2話 ヤンキー女子高に通う女の子
僕の名は上条 慎介
一人暮らしの高校二年生で16歳だ。
何故一人暮らしかと言うと、父親が去年ドイツに海外転勤してしまい、母親もその一か月後にドイツに行ってしまったからだ。
最初はやったあと思ったが、現実はそうは甘くなかった。
この家は両親が四年前に買った中古の一戸建ての家でかなり広い家だ。
とにかく掃除が大変で、隔週土曜日の半日は掃除洗濯に費やしている。
それに夜は結構怖いんだ。家が広すぎるのもどうかと思う。
マンションならよかったのにとは思うが、しかたがない。
それに問題は毎月の仕送り額だ。
僕の学費と水道光熱費は父の口座から引き落とされるから問題ないが、生活費とこずかいを含めて毎月6万円しか送ってくれない。
とにかくこれで服、食費、日用品、通信費まですべて賄うのだ。
全く贅沢はできないが、まあ、無駄使いしなければ何とかなる程度の額だ。
ある日の事、学校の帰りに俺の家の隣にある公園のベンチに座っている女の子を見つけた。
その女の子の隣にはパンパンに膨らんだスポーツバッグとやはりパンパンに膨らんだディバッグが置いてある。
家出でもしてきたのだろうか。
しかもあの白鷺学園女子高校の制服を着ている。
白鷺学園女子高校は通称白女、別名”極道女子高”いわゆる”極女”と呼ばれている偏差値も底辺レベルのヤンキー女子高だ。
要するに、その女子高の生徒が付き合うのは将来ヤクザになりそうなヤンキーの男ばっかりだからそう呼ばれるのだろう。
その子も茶髪じゃないが、雰囲気が普通の女子高生とは明らかに違う。
少しでも屈んだらパンツが見えそうなミニスカートで可愛らしい制服だが、目つきが怖い。
顔立ちは整っているのに近寄れないくらい怖いオーラを漂わせている。
僕のような平凡極まりないパンピーには縁がない女だろう。
やばい!あまり見てると難癖をつけられるかも。
「なにみてんだよ!オイコラ」とばかりに絡んでくるだろう。
目が合う寸前に慌てて目を逸らして家に向かう。
危なかった。君子危うきに近寄らずだよ。くわばらくわばら。
ところが目を逸らすのが一瞬遅かったようだ。
大声で呼ばれた。
「ねえ、ちょっと、そこのあんた」
ここで気付かないふりでそのまま通り過ぎればよかったんだ。
だけど僕はとっさに女の子の方に顔を向けてしまった。
「えっ、な、なに」
その子は荷物をベンチに置いたまま僕の方に小走りで走ってきた。
「あんたねえ、私の事見てたでしょ」
「いや…別に」
「別にって、さっき目が合ったじゃない。それで私を放っておくの、あんた」
怖い、怖すぎる。
「いや、僕には関係ないっていうか、その……君の事知らないし」
「私はねえ、朝十時っからここにいるのよ。困ってるのが分からない?」
「いや、だから僕には関係ないでしょ……じゃあ、用事があるんで」
僕は走り出した。ここは逃げるしかない。
こんな女の子に関わってたらと面倒なことになる予感がしていた。
だけど僕の家はこの公園の隣だ。
僕がカギを開けて家に入るのを見られたのは分かった。
ピンポンピンポンピンポーン ピンポンピンポンピーン
何度もチャイムが鳴る。
それでも僕は居ないふりを続ける。
「開けなさいよ、居るのは分かってるんだからね」
ピンポンピンポンピンポーン ピンポンピンポンピーン
ピンポンピンポンピンポーン ピンポンピンポンピーン
ピンポンピンポンピンポーン ピンポンピンポンピーン
「ねえ、お願い、開けてーっ、お願ーーーーーい、開けてーっ。ねえ、開けてよっ」
今度はドアがどんどんと叩かれる。
言葉は違うが、これじゃまるで借金取りが
『おい、いるんだろ、金返せよ、こら、開けろーっ』
と怒鳴りながらドアをたたいてるようなものだ。
今は夕方6時を回っている。
さすがにこれではご近所に聞こえているだろうし外聞が悪すぎる。
それに変な噂が流れても問題だし。
仕方がなく、本当に仕方がなく…僕はドアを開けた。
「な、なんでしょうか。困るんですけど」
「ねえ、あんた、話くらい聞いてくれてもいいでしょ。ちょっと待って、荷物を持ってくるから」
「いや、困ります」
「じゃあ、私の荷物が盗まれても良いって言うの。盗まれたら弁償してもらうからね」
