お伽話の様な噂
真夜中 アリアに言われた通りにまたアリア達が今すぐ家へとやってきた
扉は開かれておりおそるおそる中へと入っていく
「アリア…??来たぞ……」
夜という事もあり静かな声で物音を立てないように静かに歩き家の中を見て回る
家の中には所々いろんな花があるが決して匂いは混ざっておらずむしろいい匂いがする
「あら もう来たのか?燐なら寝ておるから
そんなに静かにしないでいい」
小さな足音に気づいたのか暗い部屋から姿をあらわす 姿を現したアリアの姿は色使いの妖の真っ白な姿になっていた
「…妖の姿?アリア 今からどこに行くんだ
それがお嬢さんに関係するのか…??」
真っ白な妖姿に思わず目を奪われるかのように見つめたがすぐに我に返り首を振り問いただす
「…まぁ いけるかどうかわからないけど…関係はするわ 悠人 聞いたことない?こんな噂…
──人々の記憶が眠る幻の空間 記憶の海─」
この世界には色んな不思議な噂がある
その中でも星が降る綺麗な海空間があり海の底には封じた記憶 忘れ去られた記憶が星となり眠っている 空間にたどり着いたら見たい記憶が見えるという噂があるのだ
「お伽話みたいな噂のやつか…行くあてはあるのか??」
噂は知っていたみたいで納得したように頷くが本当に行けるのか半信半疑の状態になる
「……いけるみたいよ……実はね あの出来事から何か知らないけど……不思議な事が出来るようになっているのよ」
悠人の手を取り手を絡めるように繋ぎブツブツと呪文を唱えるように言い始める
──私は××・××…記憶の海よ 煌めきと願いを乗せ道しるべの様に輝きいざ開け…──
アリアの瞳がボゥとした誰かに乗っ取られているかの様に別の違う人の聞き取れない声で誰かの名前をいい唱えると部屋に大きな穴が出来る
穴の先には綺麗な夜空に星がたくさん雨みたいに降っており深い青色の海が広がる幻想的な空間がみえてくる
ガクンと力を無くした様に白から黒の人間姿にフラリと悠人にアリアはもたれかかる
「アリア!大丈夫か!?今のは…!?」
穴の先に広がる空間に驚きながらももたれかかってきたアリアを抱き締める態勢をとる
「ん……あれ…?私今何したの…??…!記憶の海…!!」
抱き締められながら困惑した様に悠人の方に顔を向けたがすぐに穴の存在に気付きその先に広がる空間を確認すると驚く様に言う
「何をしたの?って…これアリアがしたんだぞ…?」
困惑し驚くアリアに悠人はアリア以上に困惑をした
まるで誰かに乗っ取られたかの様な…そんな様子に
「…とりあえず行きましょう 燐の過去を貴方に見せるわ…私も所々しか知らない…けど記憶さえ見たら貴方も私が燐を守る理由 国に返さない理由も理解してくれる…はずよ」
悠人から離れ穴の中へと早々と入って行く
「ちょ…!おい…!!」
慌ててアリアの後を追いながら自分も穴の中へと入って行く
二人が記憶の海の空間に消えた直後どこからともなく声が聞こえる
───記憶を知って もっともっと燐に依存してそして最後に絶滅してちょうだいね それまではまだ私は眠るから…私の器…♪──
クスクスと誰もいない部屋で女性の笑い声が響く
けれどこの声はどこかで聞いた事あるような声
さっき…記憶の海の穴を出現させたあの声に……
何も知らない燐はいつもの部屋で深く深く眠る
逃げられない悪夢を見ながら……