未来予知
記憶の海に眠る燐の記憶が流れ始める
これは約200年前ぐらいの話
一つの不思議な国があった 人の運命を読み取り事が出来正しい未来に導く事ができる歴代受け継がれる能力を持つ女神がいる 運命を司る国 カルデァル国が……
人々は国の頂点に立つ優しい王様 葛木涼人と彼を支える明るく朗らかな女神で妻である葛木静音をそれはそれは深く敬意を示し愛していた
平和で国の住民に愛される王と王妃 花が咲き乱れ不思議な力で国を栄えていた この平和がずっと続くと思っていた
しかし 別国で被害を出していた流行り病がカルデァル国も襲って来て人々は流行り病にかかったが静音が直し死者は0だったがついに静音の身にも病が……
──王宮──
「静音…!まだ死ぬには早いだろ!?このことも未来予知できたならなぜ…なぜ…!助かる方法はいくらでも……!」
顔色が悪くベッドに横たわっている女性の手を両手でしっかり掴み涙声で話している
「涼人……あのね…未来予知できたよ…?だから
流行り病を終わらせるにはね…?私が死ぬしか…ないの……この流行り病は…私を…恨んでいる人が……他国から…持ってきたから……」
泣きそうな涼人の頰を優しく片手で撫でながら笑みを浮かべ泣かないでっと小さく呟くと
「…ッ!!そいつは誰なんだ!静音が死んで平和になる世界なんていらない!!俺は国の民も国も大切だ!!だが…だが…一番に大切に愛しているのは…静音…お前だけなんだ……」
優しく撫でられる手を受け入れながら一筋の涙を零し 頼むから俺と生きてくれって懇願するように消えそうな声で呟く
「……一つ……お願いが…あるの………
〝娘達を守って……この先にできる子供も…〟
できれば…こんな未来…にしたくない…涼人…お願い…約束を守って…??」
ニコと笑ったまま最後の言葉を言うかのように目を合わせお願い事をする
「…この先の子供も……あぁ…静音の…願いなんだろ…?守ってみせる…蘭と共に……」
つられるかのように涙を零したまま笑い今は別室で遊んでいる蘭の名前をあげながら約束は必ず守ると誓う
「……良かっ…た……涼人……また…会う…その日まで……待って…いるから……世界で一番……愛している……一人に…して…ごめ……ん…ね」
途切れ途切れにいい笑みを浮かべたまま涙を零し眠るように目を閉じスルリと撫でていた手もベッドに落ちる
「静…音…??静音静音静音ぇぇぇぇ!!!
俺も世界で一番愛している!一人にしないでくれぇぇぇぇ!!」
眠るように目を閉じた静音の体を叫びながら揺さぶる けれど
もう息はしておらずその目を開く事はなく身体中から綺麗な華が咲き始める
流行病 身体のどこからか蛇のような呪いに侵食され心臓を蛇に喰らい尽くされ最後には力もなくなり目をさますことなく体に宿していた蛇は体の苗床となりやがて身体中に花が咲き死んでいく病だった
静音から咲いた花は青い綺麗な薔薇…花言葉は
〝奇跡〟〝夢叶う〟
青い薔薇が咲く静音をベッドからお越し泣き叫ぶように抱きしめその声に気づき部屋に入ってきた者たちも静音の体をみてその場で泣き崩れた
それから国中に速報として静音の死が発表され国の民も悲しみ涼人は心を閉ざしたように部屋に引きこもってしまった