「ええっ、それって……分かりましたよ。じゃあ、僕が公園に行きますから」
「そう、結構いいやつなのね。ベンチの上に置いてあるのは見たよね。じゃあ、私の荷物を持ってきて」
「違うって、公園で君の話を聞くってことだよ」
だが彼女は僕の言葉を無視した。
「じゃあ、中に入れてもらうわね。ちょっとそこどいてっ!さっさと私の荷物取りに行きなさいよ」
いきなり腕を掴まれ僕は外に出されてしまう。ひど過ぎる。
「な、何すんだよ」
「いいから早く私の荷物を取りに行ってきて。話はそれからよ」
どれだけ強引なんだ。
まあいい、いざとなったら警察を呼ぼう。
そんなことしたくはないが、こうなったら仕方がない。
仕方なく僕は彼女の荷物を取りに行った。
なんだかホームレスらしい人が近くにいたから危なかったのかもしれない。
憂鬱な気持ちで僕は荷物を持って家に戻った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「と言う訳なの、私はもう帰る所が無いのよ。寝るところもないの」
彼女の話を要約すると、彼女の名前は加古川美佳、十五歳、極女の一年生。
どうやら父親が経営していた幼児服を売っていた洋品店が不渡りを出して倒産したらしい。
そして今朝早くから金融業者の男たちが来て、差し押さえの札を家中に貼っていったらしい。
家のものは使ってはいけないから、親せきの家に行きなさいって言われたんだそうだ。
彼女の服や教科書は流石に差し押さえはしなかったようだ。
彼女の父親は一昨日から行方をくらましており連絡も取れない。
母親は彼女が小学生の時、離婚してどこにいるか分からないという事だった。
テレビドラマかなんかでよくありそうな話だ。
どこまで本当なんだろうか。ただの家出じゃなければいいんだけどな。
だけど必死さは伝わってくる。
「分かったでしょ、私は本当に困ってるの。助けてくれるのが男ってものでしょ」
「じゃあ、親せきの家に行けばいいじゃないですか。
あるいは警察に保護してもらうとか、貴方の彼氏に協力を求めるのが筋でしょう」
「親せき?私はねぇ、親せきの連中が大嫌いなの。いつもいつも馬鹿にして……それにお父さんがお金を借りてるみたいだし。
それに警察?あんなもん当てになるわけないでしょ。彼氏なんて出来たこと無いし」
「そうなんですか、貴方は結構、綺麗な人だと思うんですけど」
これは意外だ。
目の前にいる子は極女じゃなければ是非にでもお付き合いしたいくらい可愛い。
目つきは怖いし性格もアレだが、極女の制服じゃなく普通の服を着てればモテるんじゃないだろうか。
よく借金のかたに連れ去られなかったものだ。
普通の金融業者だったんだな。ヤのつく方々じゃなくて本当によかったね。
「ねえ、もう夜になるし今日は泊めてね。お腹も減ったし、朝から何も食べてないんだから、水ばっかり飲んでたんだ」
「はあ、だめですって。警察に連絡しますよ」
「あんたねえ、お客様にお茶も出さないで、よくそんなことが言えるわね」
客じゃねえし。
「誰か学校の友達とかいないんですか。普通に女の子の家に泊めて貰えばいいじゃないですか。
仮にも僕は男ですよ。しかもここに一人で暮らしてるんです」
ヤンキーは仲間意識が高そうだし。
「そんなの、もちろん電話したわよ。だけどみんな家では家族にハブられてるから泊められないって。
……って、あんたここで一人暮らし?こんなに大きな家で?へぇーそうなんだ」
「そうなんです。だからうちはダメですって。他をあたってください」
美佳は急にニコニコしてうれしそうだ
「そっかぁ、じゃあ、これで安心だね」
「えっ、なにが」
「いやぁ、あんたの家族が帰ってきたら、あんたの部屋でじっとしてるしかないって思ってたんだ。
もう7時になるし、そろそろご飯にしようよ」
何言ってやがる。
僕はさっそく電話機の受話器を持った。
「あ、何する気」
「もちろん警察に連絡するんです」
正直、そんな気は無かったのだが、これで出て行ってくれればいいなとは思っていた。
ところが、美佳はとんでもないことと言うか僕が一番困ることを言ってきた。
