牢屋の少女
あれからまた月日は経った
加奈は未来予知を変え一人の女の子を産んだ
薄水色の髪 薄水色の瞳 雪みたいな白い肌
静音によく似た子 加奈が一番恐れていたこと
だから 生まれて誰にも目がつかないように 成長しないように 地下の牢屋に涼人にはうまくいい
閉じ込めた
「…今日は…何言われる…かな…?」
光が差さない薄暗い冷たい牢屋に幼い女の子の声が聞こえる
生まれてから放置したようにボサボサの薄水色の足につくほど長い髪を下ツインテに結び薄汚れた白いワンピースを身につけてワンピースから見える手足は傷だらけで足枷 手枷がついており少し動かすたびにジャラジャラ…と小さくなる
牢屋にいる彼女の名前は〝葛木燐〟
能力が心を読むしか出来ず母親から役立たずと言われこの牢屋に閉じこめられている
─キィ………─
ボーっと部屋を何も興味をしめさないように見ていたら扉がゆっくりと開き少しだけ光が差し込んでくる バッと開く扉の方を振り向くと
「あら 起きていたの?役立たず」
燐の顔を見ると見下すように見て汚いものを扱うかのように話しかけコツコツと近寄る
「お母様…おはようございます……」
顔をあげ笑みを浮かべ加奈に挨拶をするがパシンと音がなる
「その口を開くな!!顔を私に向けるな!!!」
笑みを浮かべ挨拶をしただけの燐を平手打ちをし
吐き捨てるようにいいそれだけは物足りず燐を足で突き飛ばし痛みつけるように踏みつける
「…ッ……も…申し訳…ありませんでした……」
痛みに耐えながら許しを乞うように途切れ途切れに言う 幼い姿をしているが実際は彼女は今17歳ぐらい 幼い頃から牢屋に閉じ込められ お日様の光を浴びず満足な食事が取れず10歳ぐらいの姿で時が止まっているのだ
「謝れば済む問題ではないわよ!ったく…本当あの女に似ていてムカつくわ さっさと殺したい
なぜ死なないのかしらね!?役立たずのくせに!!」
ギャーギャー喚きながら無抵抗な燐の体を蹴り飛ばしたり殴ったりし始める 静音によく似たこいつが憎い いつか涼人はが取られてしまう そんなの嫌よ!!!あ…けどもうすぐこいつは……
「そうそう…貴様に明日客人が来るから…用意をしておきなさい?用はそれだけよ」
ニタァと笑みを浮かべ最後に思いっきり体を踏んで満足したようにクルっと扉の方へと行く
ピクリとも動かない燐をチラッと見て吐き捨てるように笑い扉を閉めた
「…私に…客人…??」
加奈が出ていた後にパチっと目を開けムクっと起き上がる いつもされている事で抵抗しなければ早く終わると悟りいつも加奈が満足するまでただ受け入れている もしかしたらこれが〝愛情表現〟かもと淡い期待をしながら
「…様!燐様!ご無事ですか!?」
加奈が完全にいなくなったのを確認しながら一人の兵士が入ってくる
兵士の名はアキラ 元より加奈の事をあまり快く思っていなかった内の一人で偶然王宮の地下に行く加奈をつけていったら燐がいる牢屋の存在を知り度々こうやってやって来るようになった
「……大丈夫……ありがとう…アキラさん……」
無表情のまま小さくいい牢屋の隅へとジャラジャラと移動して行く 基本あまり人と話さない燐は話しかけてくるアキラにはこの対応である
「…涼人様はなぜ気づかないか……燐様 何か食べ物だけでもお食べに……」
牢屋の隅へと移動する燐に心配そうな顔をしながら話しかけ続ける 傷を手当てしようとそーっと燐の体に触ろうとするが
「…っ!?いらない!いらない!何もいらない!!触らないで!!怖い怖い怖い!!殴らないで!蹴らないで!!愛してよ お母様!!」
パシンっとアキラの手を払いのけ耳を塞ぎながら泣き叫ぶように言う 加奈以外が触ろうとすると殴る 蹴る痛みの恐怖から錯乱したようになる
彼女の心はもう壊れる寸前で加奈に愛されたい一心で必死に心を壊れないようにしている
ただ愛されたい そんな目で見ないで 私越しにお母様は誰を思い浮かべているの わたしをみてよ
「……申し訳ありません…あの 応急手当て…こちらにおいておきますね」
泣き叫ぶように言う燐を顔を伏せながら傷薬と包帯を置きチラチラっと見ながら扉をガチャンと閉める
「いい子になれば 役に立てばお母様は愛してくれる このお部屋からもだしてくれる いい子になるからいい子になるから…〝愛して〟」
光を差さない窓を眺めながら何かに祈るように手を合わせ泣きながら言う
ただ 少しでも自分自身をみてほしかった 少しだけでも愛してほしかった 家族から愛されたい
家族以外の奴はいらない
明日燐の運命を変える人がやってくる
そこから彼女は…××××運命なのに