新たなる街へ
世界には色んな世界があると思う
その中で私達が住んでいる不思議な世界
見た事ない様々な国の名前などが沢山集まった〝幻夢〟という名の世界
勿論 人間も居るけど それ以上に別種族が多い
妖 魔女 竜人 悪魔 天使 妖精などなどおとぎ話に出てくるような種族
更にその上に行くと神や女神なども居る
ただこの種族達は少しばかりか変わっている
記憶喪失や生前の自分を小さなカケラ程度で覚えているもの…
本当は〝別の種族〟だったものも……
──8150万回目の世界 ××××年×月××日──
「んん……幸せ…に…なりたかった……───…1人にして……ごめんね………」
夢見が悪そうにベッドで眠っている女性がいる
眠る顔は悲しそうな顔で涙を零しながらうわ言のように寝言を言っている
──コツ…カツ…──
泣きながら寝言を言う女性に別の女性が近寄ってくる
涙を流す女性の頭を優しく撫で始め
女性にしては少し低めの声で呼びかける
「燐 朝だよ?起きて?」
黒い長い髪を顔にかからないようにかきあげ頭を撫で続けている
「……ん……アリア……?」
頭を撫でられたまま目を開ける
涙で濡れた瞳は薄水色の綺麗な瞳でカーテン越しに
微かに入る光に反射するかのようにキラキラしている
「おはよ また悪夢?それとも……
〝失くした記憶の一部〟??」
起きた燐に向かい撫でる手を止め笑みを浮かべ
ベッドから一旦離れ窓に向かっていきカーテンを勢いよく開ける
柔らかな暖かいおひまさまの光が部屋に降り注ぐ
「眩しい……えっと…あれ…?確か…
すっごく…悲しい夢でした…けど内容までは…」
お日様の光に思わず片目をつぶりながら目をこすり
夢の内容を思い出そうとしながらベッドから降りる
燐と呼ばれた今起きた女性は自分の名前以外全て忘れてしまっている
初めて目が覚めた時 見たことない森の中で 体はびしょ濡れで身体中いたるところが痛かったけど
目覚めた事に気付いたアリアが泣きながら
「よかった…生きて…もう大丈夫だから」
ポツリと言い抱きしめられた
初めは戸惑ったけど温もりに安心感を覚えた
記憶がない為 自分がどこに住んでいたかすら不明なので今はアリアと一緒に旅をしながら暮らしている
「ふーん…まぁ!夢はすぐ忘れるものよ!!
あ そうだー 今日はまた新しい町へと行くわよ?」
夢を忘れている燐に首をかしげるが
ふと時間を見てこの話はおしまい!っという風に
ほらほら!着替えて!っと燐の背中を洗面台へと押して行く
「わわ…!?あ…新しい町ですか…??」
押されるがまま洗面台に連れていかれ
すぐさま椅子に座らさられて 髪をとかれはじめる
燐の長い髪を丁寧に櫛でときながら 今日はどんな服装にしようかしらと頭で考えながら
「ええ 今日は近くの町で噂で聞いたんだけど
綺麗な花園があるみたいよ?燐 花好きでしょ?
この間も違う町で熱心に花をみていたし」
綺麗な花がたくさんあるはずよっと付け加えながら
いつのまにか燐の髪の手入れは終わり
自分の髪を上だけミニツインテを結い始める
「新しい町…綺麗な花園…それは楽しみですね…?」
ふふと小さく笑いながら楽しそうな声で言う
よいしょっと椅子から立ち上がりアリアの方を向き
「アリア 今日は…どの服装…にしますか?」
燐が着る服はアリアがいつも決めている
アリア曰く
「何を食べたらそのスタイルなのよ!?」っと
体の一部を恨めしそうに見られ 普段自分では着られない服を必要以上に着せてくる
……そんな恨めしそうに見られても ただ重たいだけですからね?(汗)
「んんー…ちょっと待ってねー すぐ終わるから
部屋に戻っていて?」
髪を結いながら悩みまだ決まらないみたいなので
こちらを見ながら伝える
「わかりました…」
コクと頷き洗面台を後にした
ー数分後ー
あれからアリアはすぐに来て服を悩んでいたけど決まったみたいで支度をしている
「アリア…準備できましたよ……」
華が綺麗な場所に行くっという事で白い生地に花柄が所々入っているワンピースにカーディガンを羽織るシンプルな服装になっている
「よし行くわよ!!」
燐の姿を見て満足そうに頷き扉のドアノブに手をかける
アリアは色違いの黒い生地に花柄肩出しワンピース姿 これも恒例 何かと双子系になる
外に出て行き話しながら目的地へと向かって行く
「燐は花は何が好きなの??」
花が好きなのは知っているがそう言えば一番好きな花は知らないなとふと思い 辺りを見ながら隣を歩く燐に聞いてみる
「好きな花ですか…??んー……」
好きな花……花は色々ありますし花言葉も素敵な言葉がありますよね…
そこまで考えふと一つの花が脳裏に浮かぶ
「青薔薇……花言葉は〝奇跡〟〝夢叶う〟」
なぜか花言葉まで脳裏に浮かびポツリという
「へー…素敵な花言葉ね??燐は青薔薇が好きなんですね 燐の瞳にもあっていると思うわよ?」
燐の透き通るような薄水色の片目を見ながらニコと笑う
「あ…ありがとう…けど…片目しか見えないですし……」
今見えている片目とは逆側を触る
あの時 初めて目を覚ました時から絶対に外れない包帯 多分何か意味しているとは思いますけど
アリアに聞いても知らないというのでこればかりはお手上げですね
「片目だけも綺麗だからいいじゃない?ってほらほら!!ついたわよ!!」
目的地の街につくのか街の方を指差す
指差す方向にはとても大きな街が見える
人々が沢山賑わっていてお祭りみたいな騒ぎだ
よくよく見たら至る所に花が沢山咲いている
「ようやくついたわね…花の街といわれる
〝箱庭庭園〟」
燐の手を繋ぎ街へと一歩ずつ入って行く