表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/51

ep.001 pm4:29 大阪府河内長原市 聖マリア寮

pm4:29 大阪府河内長原市 聖マリア寮


聖クリストファー学園国際高校・聖マリア寮201号室。

生徒会会長・鷲尾(わしお)桜子(さくらこ)を中心に、鷹見(たかみ)こころ、そして、隼人(はやと)(あい)が暮らす部屋である。

部屋の中はレースのカーテンによって、柔らかい光が満たされていた。

桜子を中心として円を描くように、右側にこころ、鳩村(はとむら)瑠奈(るな)烏丸(からすま)皐月(さつき)、ローズ・ピーコックマン、エリザベス・スノウィオウロード、そして、藍の順で座っており、表情は全員一様に硬い。

背後で、静かにショパンのピアノ・ソナタ第三番が流れている。

皐月は目を伏せながら、曲に聴き入り、

《このピアノ、ヴラジーミル・ホロヴィッツの演奏だわ。何故か、少し悲しげなのよね・・・》

暫しの後、桜子は時を待っていたのか、静かに目を開くと仲間達を見回し、

「全員揃ったわね。皆んな、今日は調査とフォローお疲れさま。まず、アタシから報告させてもらうわ」

桜子が淡々と状況を説明し始めた。

報告内容は、聖クリ1年・稲見(いなみ)雪江(ゆきえ)と彼女を取り巻く家庭環境と問題事項について。


数分後。

皐月は、桜子に目を合わせ、

「桜子、報告の通り、私は今から北海道に飛びます。明日の朝一の便では、帰って来るわ」

「ええ、お願いね、皐月。気をつけて」

北海道へ旅立つ皐月の姿は、革のタイトミニに、蜘蛛の巣柄の網タイツ、DOLCE&GABBANAの黒のビスチェ、そして、漆黒の“はねくみ”のライダージャケット姿である。

胸元と左中指には、ベスことエリザベスからもらったアクセサリーが妖しい光を放っていた。

「しかし、皐月。北海道に行くには、少しセクシーすぎじゃなくて?」

桜子が皐月の姿をまじまじと見て、漏らす。

皐月はクスっと笑い、

「札幌の男達を(トリコ)にして、情報を聞き出すにはこれくらい着ておかないと、ね」

刹那、藍が椅子から降りると、皐月にひょこひょこ近付く。

「皐月ちゃん、耳貸しておくれやす」

皐月が、左耳を差し出す。

藍が告げた。

「あのな、皐月ちゃん。西から来た男に注意をしておくれやす。と、晴明ちゃんが言うてるよし」

皐月は頷き、

了解(わか)った。ありがとう、藍」

藍は安心したのか、にぱぁと皐月に笑いかけ、

「ほな、気ーつけて行きよし、皐月ちゃん」

皐月は部屋のドアノブに手を掛けたまま、振り返り、

「桜子、私は()るから」

桜子は振り返る事もなく、当然といった面持ちで軽く右手を上げ、

「皐月なら、そう言うと思ってた。何かあったら連絡を・・・」

「了解、リーダー」

軽くウインクすると、皐月は出て行った。

甘く危険な香りを残して・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