「待ちなさいよ、あんたねえ、もし警察に連絡したら私はここから逃げるしかないけど、そしたら明日から友達を大勢連れてここに押し寄せるからね。毎日、嫌がらせするから覚えときなさいよ」
怖い、怖すぎる目で僕を睨みつけてきた。綺麗な子だけに怖すぎる。
「…………」
どうしよう、相手は極女だ、やりかねない、というか確実にやられる。
「あのさ、今日一日だけなら泊めてあげるよ。そのかわりもう僕に関わらないで欲しいんだ」
ちょっとホッとしたのか、怖い顔で睨むのはやめたようだ。
「あのねぇ、私だってそんなに恩知らずじゃないよ。ただで泊めて貰おうなんて思ってないし。
ちゃんと礼は考えてるんだよ。あんたに私がここに居たほうが良いと思えるようにしてあげるよ」
えっ、何を考えてるんだろうか。僕がそんな風に思えるなんてありえないんだが。
「……はぁ」
「あんたさ、女子高生の裸を生で見たことある?」
「えっ」
「だからさ、本やネットでは見たことあるだろうけど、実際生で見たことあるのか聞いてるのよ」
そんな事、決まってるだろ。見たこと無いよ。
この子が見せてあげると言ってるのは分かるけど、もしそうなら僕は見てみたい。
「見たことはないよ。見せてくれるの」
「見せてあげるよ、減るもんじゃないし平気だよ。だからさ、しばらくの間泊めてね」
どうしたら良いんだろう。どっちにろこの子は今は追い出せないんだ。
だがしばらくの間っていつまでなんだ。
「じゃあ、……その、しばらくって…いつまで」
僕はこの子の裸がどうしても見たくなってしまい曖昧な態度をとってしまう。
「……とりあえず、2~3日はお願い」
2~3日か、まあいいか、この子の裸を見られるだけでも十分に対価になるよ。
それほど負担になるわけじゃないし。
僕だって普通の男だ。女の子の裸は見たい。
「わかった。でも、ちゃんと約束は守ってよ」
「分かってるわよっ、このすけべ、それよりご飯食べさせてよ」
仕方がないので夕飯を作った。
今日のメニューは餡掛け野菜炒めと餃子、それからワカメスープだ。
ご飯は僕一人分しか炊いて無かったから、彼女はレンジで2分のご飯だ。
「あんたさぁ、お手軽料理っていうか、冷凍ものとインスタントばっかりね」
「文句を言う割には食欲が半端ないね」
「しょうがないでしょ、朝から何にも食べてなかったんだから美味しかったのよ」
「今まではどんなものを食べてたんだい」
「私一人で食べることが多かったから、スーパーのお弁当とかコンビニのお弁当が多いかな。
あと外食とか」
僕よりひどいじゃんか。少なくとも僕は自炊だ。お金がないからね。
だけど彼女がご飯食べてる姿は可愛かった。
それに一人より二人で食べたほうが美味しいと感じたんだ。
「ところであんた、学校はどこ」
「ああ、西高校だけど」
「へぇ、すごいじゃん。県下でも1位2位を争う進学校だよね。男子校だけど」
「君は白鷺女子高だよね」
「うん、有名な最低校だよ。極女って言われてるのは知ってるよね」
「……うん」
「気を使わなくていいよ。その通りなんだし」
「だけど高校に行かないよりずっといいと思うよ」
「あんたはやさしいね。そんなこと言われたのは初めてだよ」
気まずい雰囲気が流れたが、食事を終えいよいよという時になった。
僕は正直エッチな期待で胸がいっぱいだ。
「あの……」
「分かってるよ。だけどその前にお風呂に入れてもらっていい?」
「ああ、そっか、ちょっと待って準備してくるから」
うちの風呂はそれなりに広い。
両親がいつも二人で一緒に入るために家を買った時にリフォームしたのだ。
それでも10分あればお湯が張れる。
お湯を張るまでの10分の間、浴室でいろいろ考えた。
美佳は今日、家を追い出されて行くとこもなく公園で一日過ごしたって言ってた。
どんなことを考えていたんだろう。
これからの事は不安でいっぱいだったんだろう。
本当に行くところがなかったんだ。
そうじゃなければ見ず知らずの俺の家にあんなに強引に入ってくるはずないし。
それに裸を見せるなんて。
確かに彼女にはそれしかないのかもしれない。
僕はそこに付け込んで彼女の裸を見るんだ。
なんだか自分があさましい気がしてきた。
