記憶喪失の彼女の素顔
─カタカタ…カタカタ…─
真夜中のホテルに一つ部屋に薄暗い明りがともり
パソコンの音が鳴っている
「んー…中々情報出てこないな…」
悠人は燐のことを調べようとホテルに戻りとりあえずパソコンで情報を得ようとしていた
心を読む能力を持つ薄水色の瞳を持つ女性…なんか見た事あるんだよな…どこかの国の…
〝前の女神〟に少し似ていた……んー……うがー!!
唸るように自分の記憶から何か出てきそうだが出てこないな記憶力に腹を立てている
ーコンコン……ー
呻き声をあげる悠人の部屋に小さなノックの音がなる
「あ?…っと…んん…誰だ?こんな夜中に」
ノックの音に気づき最初は苛立ったように返事をしてしまったが咳払いをしドアに向かっていく
「悠人様の部屋から奇妙な音が聞こえましたので……」
凛とした声で悠人の名前を呼びながら更にノックをする
「その声…シャウラか 今開けるから」
聞きなれた声に扉をゆっくりと開ける
扉を開けた先には長い茶色の髪を花の髪留めをしたツインテールで緑色の瞳は悠人を見つめ チャイナ服を身につけた女性…シャウラ・ミアプラが姿をあらわす
「悠人様 こんな真夜中に奇妙な音が聞こえたら流石にびっくりしますから …私は悠人様の付き人ですからね 普段は悠人様の側にはいませんがね」
扉を開けるとすぐに悠人の部屋に入っていく
そしてふと電源がついているパソコンに興味を示したのかそちらの方に行く
「俺はもうあの国の跡取りでもないし 血も繋がっていないからな 俺の本当の国は滅んで拾われたのは感謝しているが……っと…今調べごとしてんだよ」
少し思い出すかのように遠い目をしたがパソコンに近寄るシャウラに言う
「…あの悠人様?このいつ撮ったか知らない 元婚約者と映っている薄水色の瞳の女性…
〝カルデァル国の姫さま〟じゃないですか?」
パソコンを覗き込み映っているアリアと燐を指差しながらポツリと言う
「…!?シャウラ!このお嬢さんのこと知っているのか!?」
思いがけない所から情報が知れ興奮したかのようにシャウラの方を向く
「ちょ…悠人様 なんなんですか…この方は多分葛木 燐様…何年か前に行方不明になったお姫様…当時は結構騒いでいましたよ?同じ時にカルデァル国の王様はお亡くなりになられていますから」
興奮する悠人にうわぁっと言う表情を見せ自分が知る限りの情報を話す
「…カルデァル国…確かあそこは…〝運命を司る国〟だったよな?国の女王は運命を司る女神で
人の運命を見て伝える事が出来るのと運命を決める事が出来る不思議な国……あ!思い出した!このお嬢さん…今の国の頂点に君臨する性格悪そうな女王じゃなくて…前の優しそうな運命を司る女神…〝葛木 静音〟に似ているんだ!!」
謎が解けた!と言う風に喜びパソコンの電源を閉じる
「けれど…妙ですね…この…葛木燐様…一時的には行方不明扱いでしたが…途中から…
〝死んだ〟って言われていたんですよね」
自分の情報が正しければですけどねっと付け足しながらそれではおやすみなさいっといい素早く姿を消す
「は?ちょ…シャウラ!謎を置いて行くなー!!……相変わらず素早いな……にしても…素性がわかったな これで 後は…本人達に聞くしかねーな…」
シャウラを呼び止めようとしたがもう姿は見えずに諦め明日またアリア達を探そうとようやくベッドへと向かう
記憶喪失の女性 葛木燐 彼女はカルデァル国の姫様
けどなんで行方不明…死んだ扱い…記憶喪失…それにアリアといるんだ??
謎が一つ解明するとまた謎が一つ二つ出てくる
彼女は一体…何者なんだ…??