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ep.005 pm6:39 大阪府上空 ANA1719便

pm6:39 大阪府上空 ANA1719便


関西国際空港を離陸し急上昇をしていくANA1719便のプレミアムシートで、皐月は右手窓下の大阪の夜景を見ながら、

《いつも思うんだけど、綺麗というか、派手な街よね大阪って・・・。もし、アサドが生きていて、この夜景を見たら何て言うかしら?砂や荒れ地しかない国だったから・・・》


ジャンボジェット機が水平飛行に入って間もなく、キャビンアテンダントが機内食のお弁当を配り始めた。

《あーあ、せっかく関空で美味しそうな特製浪花串カツ弁当買ったのに、ダブついちゃったわ・・・》

皐月は少し残念な様子で、配られたお弁当を開けた。

中のおしながきを見るなり、

《あっ、これは、藍の実家じゃない!“佐津眞”のお弁当か・・・。へぇ~、今月はいいの入れてるのね。じゃあ、楽しめるわ。クスッ》

そんな矢先、左斜め前からキャビンアテンダントと客が、揉めているのが聞こえてきた。

チラリと見る。

《あっ、あれはラウンジに居たイケメン外人!何で揉めているのかしら?ん?『他の種類の弁当は無いのか?』って・・・。味がわからないのね。藍の実家のお弁当だから、確実に美味しいのに。え?『美味しいのは、理解(わか)っている。一昨日、同じお弁当食べた』って・・・。じゃあ何?あのイケメン外人は、一昨日も関空から千歳便に乗っていたの?確かにそれじゃ、美味しいお弁当でも飽きるわよね》

いつもなら、他人に関わらずを貫く皐月であったが、アサドの事を思い出してセンチメンタルになっていたのか、特製浪花串カツ弁当を手に持つと、すっと立ち上がる。

キャビンアテンダントとイケメン外人に近付き、

「Excuse me, Would you mine take this... (あのぅ、よろしければ、これ・・・)」

特製浪花串カツ弁当を差し出した。

イケメン外人は、ぱっと顔を明るくして、

「Are you sure? (本当に?)イインデースカ?」

《あら、笑うと可愛いのね、このイケメンさん》

皐月は、微笑みながら、

「No problem, please. (かまいませんわ、どうぞ)」

「Thank you.」

イケメン外人は、弁当を受け取り上機嫌だ。

一方、キャビンアテンダントは頭を下げ、

「お客様、本当に助かりました」

皐月は少しだけ笑うと、

「気にしなくていいわ。機内食が出るの忘れてて、買っただけだから」

そう言って、自身の席に戻って行った。

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