直接対決に向けて2
次の日
「え、どういうことですか?」
「リオンを退団させたって…」
ルーカス王子に朝から呼ばれて、ルーカス王子の執務室にルディさん、ジミーくん。それから、私とナタリー、リーンさんというメンバーがいる。
そして、開口一番にルーカス王子から伝えられたのは“リオンさんが、騎士団を退団した”ということだった。
「リオンは、ロランと繋がっていたんだ」
「まさか、リオンに限ってそんなこと」
「しっかり、裏はとってあるんだ。アオに頼んでリオンを追跡させた。そしたら、リオンはロランと会っていることが分かった」
「嘘だ…」
「ジミー…」
「あいつは、リオンは、そんなやつじゃない!」
「おい!ジミー!」
ジミーくんは、走って部屋を出ていってしまった。
「ジミーくんが、あんなに取り乱すの初めて見た」
「ジミーの家とリオンの家は、昔から仲が良くてな。二人は、兄弟のように育ったらしいからショックだろうな…」
「リオンの家は、昔から王家に仕えている名門の家で、リオン自身も厳しく育てられたとか」
「忠誠心は、人一倍あるんじゃないですか?」
「ナタリーヌ姫の言うとおりです。だからこそ、ジミーもあんなに取り乱しているんですよ」
ナタリーは、項垂れながらそうですよね、と言っていた。口数は少ない人だったけど、ジミーくんといいコンビだったよね。
それに、武術が本当に好きなんだと思ったし、良くカイルくん達の稽古も見てあげてたし。
「それじゃ、リオンとは…」
「リオンが俺達に刃を向けるなら、仕方ないだろうな…」
「そうですね」
「今は、感傷に浸っている場合ではない。ロランを倒せば、リオンも正気に戻るはずだ」
「分かりました」
ルディさんも、リオンさんと戦うのは本意じゃないよね。
「朝早くからすまなかった。俺はこれから、パレードの下見に行ってくる」
「もう“明日”が本番なんですね」
「早かったですね、一週間」
「とりあえず、明日が勝負だな」
「みんな、気を引き締めていけよ」
ルーカス王子のその言葉に、各々返事をして執務室から出ていく。
「アオ」
私が出ていこうとすると、ルーカス王子が呼び止めた。
「どうかした?」
「本当に、大丈夫なんだな?」
ルーカス王子が、凄く真剣な顔で私に聞いてくる。
私は、ルーカス王子を安心させるために笑顔で返事をした。
「大丈夫だよ。みんな各々頑張ってきましたし、それに…。ちゃんと計画は進んでますよ」
「そうか、ならいいが…。アオも、気を付けろよ」
「ルーカス王子こそ、へましないでね」
「分かってる」
そう言って、ルーカス王子は面白い悪戯を考えたような子供みたいに笑った。
私はそれを見て、同じような笑顔で応えて部屋から出た。
「私も、最終調整しとかないとな」
「アオ」
呼ばれた方を見ると、ナタリーが立っていた。
「いよいよだね」
「頑張ろうね、ナタリー」
「うん!」
そして、私達は離宮へ帰った。