最終対決!2
光が収まると、さっきまでの争いの形跡は全くなく、先ほどまで町の中にいたはずが今は辺りに建物がない、どこまでも平地が広がっているところにいる。
「なんだ!国王は!?どこだ!」
「残念、国王様は殺されていないですよ」
「なんだと!確かに、さっき…。力が…少しも溜まっていない、だと」
「あれは、さっきまで私が術であなたに見せていた幻影。だから、力は溜まらないですよ」
「貴様!いつからだ」
「それは、ねぇ?」
フードの人物と対峙していた、アオが視線を向けた先には先ほどまで戦っていた、ルーカス王子とリオンがいた。
「お前、本気でやってたな」
「そうでなければ、ロランは騙せないと言ったのはルーカス様ですが?」
「あぁ、そうだったな!俺が言ったのが悪かったよ」
二人は、仲良さそうに話している。
それを見て、アオはもう一度フードの人物…ロランを見る。ロランは、アオを睨みつつ言った。
「リオンが、俺のところに来た時からだったのか」
「正解です。その前に少しだけ、リオンさんに細工しましたけどね」
「リオンが心底ルーカス王子を恨んでいる、というのを体に染み込ませたな」
「それも正解です。じゃないと、あなたはリオンさんを仲間には入れなかったでしょ?」
少し頭を傾けながら聞いてくるアオを、ロランは憎らしそうに見つめている。
「あぁ、そのミリア様も偽物ですよ」
ロランがミリアに目を向けると、みるみる姿が変わっていき最終的に、それまでミリアが立っていたところには、猫が一匹現れた。その猫は、一度鳴くとどこかへ行ってしまった。
「まんまと俺は、お前の策にハマったというわけか」
「そうなりますかね~」
「しかし、そう簡単には終わらんぞ!」
ロランが言うと、地震が起き始めた。地震で割れた地面から、黒い巨大な蛇が出てきた。
「アオ!一旦下がれ!」
「アオ様!こちらに!」
アオと、ルーカス王子、リオンは一度離れた場所に移動した。
「おい、これも想定内なのか?」
「そうですね、ルイさんからエリクシル家の守護精霊は、黒い蛇みたいな精霊だって言ってたから最終的には出てくるかな、と思ってたんで。それに、もうじきナタリーが連れてくるはずですし」
「連れてくる?」
「アオー!」
「ほら」
アオが上空を見るのに合わせて、ルーカス王子とリオンも見る。するとそこには、ペガサスに乗ったナタリーヌとルディがいた。
ペガサスは、二人が乗ってもなお余裕があるほど大きい。
地面に着くと、ナタリーヌとルディがアオ達のところに来た。
「ちょうどいい感じかな?」
「さすが、ナタリー!って感じだよ」
「敵もちょうど出てきたところだ」
「しかし、アオ様も凄いこと考えましたよね」
「ほんとにな、リオンを退団させろと言われた時は本当に驚いたぞ」
「でも、ルーカス王子ノリノリだったじゃない」
「まぁな」
アオがどんな策を考えたのかは、時を少し遡ることになる。