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九郎くん、大ピンチ!

 

 カフェには俺と菜奈さんの二人きり。チェーン店なのに驚くほどに俺たち以外に誰もいない。

 不気味な雰囲気が漂う。

 そして、菜奈さんが俺に向けるこの恍惚とした視線。これは間違いない。


 ーー病み付き化、いわゆる、ヤンデレ化だ。


 俺は昔から厄介ごとに見舞われることが多々あった。それはちょっとした事故や、こういった女性関係でも。

 自分でも言うのはなんだが、俺はそこまで女性に不人気というわけでもない。だけど、モテたりするわけでもなかった。

 告白だって小学生の頃から含めたら二回ほどされている。しかし、その告白してくる相手に毎度問題があるのだ。


 俺に想いを寄せてくる人は皆、性格に問題があった。


 例えば、小学生の頃ゆずきちゃんという一見普通の女の子とよく遊んでいた。家にも何度かお呼ばれしたので、その時の俺は子供脳だったので特に気にせず上がり込んでいた。

 しかし、ある日のことだった。


『くーちゃん。今日からここがくーちゃんの家だからね?』


 と、ゆずきちゃんに言われ、ゆずきちゃんの部屋に閉じ込められてしまったことがある。

 今でいう、軽度の監禁だ。

 その時はヤンデレといってもやはり小学生なので母親の参入で何事もなく終わったが、今度は中学一年生の時。


 文香という眼鏡っ娘の女の子。その子とは中学入学から席が隣だったので、必然的によく話すようになった。

 しかし毎回何か行事ごとがあると、九郎くんはどこの委員会にする? だの、どの種目に出る? だのと聞いて来た。そこまで聞くと可愛らしいものだ。

 だがしかし、俺が違う女子と少し喋っているだけで、「あの子とどういう関係?」「やめておいたほうがいいよ、あんな女」だの、ついには「九郎くんには私がいるんだから、ほかの女と話す必要ないよね」などと言い始めた。

 当時俺は、この子ちょっと危ないんじゃ……? と勘繰ったものだが、特に気にしなかった。


 しかし、それから事件は起きた。


 クラスが別になり、文香との交流がしばらく途絶えた。

 ある日帰り道に文香を見かけたので、声をかけてみると、振り返った彼女は病的なまでに血色が悪く、痩せ細っていた。

 そして最も驚いたのが、彼女の腕だ。

 無数のリスカの跡があったのだ。夏服だったので瞬時にわかった。

 彼女はそれを気にする事なく曝け出していたのだ。

 そして彼女は言った。「これ、全部九郎くんのせいだから!!!」そして懐からカッターを取り出し、その日は彼女と俺の一方的なリアル鬼ごっことなった。

 そんな日々が続いた後日、さすがに彼女の両親も異変に気付いたらしく、精神科の病院に連れて行くと同時に転校してしまった。

 その時は俺も少し罪悪感を感じたものだ。

 それと同時に開放感もあったけれど。……その一年後にストーカー(京歌)に会うのだが。


 そんな経験がある俺は、少し危ない女子に対しての耐性というか、見る目がついた。

 彼女ーー寄木菜奈さんは、おそらく、俺に対して穏やかでない執着心を持っている。

 俺の中の危険センサーが反応して止まないのだ。


「……ごめん菜奈さん、俺用事思い出した」


 適当な理由をでっちあげて、ひとまず退散を試みる。


「九郎くん、あなた今日は何も用事はないはずよね? あなたは塾にも習い事もやっていないのだし……」


「……」


 俺、菜奈さんにそんな事話してないはず……やばい、なんかやばい。

 今まで全く気がつかなかったけれど、菜奈さんって結構やばい人なんじゃ……。


「どういうことかしら? 私とお話ししたくないということ? ちゃんとした、明確な理由を言ってくれないと私は納得出来ないわ」


 菜奈さんの目から、光が消え失せる。これは京歌が俺によく俺に向ける視線によく似ている。


「いや、その……」


「……まさか、適当な嘘を作って私を遠ざけようとしている? ひどいじゃない、私はこんなにも九郎くんのことをーー」



「愛しているというのに……」



 間近まで迫ってくる菜奈さん。

 その距離は僅か数センチ。俺が軽く会釈をしようとしただけで唇が重なってしまうほどに。


「俺! 帰ります!」


「……」


 凄い勢いで立ち上がり、荷物を持って出口へと向かい、外に出ようとしたその時ーー


 自動ドアが、開かなかった。


 いつの間にか店員も誰もいない。


 何度開くことを試みても、微動だにしなかった。


「ふふふ……」


「!?」


 不気味な笑みを俺に向けながら、ゆっくりと歩いてくる菜奈さん。

 もしかして……!?


「ここは私が貸切にしてもらったの。だから、私がこのお店を出る時でないと反応しないわよ?」


 かし……きり……?

 こんな大都会に店舗を構えるチェーン店をか!?

 幾ら何でも無理だろそんなこと!!!


 菜奈さんは俺の手を掴む。

「さあこれで……」




「ゆっくりお話が出来るわね……」





 俺の青春は、やはり、病んでいる。








更新遅れてしまって申し訳ありません!!!


これからも続けますので、なが〜い目で見守って頂ければ幸いでございます……。


それと私事なのですが……俺ガイル3期、やったーーーーーーーーー!!!!!

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