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3話 これって”精霊さん”のおかげ?


朝食は二人で作った。

ご飯は昨夜のうちに研いでタイマーにかけておいたので普通に炊けた。

そして生卵、焼きのり、味噌汁なんだけど、なんとみそ汁は美佳が作った。

大根と油揚げしか無かったけど美味かった。

どうしても味噌汁は美佳が作るって言うんで任せたんだけど、僕が作るより全然美味しい。


「えへへ、彼氏に朝の味噌汁を飲ませることが出来て満足だよ。うふふ、ロマンチックだよねー」


なに言っちゃってんの、僕は美佳の彼氏になったつもりはない。

確かに童貞は美佳にあげちゃったけど、彼氏になるとは言ってないんだ。


「慎介ってエッチがすごく上手だよね。私は初めてだったんだけどすっごく感じちゃって…慎介ってエッチの達人?」


「そんな訳ないだろ。僕だって初めてだったんだよ。……ただ美佳が…すごく綺麗で…」


なんだこの会話、まるで恋人同士が初めてホテルに泊まった時の朝の会話みたいな……

だけど、僕は16歳、美佳は15歳だし…やっぱりそうなのかな。

しかしたった一日で名前を呼び捨てにする関係になるとは……極女、恐るべし。


「うっふふふ、ありがと、慎介の体もすごく綺麗だったよ。もう、毎日でもしたいよ」


超上機嫌でご飯を食べてる美佳を見て、正直可愛いなと思ってしまう。

だけど美佳が昨日とはまったく違う雰囲気なんだ。

特に変わったのは目だ。

昨日は怖いと思っていた目が、今朝は誰よりも優しそうな目に変わっている。

なんでだ、化粧もしてないのに、非の打ちどころのないくらいの美少女になっている。

正直な気持ちをいえば、性格がアレじゃなければ彼女になって欲しいと思った。


「僕は今日も学校に行くけど美佳はどうするの」


「うん、一応学校に行って先生に相談するよ。

その後、市役所に行こうと思うんだけど、私の家があったとこは横浜じゃないんだよね。

川崎なんだけど、ここに住むって言って生活保護を受けられるかな」


僕は美佳には生活保護を受けることを勧めたけど、実際に美佳がこの家から居なくなったらと考えてしまう。

昨日はあれほどここから出ていって欲しいと思っていたのに、今は……

やっぱり僕も寂しいんだろうか。

そう考えると美佳は不安と寂しさで僕なんかよりずっと辛かったはずだ。


「なあ、美佳、ここにずっと住みたいって言うのは本当か」


「何言ってるの、もうここにずっと住むって決めてるよ。それとも慎介はまだ私を追い出す気なの」


なんだ、そんな風に考えてたのかと、なんだか安心してる自分がいた。


「追い出すなんて考えてないけど。美佳のこれからを考えるとどうすればいいのか、分からないよ」


「そんなに深く考えることないってば、なんとかなるよ」


「ずいぶん気楽な感じになったね」


「うん、うまく言えないけど、昨日までは不安で死んだほうが良いかなって考えてたけど、慎介に抱かれてから、そんな気は全くなくなっちゃったんだ。なんていうか暗い曇り空だったのが綺麗な秋晴れになったっていうか……そんな感じ」


