表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永遠の誓いー8150万回目の輪廻転生ー  作者: デァラ
第1章 記憶喪失の女性
10/44

彼女の食事

燐の手を繋ぎ 自分達が今住んでいる家へと戻ってきた


「はぁーせっかく花が見れるから行ったのに…厄災日だったわね 燐?」

扉を開けながらため息をつき燐の方を振り向く

振り向くと燐は何か言いたそうな表情をしている


「……悠人から聞いた事は気にしないで?

全て本当の事 私は色使いの妖の生き残り

年齢だって18歳ではない 自分の年齢を忘れるほど一人長く生きてきた……」

燐の頭を撫でながらさぁ 部屋で休みましょう?っと自分達の部屋へと移動する


部屋に着くと二人はソファーに座り燐は相変わらず無口でいる アリアはテーブルに置いてあるクッキーをえいっと燐の口に突っ込む


「むぐ…!?モグモグ……アリア…あの……なんで…自分をそんなに責めたのですか…?」

いきなりクッキーを口に突っ込まれ仕方なく食べ飲み込むと自然と口から言いたい事がスルっと出てくる


「……燐はさ 記憶がないよね??その記憶はさ

嫌な事だったから忘れたかもしれない……だからね?嫌な事は思い出したくないの 私も」

遠回しに話したくないっと燐に伝えながら自分はクッキーを食べずにただ燐が食べる姿を見ている


「……わかりましたよ……アリアは…食べないんですか…??」

そういえば今思えばアリアは食べ物を私の前では食べているのを見ませんねと考えながらクッキーをアリアの口元に運ぼうとする


「…っ…!!り…燐 残り少ないから貴方が食べてしまいなさい 私ちょっと買い足してくるわね」

バッと口元を手で覆いクッキーを口にしないようにすると 良い子に留守番していてねっと逃げるようにまた家から出て行く


「アリア…………」

一人残された燐はソファーに座ったまま俯き

サクサク…っと悲しそうにクッキーを食べる

何も知らない アリアのことを いつも夜中どこかに出かけているのは知っている どこへ…??


─真っ暗な夜道─


「…♪・:*…♪・:*」

街が夜に覆い被さる 獲物をおびき寄せるかのように綺麗な女性の歌声が静かに響く


「お??女性がこんな所で…こんな夜中危ないですよ??」

一人の男性が歌いながら夜道を歩く女性に声をかける


「あら…ありがとう……〝今日の……〟が来たわね」

歌うのをやめ振り返る 月の柔らかな光が女性を照らす ニコと笑うその姿は真っ黒な髪 真っ暗な瞳……家から出て行ったアリアだった


「…?何が来たのですか??」

よく聞き取れなかったのかアリアに一歩ずつ近寄ってくる まるで彼女から目が離せないように おびき寄せられるかのように……


「聞こえなかった??…〝今日のご飯〟が来たって言ったんだよ 下等生物が!!」

いつのまにか男性の足元から昼間戦った時に出てきた闇の手が生えてきて男性を捕え 手足を拘束し口を押さえる


「…っ…!?…!!…!!」

ジタバタと暴れながら何かを言っているが口を押さえられているため何を言っているかわからない

けれど 男性の表情は恐怖で覆い尽くされている


「あは…アハハハハハハ!!その表情いいわね?声をかけなければ良かったのに…あーあ 残念?さて食事にしましょう」

声を高らかに笑いゴスロリの服の袖から札を取り出しバサっと舞わせながら呪文を言う


【我は×× ×× 真の姿を解放する】

聞き取れない言葉で真名をいい舞う札は白い蝶に変わり黒い彼女を覆いつくして姿が変わっていく

黒い長い髪は白い長い髪へと変わり 真っ黒な夜みたいな瞳は白い雪みたいな瞳へと変わり 服装も和服へと変わる 月の光に照らせながら黒から白へ変わるその姿は神秘的な美しさ


「……妾は色使いの妖 ×× ×× さぁ お主の〝魂〟頂くぞ…♪」

ガタガタ震え涙目の男性は懸命に暴れるがまるで意味が成してない

クスクス笑い 一歩ずつ近づいてくる そして男性の胸元にピトっと手を差し出しす


「下等生物よ 安心しろ お主の魂は妾の血となり肉となるのじゃ 名誉な事だろ??本当は今日沢山食べたからいらないと思っていたのじゃが…気が変わってな??」

そこまで言うとズルリっと奇妙な音を立てて男の体から淡い光を取り出す

男は光が取り出されると共にガクっと力が抜け魂が抜けた屍となる


──バリバリ…!ムシャムシャ…!!──

静かな夜に咀嚼する音が響く


「うむうむ……妾は人間の食べ物なんか食えないのじゃ あー…やはり恐怖に覆い尽くされた人間の魂は美味いの〜…♪」

最後まで食べ終わると満足したように白から黒へと自然に変わって行く 人間の姿に戻ると無表情になる


「………本当はこんな事したくないですけどね…だけど…昔を思い出すとダメ……っ…もう忘れたい 忘れたいよ あの出来事を…!!!」

死んだ男性は興味が失せたかのようにズルズルと闇の手が空間へと引きずっていく

あぁ…もう帰らないと…燐が心配してしまう

大丈夫 お土産は沢山沢山あるよ……


彼女は妖

主食は人間の魂 本当は何も食べてなくても生きていけるだけど 気分が悪くなったり 昔を思い出すと時折こうやって食べている

もちろん燐には秘密 …光の彼女にこんな事…こんな所…見せれない……

闇の中 アリアを月の光が照らす 罪を闇を照らすかのように 燐が待つ家へと足早に帰って行った

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