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蒼き瞳に映るソラ  作者: 朝里炒豚
序章・スクールライフ編
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第5話『いざ戦場へ』

 放課後、体育館に併設された更衣室。私達はそこで着替えていた。私は機体と一緒に同梱されていた青いスーツ、学校指定の水着とインナースーツを足して2で割ったような手足の隠れていないスーツを着込んでいく。これが無いと機体を装着できないから。最初のうちは少しだけキツかったが即座に体に馴染んだのは最新の素材、着た本人の形状に勝手に変化する、と言う性質の素材を使用したものだからだろう。体のラインが出てしまうのは恥ずかしいが着心地も悪くは無く、バトル用でもなく下着に欲しいと思うくらいだ。

 とか考えていると何処からか視線を感じた。それは私の3つ隣のロッカーを使っていた氷室さんからのものだった。その視線は一極に集中している。主に胸に。


「何か?」


「なんでもないったら…!」


半ギレ状態のようだ。こんな胸、邪魔だし重いし下着が少ないしロクなこと無いのに。


「二人共、着替えながらでも良いので聞いて下さい」


そんな中、先輩が私達に向けて話しかけ、私達はそれに応えるように視線を彼女へ移す。…氷室さんの目が怒りから絶望に変わってのは気にしない。先輩もそれなりにあるし。


「これから話す通りの作戦でいきます。二人共、私の指示に従ってください」


「作戦?」


「二人の役割はそこまで多くありません。遮蔽物に隠れ、そして私が誘引する敵を撃ち落とす。これだけです」


 作戦的には先輩が囮としてこちらが隠れた遮蔽物の近くまで誘引、その後射程に入り次第叩けと言うものだ。確かに単純で効果的、なおかつ私達に負担は少ないだろう。しかし相手がそう易々と乗るとも思えない。

 かと言って私達に出来ることは限られている。しかも氷室さんの『ブラストアイギス』が居る以上、理に適った戦い方でもある。彼女への作戦の異を唱えるのは難しい。氷室さんも異を唱えたいところだが唱えられない、と言った顔になっている。


「では行きましょう。もうすぐ試合です」




校庭に出ると部活動関係者や見物の学生が沢山居た。どうやらこのバトルは沢山の人に周知されていたらしい。まぁ沢山の運動部を除けて試合をやる以上、情報の統制などは出来ないだろう。しかもこれで『見せしめの廃部』として私達を晒し挙げられるのだから生徒会にとっては利用しない手は無い。

相対する第2トランスアームズ部の面々は既に機体を装着している。機種は知らないが全部軽量の空戦型であるのが一目で分かった。私達も機体を装着すべく、まずは先輩がコアを胸の前に持っていく。


開花ブルーミング


 その掛け声と同時に先輩の体が光に覆われ、『烈花』の機体へと変化する。肌の生身の部分は無くなり、全身が鋼鉄に覆われ『姫野灯花』と言う人は『烈花』となった。続いて氷室さんが左手で握ったコアを自らの前に翳しどこかで見た様なポーズ、左腕を左腰に当て右腕を左斜め上にもって行き言葉を唱えた。


「変身!」


 氷室さんもまた、鋼鉄の体である『ブラストアイギス』へと変貌する。しかし今のポーズ、間違いなくどこかで見たことがあると思ったら昔テレビで観た特撮番組の変身ポーズだ。どうやら『氷室 火澄』と言う少女はそう言うタイプの人間らしい。少し冷ややかな目で見ているとその視線に気付いた彼女が振り返る。


『…何よ』


「恥ずかしくないんですか?」


『五月蝿い!アンタもさっさと…』


「分かってますよ」


どうやら羞恥心はあるようだ。そして私が最後らしい。私も二人の真似ではないが、両腕で握り締めたコアを胸に当てる。息を吸い込み腹に力を込め、機体を自らに纏わせる言葉を放った。


融合マージ!」


光に包まれ次、装甲が展開され全身を覆う。生身の肉が鋼鉄のものへと変化し、目を開くとディスプレイモニターが様々な情報を表示する。機体各部の状況・武装データ・エネルギー残量・操縦者のバイタル、敵機と味方の状況データ。しかしその中に一つだけ気になる表示があった。


(コアがセーフティモード…? あ、この機体カスタムタイプでコアが換装されてるからか)


 そう自分を納得させ、手足や各関節を動かし自分にフィットしているかを確認、呼吸を整える。戦う準備は出来た。後はフィールドへと飛び立つだけ。

 私達が機体を装着したのが確認されると、校庭に『トランスマテリア粒子』が自動でばら撒かれ、森林のフィールドが形成される。フィールドの意味は流れ弾が外に出て余計な被害を出さないようにと、フィールドを制限することで『試合』としての形を作ること、様々な戦場のシチュ-ションを再現することで臨場感を出すこと、などなどの意味があるらしい。だがこれで余計な事を気にせず戦うことが出来る。

 そしてフィールドの展開完了が確認された次の瞬間、試合開始のアナウンスが流れ出した。

一部設定


・トランスマテリア粒子


1980年に発見された特殊粒子の一つ。エネルギー効率が非常に高く、また人工的に生成することも可能であるため現在では少しずつ電力設備の置き換えが進んでいる。

大きな特徴として物質に結合することでその性質を変化させてしまう特性を持つ。例としては金属と結合することによって硬度や質量などが変化、全く別の材質になってしまうなど。

また粒子同士を結合することで一時的ながら物質の生成が出来るのが特徴。バトルフィールドの展開に用いられる。

また通常空間とは異なる空間につながることが可能であり、トランスアームズの格納や展開はその性質を利用して行われる。


世界にある程度の粒子が流通、大気中に微量でも存在すると何かが起きるとかなんとか。



・トランスアームズ


この世界で広く親しまれているロボット。搭乗するのではなく全身に装甲を装着することで自らが変化するのが特徴。全身が覆われるため、搭乗者の姿は分からなくなる。

変化のプロセスはまず体にフレームを装着、そこから機体外装が転送され装着。その後設定された武器が転送される仕組み。

壊れても致命的な損壊でなければある程度なら自己修復してくれる。また展開中はバリアフィールドが存在し、装甲の厚さに比例してバリアフィールドのゲージも大きくなる。

因みにお値段は最安値の新品で5万円ほど(2年くらいの型落ちかつセール品レベル)で高校生でもアルバイトをすれば買え、小中学生でも何年もお小遣いをためれば買えてしまう。

また一部教育機関では授業の体育の一環としても導入されており、競技参加者は非常に多い。

扱うメーカーはとても多く世界にも武器や専用の拡張パーツを製造するメーカーが星の数がある。

反面、機体本体を扱うメーカーは少ない。コア周りにはかなり高度な開発技術と設備を要するため、本体を製造するメーカーは現在では50に満たない。

法で制限されており、特定のエリア外での使用は禁止で罰則は懲役10年。殺人やテロ行為に使用した場合は極刑が適応されることも。また装着者には可能な限りの災害・人命救助などが義務付けられる。



・トランスアームズバトル

文字通りトランスアームズ同士のバトル。火器でドンパチが殆どだが競技であるため奇跡的に今まで死者は出た事が無い。

敗北の条件は機体の破損が操縦者保護危険域に達する、バリアゲージがゼロになる、機体内部の操縦者に負傷もしくは命の危機が及んだ場合、操縦者の意識が途切れる、のいずれかを満たした場合。

逆に相手を上記の状態まで持ち込めば勝利となる。

ただ戦闘するだけでなく、レースや曲芸なども行われることがあるが基本的には戦闘がメインであり、あまり目立たない傾向にある。

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