それは僕も分かっていた。

昨日の美佳は暗いオーラのようなものを纏っていた。

僕にはそれが見えたんだ。

でも美佳を抱いた時にその暗いオーラのようなものを僕が全部吸収したんだ。

たぶん僕の中にいる精霊さんががそれをしたんだと思う。

なぜなら、その時に僕もレベルアップしたのか分からないけど、パワーアップした事を実感したから。

それは純粋な身体能力じゃなく、なんだろう…内に秘めたものみたいな、良く分からないけど僕の中の何かが成長したような感じだった。



「あ、そうだ、ねえ、お金貸して。私、こんだけしか持ってないの」


と、美佳が可愛らしい財布を見せてくれた。

中身は小銭しか入ってない。

仕方なく僕は生活費の中から五千円を渡した。


「ありがとう、必ず返すからね」


友達にお金を貸すときはやるつもりで渡せと父さんから言われている。

美佳の言葉は当てにしないでおこう。


僕たちは8時ちょっと前に家を出た。

美佳はスカートを短くしないで普通に着ていた。

僕がそれを見ているのを美佳が気付いたようだ。


「もう、スカートは短くしないよ。慎介以外にパンツは見せたくないから」


僕が世間の男たちから恨まれる原因がまた一つ増えた気がした。

それでもちょっとだけ嬉しかったけど。


学校では美佳の心配するのはやめた。

心配したところでどうにもならないから。

帰ったら話を聞こう。

それより明日から三日間は連休だ。

昨夜は美佳の体に溺れてしまったけど、美佳とは節度を持って向き合いたい。

ずっと家にいたらエッチに終始してしまいそうだ。

何か考えないとなぁ。


お金の事なんだけど、実は僕は大金を持っている。

ロトと言う宝くじを今年の1月に買ってみたんだ。

その時、何故か頭にはっきりと数字が浮かんできたんだ。

その数字を書き入れた。


なんと一等が当たった。

これも精霊さんが、そう僕の中の何かが数字を教えてくれたんだろうと思う。

み○ほ銀行に行ったら、これだけの大金は保護者の同意がないと支払えないという。

両親はドイツにいるので、仕方なく警察署の市民生活部の少年課の刑事さんや婦警さんに相談した。

皆さん顔見知りだし普段から親しくしてもらってるから相談しやすかった。

なんと部長さんと課長さんが一緒に銀行に行ってくれた。

銀行には「彼の両親はドイツにいて簡単には帰国できない状況にあります。

それで我々が彼の保護者を代行しています」と話してくれて、み○ほ銀行は納得し支払ってくれた。

この銀行の口座も作ってそこに振り込んで貰った。

「慎介君、我々には守秘義務がある。絶対に口外しないから安心してくれ。それからみず○銀行さんもこの事が外部に漏れないよう十分注意してください」とまで言ってくれた。

「慎介君、君は大丈夫だと思うが、大金は人を変えてしまう力がある。この事は誰にも言っていけないよ」という刑事さんの助言に従い、僕は両親にも誰にもこの事は言っていない。

