さんも久しぶりですね。お土産のお菓子も買ったし準備は万端です。そちらも楽しみです。」