「お風呂の準備が出来たよ。ゆっくり入っていいよ」
「ん、ありがと。あ、脱ぐところも見たい?」
見たいけど、見たくてたまらないけど、さっき決めたんだ。
「いや、いい。それから裸も見せなくていいよ」
「なんで?…あんた、私の裸が見たくて泊めてくれるんじゃなかったの」
「最初はそう……だけど困っている相手の弱みに付け込むみたいで……ちょっと」
「ふーん、へたったんだ。遠慮すること無いのに」
へたったのも少しはあるけど、自分が情けなくなったんだ。
「それから、お風呂から出るときお湯を抜いていいからね」
「……私なんかが入ったお湯には浸かりたくないんだ」
「そうじゃないけど、すぐあとに僕が入ったら君が嫌かなと思って」
「極女に通ってる女なんか相手にしたくないってか。さすが西高の男子だね」
彼女の言葉に刺がある。今は怒っているようだ。
目つきも険悪な感じが戻ってきた。
「今はそんなこと思ってないよ。君と会って話す前はそう思ってたけど」
「……」
彼女はそれっきりしゃべらず浴室に向かっていった。
なんだか泣いてるように見えたけど気の所為だったかも。
だけど彼女は今後どうする気なんだろう。
このままじゃ学校にも通えないだろうし、生活はどうするんだろうか。
たしか貧困家庭の子女を支援するNPO法人があるって聞いたことがある。
さっそくネットで調べてみるか。
それから生活保護も申請すれば大丈夫かもしれない調べよう。
美佳は一時間くらい風呂に入っていたがようやく出てきた。
可愛らしいパジャマを着ている。
完全に乾いていない黒髪が濡れ羽色に輝いて綺麗だ。
やっぱり見栄張らずに裸を見せてもらえばよかったと思ったがもう遅い。
「お風呂ありがと。お湯は抜いて無いからすぐに入りなよ。あんたが嫌じゃないなら私は気にしないから」
「あ、うん、それよりさ、君のこれからの事なんだけど、君を支援してくれそうなNPO法人があるんだ。
学費とか生活費の一部を支援してくれるんだって。それから市に申請すれば生活保護だって受けられるかもしれない。
ほら見てごらんよ」
プリントアウトした資料をテーブルの上に並べた。
「ふーん、ネットで調べてくれてたんだ。あんたも大概お人よしだよね。
私なんか相手にしたくないんじゃなかったの」
「だから今はそんなこと思ってないって言ったろ。それよりこれからの事を考えたほうが良いよ
とにかく明日、市役所に行って相談してきなよ」
「絶対に親せきを頼れって言われると思う。それは無理なんだけど」
「あのさ、親せきの扶養義務は強要出来ないから大丈夫だよ。ちゃんと相談すれば生活保護を受けられると思う」
「分かったわよ。でもすぐにアパートとか見つかるはずないから、しばらくはここにおいてね」
「うん、何日かは仕方がないよ。客間があるからそこに寝て貰えば問題ないけど、これからの事をちゃんと考えるんだよ。
自棄になったりしないで前向きにね」
「うん、でも生活保護とかかっこ悪すぎ。学校なんか辞めてバイトでもしてお金を稼ぎたい」
「親もいない、住所もない15歳の女子じゃどこも雇ってくれないよ。無理だって」
「うん、だからさ、私をここに下宿させてくれない。ちゃんと家賃は働いて払うから」
「ええっ!無理無理そんなの親が許すわけないよ」
「親はいないって言ったじゃん」
「一人暮らしをしてるって言ったんだよ。
父さんはドイツで働いてるんだよ、母さんも一緒にドイツにいるの」
「でも聞いてみなきゃわかんないでしょ、聞いてみてよ」
「無理だってば、考えてみなよ。同棲してるようなもんじゃん」
「同棲か、うん、それが一番いいんだけど。あのね、この際だから言うけど私は裸を見せるって言ったよね。
それは言い換えれば何してもいいよってことなんだよ。わかってる?」
えっ、そうだったんだ。全然わかってなかったよ。
だけど初めて会った女の子とそういうことをするのもなぁ。
でも、もったいないことしたような気がする。
「いや、それは……初めて会ったばっかりでそんな……」
「初めて会ったんじゃないよ。忘れてるの。入学してすぐの頃、駅の階段で足を踏み外した私を助けてくれたじゃない。