一億七千万円。

僕は出来るだけ精霊さんの力を使いたくないので、よほどのことがなければこの宝くじを買うことはないだろう。

まだ一度もこの貯金をおろしたことは無いけど、今回の美佳の状況によっては使うことになるかもしれない。

自分のためじゃなければ使ってもいいと思う。


スーパーで買いものして家に帰ると公園で美佳が待っていた。

なんとなく明るい雰囲気だ。良いことがあったんだろう。


「ただいまー」


と美佳が大声で言うので僕も


「おかえりー」


と言ってあげた。

周りが明るくなるような美佳の笑顔だった。




「それでね、その事務所に行ったら……」


夕食時、美佳はよほど嬉しかったのか興奮して喋り捲っている。

美佳は学校で担任教師と教頭に相談した結果、養護教諭と一緒に品川にあるNPO法人の事務所に行ったらしい。

そこで美佳の置かれている状況を確認でき次第、支援を受けられるようになったそうだ。

さらに生活保護についてもそこの事務所で申請してくれるらしい。


「私みたいな者の話でも真剣に聞いてくれたんだよ。うれしかったよ」


「そうか、よかったな」


「全部慎介のおかげだよ、慎介が抱いてくれたから学校に行って先生と話す気になったんだ。

もし慎介が抱いてくれて無かったらそんな気にはならなかったと思う。

たぶん、死ぬことばかり考えて街をブラブラしてたよ」


涙目になってまで僕に感謝する美佳を僕は愛しいと思った。


「それでこれからはどうするんだ」


「うん、明日から三日連休だから火曜日から動くって、早ければ来週の週末にも新しい住居に入れるって言ってた」


でもそれから美佳のテンションはどんどん下がっていく。


「でもね。来週の火曜日に事務所の確認が終わったら、私はそのNPO法人の保護下に入るんだって。

そしたら、新しい住居が決まるまで仮の住宅に入ってほしいって言ってた」


「そうか」


「だから……ここにいられるのも火曜日の朝までだよ。私は慎介とずっと一緒に暮らしたかった」


「それは無理だって言ったろ。だけどいつでも会いにくればいいじゃん。僕は構わないよ」


「そっか、そうだよね。学校の近くのアパートになるみたいだから、きっとここからも近いよね。

ああ、それから生活保護が支給されるまでの当面の生活費をもらったんだ。お金、返すね」


「それはいいよ、美佳の再出発のお祝いでいいよ」


「ありがとう、いろいろ買い揃えなきゃならない物もあるから助かります。

最低限のものは事務所が用意するって言ってたけど、やっぱりいろいろ掛かると思うし」


「ところで、今はどこに泊まってるか聞かれなかった」


「うん、先生に聞かれたから『彼氏の家です』って言ったんだけど、NPO法人の事務所でそんなこと言っちゃダメだという事で先生の家に泊まってるってことにしたんだ」


「ええっ、じゃあ、ここにいるのはまずいんじゃない」


「ううん、大丈夫。先生も内心は迷惑みたいで火曜日までは彼氏にお世話になりなさいだって」


さすがは極女の先生だよ。普通じゃない。


「そうなんだ、まあいいけど」


「じゃあ、さっそくお風呂に入っていっぱいエッチしよ。あと何日も無いんだから」


「なんでだよ。明日から三日間は休みだよ。それに僕は勉強もあるし。

あっ、そうだ、明日からは美佳も勉強しなよ。分からないとこがあったら教えるから」


「ええーっ、最後の三日間なんだよ。ずっとイチャイチャしてエッチな事してようよ」


「駄目だってば、美佳だって大学に進学するんだろ。勉強しないと」


「私は勉強は大嫌いだから大学なんて行きたくないよ。経済的にも行けるかどうかわからないし。

だいたい白女で大学行く人なんか何人もいないんだよ」


「勉強できるのは今しかないんだ。今、しなかったらもう一生勉強しないかも知れない。

美佳は、僕の彼女になりたいんじゃないの」


「それは……私は慎介に全然釣り合ってないけど慎介は受け入れてくれたじゃない。だから…」


「だけど僕はまだ美佳を彼女とは認めていない。冷たいようだけど努力しない人を僕は認めない」


「……わかった。勉強するよ。無理かもしれないけど少しでも慎介にふさわしい女になりたいから。

でもさ、全然エッチしないってことは無いよね。少しくらいは……お願い」


「まあ、少しくらいなら」


「やった。じゃあ、頑張るよ」


本音を言えば僕だって美佳とエッチしたいんだ。

やせ我慢してるんだよ。


まず美佳の学力を知り、それに応じた勉強をすることになった。

驚いたことに美佳は数学と理科は小学生レベルの実力しかなかった。

分数の四則演算ですら出来るかどうかあやしい。

国語はよく本を読んでるみたいで、そこそこだったけど数学は何とかしないとダメだ。

とにかく明日からは僕の小中学校の教科書で勉強させよう。

本屋で問題集も買ってこないとだめだ。

高校の勉強はそれからだ。


「美佳、これから新居に移ってもなるべく僕の家に来て勉強するんだ。いいね」


おそらく美佳は自分の家では勉強なんかしないだろう。


「本当!うん、出来るだけここにきて頑張って勉強するよ。えっちも…するけど」



