儀式
プロポーズから数週間が経ち この事は国中にも伝わりお祝いムードになった
そして今日結婚式が始まる……
ー教会の中ー
白いウェンディングドレスに紫色の薔薇を散りばめたヴェールを頭に被り幸せそうに涼人の腕に絡み歩く幸せそうに笑う花嫁加奈とそんな加奈を見ながら優しい笑みを浮かべる白いタキシードと胸元には青い薔薇のブローチを刺している涼人が教会の真ん中のバージンロードを歩いている
教壇に着くと神父が二人を見つめにこやかに笑みを浮かべ聖書を片手に
「…幸せな時も困難な時も富める時も貧しき時も病める時も健やかなる時も死が二人を分かつまで愛し 慈しみ 貞節を守る事を誓いますか?」
誓いの言葉を二人に投げかける
「はい 誓います」「……はい 誓います」
加奈は笑みを浮かべたまま即答でいい
涼人は少し間をあけて誓いの言葉を言う
「宜しい では涼人様 新しい女神 王妃の誕生にペンダントを……」
「あぁ……加奈少し首をこちら側に…」
ポケットから箱を取り出し箱からサファイアのペンダントを取り出し加奈の首へゆっくりとかける
すると 薄水色だったペンダントは淡い紫色へと変わっていく
「新しい女神 王妃の誕生に拍手を!!」
神父が高らかに言うと教会の中で大きな拍手が喝采した
「それでは新しい女神様 しきたりの通りに…あの湖へと……」
何もない教会の奥に手をかざすと扉が出現する
カルデァル国に伝わる不思議場所
〝何でも願いが叶う金色に輝く湖〟
歴代女神はこの湖に花嫁の姿のまま潜り自分の前の女神から予言をされる その予言からは逃げる事は不可能だと言われている
「わかりました では涼人 国の皆さん 儀式をうけてきますね」
手を振り笑みを浮かべたまま扉の中へと進んでいく 加奈が入ると扉は消えていった
ー湖ー
金色に輝く不思議な湖の他に花々が咲き誇り一つの庭園みたいな場所にたどり着く
「ふーん…?ここが儀式を受ける場所…ね…?めんどくさいけど仕方ないわよね」
湖にゆっくりとウェンディングドレスの裾を少し持ち上げ目を閉じると勢いよくドボンと沈んで行く
水の冷たさを感じながら目を開けるとそこには身体中から青い薔薇が咲いている静音が淡い光で輝きながら姿をあらわす
「…!!って水の中でも息ができて話せれる……静音久しぶり?さぁ早く予言をしなさい 私が幸せになる予言をね!!」
─……この先双子の女の子が誕生する…二人とも…私に似ている……貴方はこの先…最も大切な人を失う…失いたくないならば………子供を大切にしなさい─
歌うように加奈の方を悲しげな瞳で見て予言をする
「…ッ!?何ですって!?!?静音デタラメはやめなさい!!私が憎いからって!!」
ガッと静音の方を掴もうとするがスッと透けてかすってしまう
─涼人を…幸せにしてね……私は今でも…涼人を愛して…こちらで…待っているから……─
そこまで言うと光とともに湖から姿が消えてゆく
「……死人にクチナシ 涼人は私だけのものよ!!あんたになんかやらない!死んだって私のものよ!!予言を変えてやる!!!」
叫ぶように言うと自分も儀式が終わったのを知らせるかのように淡い光に包まれる
ドス黒い感情を持った偽の光を持つ運命を司る女神が今日誕生した
首元のネックレスは濁っているような淀んでいるような黒紫色に変わっていった