あの時あんたに助けて貰わなかったら大けがしてたよ。もしかしたら死んでたかも」
「そんな大げさだよ」
ああ、そう言われてみればそんな事があったな。
階段を上ってたらいきなり女の子が抱き着いてきたんだ。あの時はびっくりしたよな。
それでさっき公園で会った時も『私を放っておくの、あんた』とか言ってたんだ。
「あれからお礼を言おうと思って駅で待ってたんだけど、あんたはわき目もふらず歩いているから話しかけられないでいたんだよ。
でもあんたはうちの学校じゃ結構有名なんですぐに家は分かったよ」
ええっ、僕が極女で有名!それっていったいなんで。
「なんで僕が白女で有名なのさ、全然心当たりがないんだけど」
「あんたの学校は駅の向こうでしょ。あんたは毎日駅の通路を通って通学しているから、うちの学校の生徒も駅であんたを見てるんだよ。
オドオドしてて可愛いってみんな言ってるよ。あんたを付けて家まで調べた子もいて名前も知ってたし。
それに噂じゃあんた、ものすごく喧嘩が強いんだって、本当なの?ちょっと信じられないんだけど」
「さあ、心当たり無ないけど、これからは駅の通路は使わないほうが良いのかな」
そうだったのか、だけど駅を通るのが一番近いんだよな。
明日からどうしようか。
それにしてもオドオドしてて可愛いって。
確かに極女の生徒とは目を合わせないように端っこを歩いているんだけど。
「それで私もあれから、あんたの事ばかり考えていたんだけど、こんな事になっちゃったでしょ。
だからあの公園であんたを待ち構えてたの」
そんな事情があったんだ。
でも僕はこの子の彼氏じゃないし、何の関係も無いんだけどな。
「まあ、何日かは面倒見るからその間にこれからの事を何とかして欲しい。
客間は和室だし、押し入れに寝具があるから自由に使っていいからね」
「ちょっと待って、あんたは二階に部屋があるの」
「ああ、そうだけど、これから勉強しなきゃなんないし」
「何時ころまで起きてるの」
「そうだな、だいたい1時くらいにはお風呂に入って寝るけど。
あっそうだ。明日は朝7時半に朝食だから起きてね。僕は8時にはここを出るから一緒に出よう」
「うん、わかった。あのパソコン借りていい?」
「ああ、いいよ。wi-fiでネットは使えるから、ああ、パスワードは○○○○○だよ」
僕はそれから勉強に集中した。僕の学校は油断すればすぐに落ちこぼれてしまう。
来年3年になったら予備校化する僕の高校は、2年の3学期までに普通の高校の授業の単位はすべて習得するのだ。
僕の志望校は横浜国立だ。まあ家から通えるしね。
本当は勉強なんてしなくても授業を聞いていれば学年でトップクラスに入れるんだが、勉強が楽しいんだ。
クイズとかパズルをやっているようで面白い。
だから僕は課題以外は問題集しかやらない。
夜中の1時になって風呂に入るために1階に下りたら、客間の引き戸が少し空いていて明かりが漏れていた。
悪いとは思ったが浴室に行くには客間の前の廊下を通らなければ行けない。
「あん、あああぁぁ」
彼女の声が聞こえる。それもアノ時の声のようだ。
思わず僕は中を覗いてしまう。
明るい光の中、彼女の真っ白な体が見えた。
彼女の右手は股間に延び、左手は胸にあった。
僕はその姿を凝視してしまった。
彼女の胸や太ももを見ていた僕はふと気配を感じて彼女の顔を見ると彼女が僕を見ていた。
心臓が跳ね上がるかと思うほどびっくりした。
彼女はゆっくりと起き上がり僕に言った。
「女の子だってやりたいんだよ。私はあんたを何か月も想っていたの。
あんたは私の思っていた通りの男だった。
この家に入れて貰ってから、どんどんしたくなっていったの。
お風呂で自分を慰めたけど、この時間にあんたがお風呂に行くためにここを通ること考えたら、また我慢できなくなっちゃって。
だから少しだけ引き戸を開けておいたのよ。あんたに見てもらいたかった。
ねぇ、お願い、昨日の約束、今、ここで守らせて」
全裸で立つ彼女は美しかった。
僕の理性はここで作動停止してしまった。
結局、それから僕たちは本能の赴くままの行為を続けた。
そして僕がお風呂に入ったのは朝の4時を過ぎていた。
それも彼女も一緒に入っていた。
明日も投稿します。