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「諦めるのは、まだ早いぞ、イスケ」


 あくる日の昼下がり。

 イスケの口から昨夜の顛末(てんまつ)を聞いた博士は、古ぼけた(かばん)の中から、一つの器具を取り出しました。

 どう見ても、それが聴診器にしか見えないイスケは、首を傾げながら博士に言います。


「これで、どうやって見分けるんですか?」

「こいつを夢の実に当てることで、実の中の音を聞き分けるんじゃよ。良い夢なら、楽しげな声音(こわね)が聞こえるじゃろうし、悪い夢なら、悲しげな声音が聞こえるじゃろう」


 集音部分をイスケの胸に押し当てながら博士が言うと、イスケは、にわかにパーッと笑顔になりました。

 その様子から、イスケがいつもの調子を取り戻したと判断した博士は、聴診器風の器具を鞄に戻し、その鞄をゴーグルとスケートボードと一緒にイスケに渡しながら言いました。


「これ以上、わしがとやかく言わんでも、どうしたら良いか分かってそうじゃな。こいつは壊れやすい物じゃから、大事にするんじゃぞ」

「ありがとうございます!」


 イスケは、博士からそれらを受け取ると、一目散に森へと向かいました。

 博士は、その(ひた)向きな後ろ姿を、工房から見えなくなるまで、(まばゆ)そうに見送っていました。

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