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ふたり  作者: ちかおり
3/3

2話★ ボクの名前

「ツ・カ・サって、発音しにくいよね」

食堂の看板を下ろして鍵をかけながら、マックが言った。

 え!?

 いや、それより、この店って、マックの店だったの?

 驚く僕を後にして、マックもDも店の裏手に入って行った。

「同じアジア人のお前でも、発音しにくいのか?」

 Dがマックを一瞥して言った。


「Dのイジワル〜!俺がほとんど中国語しゃべれないの、知ってるでしょうに。母音の連続攻撃なんて、もう発音、不可能なんだって!」

 マックが大げさに嘆いてみせた。

「と言うことで、君の名は今日からツークとしよう」

 ビシッと僕に人差し指をつきたてて、マックが満足そうに宣言した。

 え?

 勝手に命名?

「な? Dだって、ツカサよりツークの方が言い易いだろ?」

 マックがDに同意を求めると、

「どっちでも、いいから」

 と冷たい返事。

 そう、Dは僕のこと、どうでもいい存在なんでしょうね、きっと。


 そんな無駄話をしながら、Dとマックは駐車場のシャッターを開けて、大きなバイクを中から出してきた。


「俺はドローンを乗っけてくから、ツークはDのケツに乗せてもらいな」

 そう言うと、マックはドローンをバイクの荷台にしっかり固定した。

 僕がおずおずとDを見ると、Dは眉間にシワを寄せながら、

「ほら!」

 っと、ヘルメットをボクに投げてよこした。

 やばい…バイクに乗せてもらうなんて、生まれて初めてなんだけど、バレたら馬鹿にされるだろうか。

 僕は出来るだけ平気なフリをして、Dのバイクの後ろにサッと乗る。

 やばい!

 けっこう高くて怖いかも。

 Dの風貌からして、絶対、無謀な運転しそうじゃん!

 ボク、絶叫系のアトラクションは無理な人なんだけど。


 不安で挙動不審になりつつある僕の腕をDが掴むと、

「ちゃんと捕まっとけ」

 そう言って、彼の腰に腕を回すよう指示された。

「あの、D…」

「何だ?」

 Dが僕を振り返る。

「あまり、スピード出さないでくれると助かる…」

 消え入りそうな声でそう頼む僕に、いっそう眉間にシワを寄せてみせたD。

 あ、やっぱ、馬鹿にされたか。

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