結局、夜遅くなって美佳とエッチに突入することになった。


「ああん、慎介ぇ、お尻もしっかり見てね。こっちの穴も男の人は好きなんだってみんなが言ってたよ。

慎介だってこっちの穴も大好物でしょ。ああん、でも恥ずかしいよ」


とか言ってお尻を広げてるけど女子高ではそんな話ばかりしてるのだろうか。

僕は大好物と言う訳じゃないぞ、少しだけ好きなだけだよ。

美佳はエッチに関しては誰よりも熱心なような気がする。

その熱意が勉強に向いてくれればいいんだが。


それとまた不思議なことがあった。


「あれぇ、私さ、ここに小さい時から大きな青いあざみたいなものがあったんだけど……消えてるよ。

なんでだろ、やっぱり処女じゃなくなったからかな」


そんな訳がない、たぶん僕の中の”精霊さん”がやったんだろう。


「それになんだか随分ウエストが細くなったみたい、お尻が大きくなったからかな」


それも僕の中の”精霊さん”がやったんだろう。


「髪の毛も艶々だよ。慎介が使ってるシャンプーとトリートメントっていいね。私も今度からこれにする」


おそらくそれも僕の中の”精霊さん”がやったんだろう。


「体がすごく軽く感じるし体調もすごくいいんだ。やっぱり心配事が減ってストレスも無くなったからかなぁ」


たぶんそれも…以下同文

だけど毎回のエッチでこれだけ感じまくっていれば、ストレスなんか消えて無くなるのも分かる。

僕も美佳とのエッチは楽しいし夢中になれるから、ストレスに関しては僕にも恩恵があるようだ。



連休の三日間は美佳に勉強を教えることに終始した。

驚いたことに美佳の理解力と集中力は僕と同等レベルにあった。


「慎介の授業は分かりやすくて楽しいから、少しも苦にならないよ。

こんなに勉強したのは生まれて初めてだったけど、勉強って楽しいものって初めて知ったよ」


なんとこの三日間で美佳は中学の数学と理科をすべて終えてしまった。

最後に公立高校の入試問題をネットで探してプリントしてやらせてみたんだが、単純ミスを除けばほぼ満点だった。

僕にとってもいい復習になった。理科では改めて理解できたこともあった。

この三日間、勉強は一日に8時間以上、エッチも毎日2回以上していた。

脳を使うのは結構なエネルギーを消費するらしい。

さらに美佳はセックスでもエネルギーをかなり消費したみたいで、普通に食事はとっていたけど体重が3キロも減ったそうだ。


「この調子で慎介とエッチしたり勉強してたら、私はいつかやせ細って死んじゃうよね」


「そんなこと有る訳ないだろ。体が慣れれば大丈夫なはずだよ。心配ならエッチは減らそうか」


「それは駄目に決まってるでしょ。私の生きがいをなくす気?

私はね、慎介とエッチが出来ないなら死んだほうがマシなんだよ」


「美佳は僕以外の男としたことがないんだろ。

美佳は可愛いんだからモテるだろうし、試しに誰かと……」


「な、なんてこと言うの。酷いよ!私はね、もう一生慎介以外の男になんか指一本触らせたくない。

そんなこと考えただけでサブイボが出ちゃうんだよ」


「もう、わかったよ。ところで美佳、中学の英語と国語と社会をマスターしたら、どこかの進学校に編入したらいいと思うんだけど」


「編入って?」


「だから編入試験を受けて受かったら転校するんだよ」


「……やっぱり慎介は私が白女に通ってるのがいやなのね」


「いや、そうじゃない。美佳があまりにも頭が良いから進学校に通って大学に行けばいいと思ったんだ」


「頭良いって言われたのは初めてだよ。バカとしか言われたことがないのに」


「これを見て、さっきやったテストだよ。これは一昨年の公立高校の入試問題だったんだ」


「えっ、数学が94点、それと理科が89点、こんな点数取ったこと無いよ」


「それが今の美佳の実力なんだ。たった三日間勉強しただけなのに」


「……」


美佳は本当に驚いているようだ。

僕が採点した解答用紙を見て絶句し固まっている。


「だからさ、夏休み中勉強すれば十分編入試験に合格すると思うんだけど」


「そうすれば、私は慎介にふさわしい女になれるの?」


「もちろん、頑張ってる女の子が僕は好きだし、美佳が頑張るなら応援したい。

学校がすべてじゃないけど環境が人を変えてしまうこともあるんだ。

僕はそれを中学で経験した。だから美佳にはできればいい環境にいて欲しいと思う」


「慎介と同じ高校に行けるなら最高なんだけど、慎介の高校は男子校だしね。無理か。

まあ、とにかく夏休み中はここに通うよ。慎介と一緒にいられるなら勉強も楽しいし」



火曜日の朝、美佳は荷物を全部持って家を出て行った。

彼女にとってこの何日間は人生が変わるほどの日々だったのだろう。

半べそをかきながら僕に感謝の言葉を言ってくれた。


「慎介に会わなかったら私は死んでたかもね。本当にありがとう。

そしてこれからもよろしく」


次に美佳が家に来たのは土曜日の午後だった。




次の更新は書け次第更新します。

多分、来週の火曜日以降になると思います。

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