神との邂逅
ライラ様と話しているとふと、後ろにニコニコしてる青年がいるのに気づいた。
「ライラ様!後ろ!」
「ん?………えっ?」
ライラ様は振り向いた状態で固まって、震えている。
「そんなに警戒しなくてもいいよ?ライラ。」
「デウス…様…」
ライラは震え声で呟く。青年は慄いているライラとは対照的で、笑みを浮かべていた。
「久しぶりに下界に来たけど変わってないなぁ…」
デウスはそう呟いた後、俺に話しかけてきた。
「やあ、松田君。僕はデウス アブィス。最高神、ハリストス様の側近だよ。」
あれ?ライラ様が最高神なんじゃ…
「ハリストス?って神様が最高神っておかしくないか?ライラ様が最高神なんだろ?」
俺がそういうと、デウスは首を横に振った。
「松田君。違うんだ。そこのライラは嘘を付いている。だから僕が下界に来たんだ。」
「つまりライラ様は最高神じゃないってことなのか?」
俺が問うと、デウスは
「残念ながらそうなんだ。ねぇ、夜の神の一柱……受胎を司る天使、ライラ?」
そう言って今もなお、震えて動けないライラ様を真顔で一瞥した。
その眼を見た俺はその眼を向けられていないにもかかわらず、その場で竦んでしまい、ライラ様は膝をつき、その場で泣き崩れしまった。
「なーんてね!」
デウスはさっきの顔とは一転、めちゃくちゃ笑顔になっていた。
「あはははっ!冗談だよ!僕はそんなに簡単に怒らないさ!くくっ、滑稽滑稽!」
「えっ……私を罰しにきたんじゃ…」
それを聞いてデウスは申し訳無さそうな顔でいった。
「ごめんよ。僕は罰なんて受けてもらいたくないけど…ハリストス様になんて言われるかわからないし、ウリ達もうるさいだろうからね。」
…言い終わった途端またニコニコし始めた…俺こいつ苦手かもなぁ。
「罰って本当だったら殺さなきゃいけないんだけど、松田君の事もあるし……そうだ!」
デウスの笑みがより一層強くなった。
「ライラ!今日から君には人間として松田君の旅をサポートしてもらおう!こうすれば神として死んでるし、我ながら名案だ!」
「ありがとうございますっ…デウス様!」
ライラ様は死なない事に喜んでいるが、人間になることに不安があるようだった。
俺は………ライラ様と旅をすることが不安だった。
冒頭なのに(だからこそ?)展開に悩む日々…
生温かい目で見守ってください。