涙
全て自分が知る限りの話が終わり燐の方を振り向くと言葉を言わないままポロポロと涙を零していた
「…!?お嬢さん!ど…どうしたんだ!?」
燐が泣く姿に驚き必死に頭を撫でながらハンカチを差し出す
「え…あ……えっと…アリアが…可哀想…
私…アリアに助けて貰って…いましたけど…何も知らなくて…」
差し出されたハンカチを受け取り止まらない涙を拭きながらポツリポツリと話す
「…そういえばなんで…お嬢さんは…アリアと」
「悠人…?なんで燐が泣いているのかしら?」
燐に質問としたその時低く冷たい声が二人が座っているベンチの前からする
その声を聞きサァーっと顔が青ざめギギギっとロボットみたいにゆっくりと声のする方に顔を向ける
顔を向けた先にはニコーっと冷たい笑みで笑う両手にペットボトルを抱えたリアが立っている
「べ…弁明の余地を…!!!」
「却下!!何泣かせてんだ!お前は!!」
すぐさま弁明しようとするがそれを許さないアリアは悠人の顔面に狙いを定めてペットボトルの一つを高速で投げつけた
「へ…グハ!?!!」
あまりにも速いスピードで投げつけられたペットボトルが避ける暇なく顔面にヒットする
ペットボトルが顔面に当たったような音には聞こえず鈍器が顔面に当たったような鈍い音が静かな休憩場所に響く
「あ…アリア!!ま…待って…!悠人さん悪くないんです…!!」
アワアワと顔を青ざめながらベンチから立ち上がり二本目を投げようとするアリアを止めようと抱きつく
「あら?違うの??ならなんで燐は泣いているの?ほら 目元少し赤いわよ?冷やしなさい?」
抱きつく燐に頭をヨシヨシと撫でながら投げる予定だった冷たいペットボトルを目元に当て始める
「つ…冷たい……じ…実はですね…?」
冷たいペットボトルにピクっとしながら先ほどまでの出来事をゆっくりと話す
話を聞き終えたアリアはゆっくり燐から離れていき顔面にヒットし痛い!っと言いながらベンチに蹲っている悠人に
「余計な事話してんじゃないわよ!バカ!!」
手でゲンコツを作りトドメを刺すかのように頭を勢いよく殴る
「っ!?!?イテー!!だって!!お嬢さん気になっていただろ!?俺としてはそっちのお嬢さんの存在が気になるんだよ!!」
ァァァァァァ!!っと殴られた頭を抑えながら悲鳴をあげ片手で燐を指差す
「わ…私??けど…私…自分の事がわからないんです……」
指を指され首を傾げ申し訳無さそうに目を伏せながら言う
「燐 気にしないでいいわよ!!今日は帰りましょう!!」
素早く燐の側に戻り手を繋ぐと引っ張るかのように歩き始める
「ちょ…!ま…待って…!!」
頭を抑えたまま帰ろうとする二人を慌てて呼び止めようとする
「……関わらないで 助けてくれたのは感謝するわ
けど もう二度と関わらないで」
呼び止める悠人に視線だけ向け関わるなっといい
そのまま歩いていく
燐は二人を交互に見ながらペコっと悠人にお辞儀をしアリアについていった
二人の姿が見えなくなり悠人はゆっくりと立ち上がる
「…ったく…痺れまでやりやがって…おかげで思うように動けなかったな…あのお嬢さん少し調べるか…」
…あの片目の包帯も近くで見たら術式の特殊な包帯だった 何かを封印しているかのような…
記憶喪失の心を読める女性……何かあるに違いない
悠人はこれからのことを考えながらいつのまにか仕込まれていた痺れが完全に消えたのを確認し
今泊まっているホテルへと帰っていた