二
ところが、その翌朝のこと。
一晩寝たことで昨夜の興奮が冷めてきたイスケは、どこか心の中がモヤモヤとしていました。
いつものように魚を平らげ、自慢の頭をカッコよくセットした後も、どこかスッキリしないイスケは、小高い丘の中腹にある夢フクロウの工房で、そのことを打ち明けました。
「ふむ。それは、イスケが成長して、大人に近付いた証拠かもしれんのぅ」
「どういう意味ですか、博士?」
イスケが夢フクロウの博士に聞き返すと、博士はスケートボードを手入れする羽根を止めて言います。
「どうしてバクが、夢の実を食べるのを止めないか、よ~く考えてみることじゃ。さすれば、本当の正義とは何かが見えてくるじゃろう。ホッホッホ」
「どうして、バクは夢の実を食べるのか、かぁ……」
イスケが羽根をくちばしの下に添えて考え込みはじめると、博士は再び片羽でドライバーを持ち直して言います。
「荒っぽい使い方をしてくれたおかげで、ちぃとばかし修理に手こずりそうじゃから、今夜は早く寝るんじゃな」
「えぇー。直んないんですか?」
不満そうにイスケが地団駄を踏むと、博士は窘めるように言います。
「ならんものは、ならんわい。それだけ持って、今日は帰りたまえ」
「は~い」
イスケは地団駄を止め、ゴーグルだけを持って工房をあとにしました。